楽しい転生

ぱにこ

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8話

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 ジョゼが生まれて、3か月が経った頃、父様が調べてくれた事、私が疑問に思っている事をまとめる為に、夕食後に時間をいただく事にしました。

 この世界、スイーツの種類は豊富ですが、なぜか≪アイスクリーム≫が無いのです。
 食後のデザートやお茶の時間に出ないのは、お腹をこわすので『幼子に食べさせるものではない』との理由かと思っていました。
 冷蔵庫の様な魔道具はあるのに、冷凍庫の部分がないのです。
 少し改良すれば、冷凍庫も出来そうなんですが……。
 そんな疑問も解消できればと、父様にお話の場を設けていただく事にしたのです。

 ★ ☆ ★ ☆ ★

「とうさま、まずは『いせかいのみこ』について、おしらべしたことをおしえてください」
「異世界の巫女については、陛下の許可をもって『魔法省』の文献を調べてみた。記述によると『今から数百年前、邪神復活により、世界が瘴気に満たされ、魔物や魔族が横行し、人類が滅びようとしていた』この人類には『人族、獣人族、ドワーフ族、エルフ族』などが居たそうだ。平和になった後、大陸を隔てて交流そのものをしなくなったせいか、他の種族を見る事は、ほぼないだろう。混血などで、人族と変わらない姿でなら、この王都でも居るかもしれないがね。で、続きだ『人族の魔法では、魔族に劣り、成す術もなく。その時、魔法省に勤める一人が、異世界の武器の召喚に成功する。後に巫女に聞いたところ〈銃〉という物だと知る。神に願い、魔法省に勤める者の全てのマナを注ぎ込み、一人の少女を召喚する事を成功させた。異世界の巫女は強力な光魔法を使い、瘴気を浄化する事が出来た。瘴気が弱まり、魔物や魔族が弱体化する事によって、巫女と共に戦い、退ける事ができた。元凶の邪神は討ち滅ぼすにかなわず、封印のみとした。後世、邪神復活の際、異世界より巫女を召喚するための術式をここに残す』とあった。ルイーゼの言ってた通りだったね。
 ……邪神は近々、復活するのかい?」

 ゲームという事を言わずに納得してもらう為、時間軸が違うという事にします。

「いせかいでは『じゃしんふっかつ』と『いせかいのみこしょうかん』は、かこのはなしなのです」
「過去?」
「はい、とうさま。じかんじくがちがうせいで、いせかいでは『かこ』のこと、このせかいでは、これからおこることになります。『みこ』とともにたたかうものに、おとうとのじょぜがいます」
「ッ、ジョゼ?」
「はい、じょぜに、おうたいしでんかの『れいなるど・よーくしゃー』さま、『ふぇおどーる・ますてぃふ』さま、『だりうす・しゅなうざー』さまが、『みこ』とともに『じゃしん』をうちほろぼす。となっていました」
「…………」

 父様は深く考えていらっしゃるようです。

「とうさま、このようなみらいがあると、かていして、じゅんびをしたいとおもいます。はやめに、いちど、『おうたいしでんか』や『だりうす』さまに、おめにかかるきかいをもうけてはいただけませんか?」

「……まだ…………赤子のジョゼに……危うい未来があるというなら、出来うることはやっておかねば、ならないか……」

 覚悟を決めた父様は、真剣な面持ちです。

「ルイーズ、その未来がいつ頃訪れるのか、知ってるのか?」
「たしか、じょぜが14さいになったころ、『みこ』がしょうかんされます。ですが……『じゃしん』ふっかつのじきはくわしくわかりません」
「この後、邪神の封印されてる場所などを調べて、詳しい状況を確認した後、ルイーズに話すとしよう。王太子殿下や、シュナウザー伯の子息の事は、ルイーズと同じ幼子だ。もう少し、時期を待っていてはくれないか?」
「はい、とうさま。まっております。それでは、おはなしはかわりますが、じょぜのてのたいさくほうほうの、めどはたちましたか?」
「いや……ジョゼの手の平からマナが吸収される件についてたが、人は体全体からマナを吸収する。これは、わかるね?」
 私は頷きます。
「ジョゼの場合、手の平からしかマナが吸収出来ないとすると、封印する事も出来なくなる。封印する魔道具は作れると思うから、この件に関しても、もう少し時期を待っていて欲しい」

 そうですね、マナが目に見えるといいのですが……わからないですし。
 今は、ふれ合ってる家族のマナを、少しずつ吸収してますし。
 体調不良もなく、すくすく育って、ほっぺも手足もむちむちしてきて、可愛さに磨きがかかって……まさに天使。
 ゲームではわかりやすいように、大気中のマナですらカラーエフェクトがかかってましたけど、実際は無色透明。
 どうにか、改善策でも見つける事ができれば……。

「ルイーズ?」
「あっ、はい。すこしかんがえこんでいました」
「考えはまとまったかい?」
「とうさま、まなは、ほんとうにみえないものなんでしょうか?まほうのせんもんしょのようなものを、よんでみたいです」
「ふむ、わかった。父様も探してみるとしよう」

 ゲームでは、私付きの『ジルとは違う』侍女と従者も居たのですが……まだ幼子なのでしょうね……。
 余談ですが、ゲーム上のルイーズの顔は……無いのですよ……モブですから(ふぅ)
 ジョゼを罵倒する回想イベントスチルがあるのですが……父様と同じ髪の色で、豪華な衣装を身に纏い、車椅子に乗って、ここまで描いておきながら……顔は真っ黒っ!手抜き反対!
 修道院行きの断罪イベントでも、後姿のみなのです。
 なので、未だに、自分の顔を怖くて鏡で見ておりません。

 ゲームの突っ込みは、ここまでにして。
 実のある話をしましょう♪

「とうさま、なぜ、たべものをひやすまどうぐがあるのに、たべものをこおらすまどうぐはないのですか?」
「ん?凍らす?……なぜ食べ物を、凍らすんだい?」
「こおりのつくりおきをしたり、おにくのほぞんとか」
「氷はこうやって(ポンっと氷の球を魔法で出しました)肉や食材などは、毎日新鮮な物を仕入れて使うだろうし……凍らす魔道具は、あってもいいだろうが、必要かというと……ふむ」

 父様は、本音を伺うようなお顔をして、私を見つめます。
 ここは力説せねばっ!

「なまくりーむ、さとう、たまごなどをかくはんして、それをこおらせたものを『あいすくりーむ』というのです!それはそれは、おいしいでざーとなのです(ふんす)さまざまな、ばりえーしょんもあって、たべたいのです!」
「くっふふ、ハハハ、そうやって、可愛いおねだりをされると、作らないわけにはいかないね♪『あいすくりーむ』というものがどういった物か、材料に何を使うのかを詳しく教えてくれたら、料理長に伝言しておこう」
「とうさま?はものを、つかうわけでもありませんし、じぶんでつくってはいけませんか?」
「調理場に入るのかい?」
「きょかをいただけますか?とうさまに、わたしがつくった、おいしい『あいすくりーむ』をめしあがっていただきたいのです」

 娘の手料理?に落ちない男親はいないだろう。ふっふっふっ。

「ルイーーーズッ(がしっとハグされました)な、なんて優しい子なんだっ。こんな嬉しい事はないっ♪楽しみすぎて、仕事が手につかなくなるではないかっ……急病で休むか……」

 父様の暴走がはじまりました。
 宥めなくてはいけませんね。
 この後、父様のお仕事に行く姿は格好いい。父様が、私の悩みを解消してくれるので、安心して楽しい事を出来る等々……と持ち上げて、一人で『アイスクリーム』を作る権利をもぎとりました。
 すぐに食べる分は、冷凍庫は必要ないですしね♪
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