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第2話
パパ、格好悪いよ
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その意図が伝わったのか、少し意外そうな顔をしていたので、平穏無事に終わっただけでも驚いているのかもしれない。
そんなことを考えていると、村外れの広場で武器を携えて待機していた狩猟チームの人たちが俺たちを出迎えてくれた。
集団の中にヒューイもいて、俺の姿を見ると駆け寄って抱きついてくる。
「ダイチ! 送り出しに来てくれたの?」
「あぁ、まぁね。 さっきゼンブルさんと話したよ」
「そうなの? どうだった?」
「ヒューイの言ってたこと、全部本当だったよ。 ありがとうな、おかげでゼンブルさんとも仲良くできそうだよ」
尻尾を振り顔を寄せて頬擦りしてくる柴犬に、俺の表情筋はデレデレになってしまう、すっかりこの子に惚れ込んでしまったのだから、番いとは末恐ろしい機構だ。
来ることは伝えていなかったので俺の登場に俄然やる気が湧いているのか、先ほどゼンブルさんとやりとりをしたこと、ヒューイが話していたことが真実だと告げれば、嬉しそうに笑っている。
さて、そろそろ離れないといけないな、何せお義父さんたちのみならず、この場にいる全員から生温かい眼差しを送っているので少し気恥ずかしいな。
「ヒューイ、行くぞ」
「あっ、はい! ダイチ、行ってくるね!」
「あぁ、行ってらっしゃいヒューイ、ゼンブルさん!」
「…………」
「あっーー、頑張ってくださいね、ゼンブルパパ! 獲物、楽しみに待ってますから!」
俺が言うよりも先に、準備を整えたゼンブルさんが声をかけてきたので、ヒューイが自分から離れていく。
ブンブンと手を振ってくれているので返しつつ、行ってらっしゃいと送り出す際にゼンブルさんへも声をかけた。
すると少しだけ残念そうな顔を浮かべたので、どうしたのかと思ったが、そういえば言われていたなと思いだし、改めてパパと呼んで送り出してあげる。
どうやら待っていたようで、顔こそ無表情だが背を向ければ尻尾が飛んでしまうかの如く回転しているのだから、ある意味で分かりやすかった。
見ているだけに留めているヒュペルお義父さんは呆れ、周囲の狩人たちも苦笑しながら森へと入っていくのを俺たちは見えなくなるまで見守る。
「……あっ」
「あいつ、自分で呼ばせておいて耐え切れないなら止めとけよ……。 ダイチ、しばらくそれ禁止な」
「そう、ですね……、ゼンブルパパ、カッコ悪りぃ」
だけどすぐに、俺はやり過ぎたと思い知らされた。
失意の森の樹木はそのほとんどが高さ10mはある巨大なもので、森に入れば空は見えないのだが、下から突き破らんばかりに赤い噴水が俺たちの視界に映る。
まだ村の側だったから良かったのだろうが、恐らくあれはゼンブルパパが鼻から噴射したのだろう、近くにいる村の人たちの声が聞こえてきた。
『ぎゃあぁぁぁっ!? ゼンブルさん!?』、『止血! 早く止血しろ!?』、『ダメだ、止まらねぇ!? どうなってんだよこの出血!?』、『父さん、そんなに嬉しかったんだね?』、『ヒューイくん、そんな冷静に見てる場合じゃないから!?』と、阿鼻叫喚の光景がありありと目に浮かぶ。
ヒュペルお義父さんは、なんだかこの展開をわかっていたようであまり驚いておらず、パパ呼びが絶大な効果すぎるので俺を嗜めた。
同意しつつも、素直に俺はゼンブルパパがあんまりにも格好がつかないなと本音が溢れてしまう。
結局この後、ゼンブルパパの鼻血でみんな血まみれになってしまい、狩りをするどころではなくなってしまった。
なんの騒ぎだと現れた爺様が妙に幸せそうな顔で鼻からドクドクと血を垂らし続けるゼンブルさんを見て、ゆっくりと俺へ視線を向けてくるのをそっと顔を逸らして誤魔化す。
何かを言うわけでもなく爺様はパパを治療し終えると、俺の首根っこを掴んでズルズルと引き摺って連行していき、こっぴどく叱られるハメになった。
何はともあれゼンブルさんとも仲良くなれそうだ、波乱万丈かもしれないけど……。
そんなことを考えていると、村外れの広場で武器を携えて待機していた狩猟チームの人たちが俺たちを出迎えてくれた。
集団の中にヒューイもいて、俺の姿を見ると駆け寄って抱きついてくる。
「ダイチ! 送り出しに来てくれたの?」
「あぁ、まぁね。 さっきゼンブルさんと話したよ」
「そうなの? どうだった?」
「ヒューイの言ってたこと、全部本当だったよ。 ありがとうな、おかげでゼンブルさんとも仲良くできそうだよ」
尻尾を振り顔を寄せて頬擦りしてくる柴犬に、俺の表情筋はデレデレになってしまう、すっかりこの子に惚れ込んでしまったのだから、番いとは末恐ろしい機構だ。
来ることは伝えていなかったので俺の登場に俄然やる気が湧いているのか、先ほどゼンブルさんとやりとりをしたこと、ヒューイが話していたことが真実だと告げれば、嬉しそうに笑っている。
さて、そろそろ離れないといけないな、何せお義父さんたちのみならず、この場にいる全員から生温かい眼差しを送っているので少し気恥ずかしいな。
「ヒューイ、行くぞ」
「あっ、はい! ダイチ、行ってくるね!」
「あぁ、行ってらっしゃいヒューイ、ゼンブルさん!」
「…………」
「あっーー、頑張ってくださいね、ゼンブルパパ! 獲物、楽しみに待ってますから!」
俺が言うよりも先に、準備を整えたゼンブルさんが声をかけてきたので、ヒューイが自分から離れていく。
ブンブンと手を振ってくれているので返しつつ、行ってらっしゃいと送り出す際にゼンブルさんへも声をかけた。
すると少しだけ残念そうな顔を浮かべたので、どうしたのかと思ったが、そういえば言われていたなと思いだし、改めてパパと呼んで送り出してあげる。
どうやら待っていたようで、顔こそ無表情だが背を向ければ尻尾が飛んでしまうかの如く回転しているのだから、ある意味で分かりやすかった。
見ているだけに留めているヒュペルお義父さんは呆れ、周囲の狩人たちも苦笑しながら森へと入っていくのを俺たちは見えなくなるまで見守る。
「……あっ」
「あいつ、自分で呼ばせておいて耐え切れないなら止めとけよ……。 ダイチ、しばらくそれ禁止な」
「そう、ですね……、ゼンブルパパ、カッコ悪りぃ」
だけどすぐに、俺はやり過ぎたと思い知らされた。
失意の森の樹木はそのほとんどが高さ10mはある巨大なもので、森に入れば空は見えないのだが、下から突き破らんばかりに赤い噴水が俺たちの視界に映る。
まだ村の側だったから良かったのだろうが、恐らくあれはゼンブルパパが鼻から噴射したのだろう、近くにいる村の人たちの声が聞こえてきた。
『ぎゃあぁぁぁっ!? ゼンブルさん!?』、『止血! 早く止血しろ!?』、『ダメだ、止まらねぇ!? どうなってんだよこの出血!?』、『父さん、そんなに嬉しかったんだね?』、『ヒューイくん、そんな冷静に見てる場合じゃないから!?』と、阿鼻叫喚の光景がありありと目に浮かぶ。
ヒュペルお義父さんは、なんだかこの展開をわかっていたようであまり驚いておらず、パパ呼びが絶大な効果すぎるので俺を嗜めた。
同意しつつも、素直に俺はゼンブルパパがあんまりにも格好がつかないなと本音が溢れてしまう。
結局この後、ゼンブルパパの鼻血でみんな血まみれになってしまい、狩りをするどころではなくなってしまった。
なんの騒ぎだと現れた爺様が妙に幸せそうな顔で鼻からドクドクと血を垂らし続けるゼンブルさんを見て、ゆっくりと俺へ視線を向けてくるのをそっと顔を逸らして誤魔化す。
何かを言うわけでもなく爺様はパパを治療し終えると、俺の首根っこを掴んでズルズルと引き摺って連行していき、こっぴどく叱られるハメになった。
何はともあれゼンブルさんとも仲良くなれそうだ、波乱万丈かもしれないけど……。
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