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マサミという女
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「ねえ……。
自分が死んでも誰一人悲しんでくれないなんて悲観する人もいるけど、それって愛がないと思わない?
私はみんなに悲しんでもらいたくない。
私との思い出で笑って欲しいよ」
マサミはあの時、そう呟いた。
薄茶色の瞳が何を見つめていたのか、今の俺には知る術はない。
ただ、あの光景が今、生々しいほど鮮明に思い出される。
……今思うと、マサミはあの時すでに確信的な何かを抱いていたのかもしれない。
今だからこそ、そう思うんだ。
――
マサミは曲を口ずさみながら踊る女だった。
そういうストリートダンサーは沢山いたが、マサミはやけにそれがさまになっていた。
クラブ「アン・グラ」で行なわれたダンスイベントのショータイムで初めて踊っている姿を見た。
黒人張りのリズム感に、全身を大きく躍動させるダンスがすげー格好良くて声をかけた。
踊っている時の雰囲気から気の強い奴かと思ったが、踊り終わりテキーラを飲まされハイになっているマサミはどちらかというと可愛らしい女の子だった。
その事を言うと大きな目を細くして「良くいわれる~」とえくぼを作って笑った。
その日のマサミは本当に質の悪い酔っぱらい女で、俺が以前イベントに出たのを見ていたらしく、その時やったストロボ(進む止めるを繰り返しコマ送りのように見せる技)をしつこく見せろと言ってきた。
見せてやっても、しばらくすると「カチカチやって~ ねえねえ~」と又言ってきて閉口した。
そんな様子を端から見ていた、うちらダンス仲間の姉さん的存在であるレゲーダンサーのハルナさんにケラケラ笑われた。
それから、いろんなイベントやダンサーがいつも練習している夜の区役所でかち合ったりして、喋ったり一緒に練習するようになった。
同い年だった事もあり、すぐに仲良くなった。
出会ってから一ヶ月でチームを組む事になり、それから一ヶ月で付合う事になった。
踊っている時の高圧的な視線と、普段の人なつっこい目のギャップが凄くて、いつもからかっていた。
ジャネットとシアラとAKBが好きで、ダンス仲間とカラオケにいった時、AKBを振り付きで大熱唱し、普段練習やイベントとかで使っている曲とのギャップに全員で大爆笑した。
一般常識が少し欠落していて、「ゴメン、バカだから」と舌を出すのがお約束だった。
俺が無茶すると、「ちょっと~ 止めなよ~」と止めに入る困った顔が可愛くて、大好きだった。
だから、俺はなおさら無茶をやった。
気付いてたかも知れない。
本当に好きだったんだ。
自分が死んでも誰一人悲しんでくれないなんて悲観する人もいるけど、それって愛がないと思わない?
私はみんなに悲しんでもらいたくない。
私との思い出で笑って欲しいよ」
マサミはあの時、そう呟いた。
薄茶色の瞳が何を見つめていたのか、今の俺には知る術はない。
ただ、あの光景が今、生々しいほど鮮明に思い出される。
……今思うと、マサミはあの時すでに確信的な何かを抱いていたのかもしれない。
今だからこそ、そう思うんだ。
――
マサミは曲を口ずさみながら踊る女だった。
そういうストリートダンサーは沢山いたが、マサミはやけにそれがさまになっていた。
クラブ「アン・グラ」で行なわれたダンスイベントのショータイムで初めて踊っている姿を見た。
黒人張りのリズム感に、全身を大きく躍動させるダンスがすげー格好良くて声をかけた。
踊っている時の雰囲気から気の強い奴かと思ったが、踊り終わりテキーラを飲まされハイになっているマサミはどちらかというと可愛らしい女の子だった。
その事を言うと大きな目を細くして「良くいわれる~」とえくぼを作って笑った。
その日のマサミは本当に質の悪い酔っぱらい女で、俺が以前イベントに出たのを見ていたらしく、その時やったストロボ(進む止めるを繰り返しコマ送りのように見せる技)をしつこく見せろと言ってきた。
見せてやっても、しばらくすると「カチカチやって~ ねえねえ~」と又言ってきて閉口した。
そんな様子を端から見ていた、うちらダンス仲間の姉さん的存在であるレゲーダンサーのハルナさんにケラケラ笑われた。
それから、いろんなイベントやダンサーがいつも練習している夜の区役所でかち合ったりして、喋ったり一緒に練習するようになった。
同い年だった事もあり、すぐに仲良くなった。
出会ってから一ヶ月でチームを組む事になり、それから一ヶ月で付合う事になった。
踊っている時の高圧的な視線と、普段の人なつっこい目のギャップが凄くて、いつもからかっていた。
ジャネットとシアラとAKBが好きで、ダンス仲間とカラオケにいった時、AKBを振り付きで大熱唱し、普段練習やイベントとかで使っている曲とのギャップに全員で大爆笑した。
一般常識が少し欠落していて、「ゴメン、バカだから」と舌を出すのがお約束だった。
俺が無茶すると、「ちょっと~ 止めなよ~」と止めに入る困った顔が可愛くて、大好きだった。
だから、俺はなおさら無茶をやった。
気付いてたかも知れない。
本当に好きだったんだ。
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