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CASE 5
しおりを挟む俺の職場、魔法商店の給与と福利厚生を伝えておきたい。
給与は時給制で1時間1,500ゴールド。
1ゴールド=2円位だから酒場なんかで働いている最低給与の5倍以上貰っている計算だ。
只の店員だが一応薬学は多少かじっているし魔法も多少は使える。
どちらも店長に比べたら大したことないので必要時以外は使わないけど。
店の営業時間は9時から12時の午前の部と14時から17時の午後の部、加えて準備・片付けでそれぞれ1時間として計算上は一日当たり8時間。
仕事が早く終わればその分早く帰れるし、ダラダラやって長引けば給料変わらずで残らなきゃならない。
今では慣れたもので準備片付けそれぞれ半分の時間でキッチリ出来るようになった。
さて、注目して欲しいのは12時から14時の2時間の休憩だ。
そのうちの1時間は普通に昼食のための休憩だ。弁当の時もあれば外の売店で売ってる物を買い食いすることもある。
そして恐ろしい事に残りの1時間は『添い寝休憩』扱いになっている。
添い寝休憩とはその名の通り従業員全員で枕を並べてお昼寝する時間だ。
店長曰く
「人はねぇ~ん、ずぅ~っとお仕事するよりぃ~、一度りふれぇ~っしゅした方が効率が上がるのよぉぉ~ん」
とか言っていたがそんなことはないはずだ。
従業員は俺と店長の2人のみ。
昼休み前からたまに背後からぬめっとした視線がするので丁重にお断りさせてもらっている。
大概は外に避難……もとい食事に出かけて時間まで帰って来ないようにしている。
ただ、天気が悪くどうしても外に逃げられない様な時は片付けや帳簿付け・翌日の準備などを先にしておくのだが、連日の雨ですることが完全になくなってしまった。
隣の部屋からはただならぬ圧力と
「ぬるるるるるるぅ。…………ぬるるるるるるるるるぅ」
この世とも思えないいびきが聞こえてくるのだ。
この声を聞いたら巷で結婚したいなどとほざく女性陣も裸足で逃げること間違いなしだろう。
この日も昼からは一人も客が来ることもなく、かといって店長の部屋に起こしに向かうこともできず、閉門の鐘(夕方5時を知らせる。2回カランと鳴る)が聞こえるまで部屋から一番離れた店の入り口付近でガタガタ震え続ける事しかできなかった。
「おかえりー、ってフラット顔色悪いけど大丈夫?風邪?病気?」
よほど顔色が悪かったのか、帰宅するとサラ姉さんに物凄く心配された。
「多分、身の危険を感じてたからだと思う。ゴメン、今日は疲れた。……もう寝るよ」
「分かったわ。一応寝る前に様子を見に行ってあげるわ」
お礼を言い、ベッドにダイブ。
よほど堪えたのか直ぐに眠りに就いたのだった。
そして夜、魔法の練習と言って「ぬるるる」言いながら俺のを周りで瞬間移動を繰り返す店長の悪夢にうなされていたところをサラ姉さんに助け出されたのだった。
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