てんさいかがくしゃとまほうのくすり(仮題)

ITSUKI

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てんさいかがくしゃとまほうのくすり(仮題)

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あるまちにてんさいはかせおりました。


はかせにはびょうきのおよめさんがおりました。


どんなにすごいおいしゃさまにみせても、くちをそろえてなおせない、もうたすからないといわれます。


はかせは、よるもねむらず、しょくじもとらずにけんきゅうして、まほうのくすりをつくりました。


およめさんにくすりをのませると、あっというまにげんきになりました。


でも、このくすりは、まいにちのまないといけません。


のまないと、すぐにびょうきにもどってしまうのです。


そこではかせは、おおきなまちにおおきなこうじょうをたてて、たくさんのくすりをつくりました。


このくすりで、およめさんだけではなく、せかいじゅうのひとがびょうきやけがでしぬことがなくなりました。


はかせはみんなから「てんさいかがくしゃだ!」といわれ、おおきなまちにおおきないえをもらって、およめさんとしあわせにくらします。


しばらくして、とおくのくにでせんそうがおこりました。


だれもしななくなったら、みずとたべものがたりなくなったというのです。


はかせのもとには、まいにちたくさんのひとがやってきてこういいます。


「たべもののとりあいがあるからせんそうがおこるんだ。たべものがなくてもいきていけるくすりをつくってほしい」


はかせは、よるもねむらず、しょくじもとらずにけんきゅうします。


ゆきがつもって、さくらがさいて、せみがないて。


そして、あたらしいくすりをはつめいしました。


このくすりをのめば、みずもたべものもいらないからだになるのです。


そのくすりをまえに、はかせはかんがえました。


また、ゆきがつもって、さくらがさいて、せみがないて。


そしてあるひ、あたらしくつくったくすりをぜんぶすててしまいました。


はかせはおよめさんをつれて、もてるだけのくすりをもって、とおくはなれたちいさなむらへにげました。


たくさんにひとがくすりをつくったてんさいかがくしゃをさがしましたが、みつかりません。


はかせがいなくなって、くすりがつくられなくなって、たくさんのひとがびょうきやけがでしにました。


たくさんのひとがなきました。


かわりに、みずやたべもののとりあいがなくなり、せんそうもなくなりました。


もうだれも、はかせをさがしたりしません。


てんさいかがくしゃをひつようとしません。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とおくはなれたちいさなむらで

ゆきのつもったちいさないえで

あきびんのたくさんあるちいさなへやで

およめさんははかせのまえで、そっといきをひきとりました。


はかせはわんわんなきました。にわとりがなき、ふくろうがないてもわんわんなきつづけました。


そして、はかせはちいさなおはかをたてました。


さびしくないよう、いえのとなりに、ちいさなちいさなおはかを、たてました。
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2017.10.04 ユーザー名の登録がありません

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2017.10.04 ITSUKI

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解除

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