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日本と異世界とその周辺
街の外から強制召喚? その4
しおりを挟むその後、我々の王都までの旅は困難を極めた。
マイロ・ポニータ、彼の者の言うとおり賊に襲われる……という事はなかった。
しかし、旅慣れておらず、野宿の経験なども無い日本暮らしの青年にとって1週間もの道程はとてつもなく困難なものだった。
整備されていない道は足を削り、ガタガタと揺れる馬車は尻を削り、石や根の突き出した地面は頭を削る。
加えて襲い来る魔物に虫。
彼等の精神は極限まで削られ―――
「もういいわ!というか、何だよそのナレーション!」
「いや、結局同士はついてこなかったのでな。せめてもの冒険をしたかのような雰囲気を」
「出さなくていい!」
「……そうか」
「まぁ、コイツはそんな奴だって。ハヤトもあんま気にすんなよ」
「うん。まぁ、分かってはいるんですねど……ね」
リーダーらしき黒い猫?の様な豹?の様な獣人が声をかける。まぁっ、渋くて立派な声。
ステキ!
「それより私としてはハヤトさんのスキルの方が気になるんですけどねー」
「まぁ、見た事も無いスキルなのは確かだが……。スキャニ、あんま詮索するなよ」
「分かってまーすよー。トージョの方も人間なのに森の民しか使えない精霊魔法使うからねー。ついつい気になっちゃうわけですよー」
「うむ、なんか知らんが使えるぞ」
東條、エルフ扱いか。
エルフ達も可哀そうに。
ん?
というか、倉庫や店で盗人たちの防衛処置も精霊魔法扱いになるのか?
頭が爆発してアフロ化した。
バナナが無いから代わりに足元が氷になって滑って骨折した。
たらいの形をした石が頭上から落ちてきた。
なかなか開かない扉を力自慢が数人がかりで押したら急に開いてその先に熱湯や氷水が用意されていたetc…
話を聞くだけでマズイものを視せちまった感が凄いんだけど。
あれも精霊魔法扱いなのか?
「どうした?同士よ」
「……えっと、旦那方。考え込んでいるところ悪いっすけど、前の方開いちゃってますよ」
罠担当のえっと……レギア――リスの獣人らしい――に言われて東條が馬車を進ませる。
現在、王都の城壁の外。
長者の列に並んでいる。
所謂『検問』というやつだ。
今乗っている馬車は特別製。
とはいっても特別な仕様が施されているわけではない。
馬車の中、奥に一人がギリギリ入れそうな部屋を1つ作り、扉を真っ赤に塗ってある。
出発したら扉を自宅に繋いで元の世界へ。
後は銀月の集い達だけで進んでもらい、到着寸前で東條に呼んでもらっていたのだ。
起動に乗り始めたばかりの飲食物の販売も、戻ってくるまで暫く停止。
その知らせにがっくりと肩を落とすラッセルと、ほっとした表情を見せるデライトが対照的だったのが印象に残っている。
まぁ、ジュースだけでも黒字だし、護衛に取られて倉庫の人出が手薄になるので交代でそちらを手伝ってもらうようにお願いしておいた。
二人の態度が一瞬で入れ替わったのは言うまでも無い。
さて、倉庫の一件で関わっている銀月の集いとは違い、扉を繋ぐ能力を全く知らないポニータさんは別行動。
本人は構わないと言いながらも若干不満層であったが、「それならば」と、王都へ運べるだけの荷物をしっかり仕入れ、後から向かいますと言われた。
さすが商売人、こういう所は本気で凄いと思う。
意味不明なナレーションも東條からしたら、きつい移動を断った俺へのあてつけだろう。
せめてもと毎日一度は顔を出し、飲料水に新・山野飯店の食事を持ってきているのだ。
それに、元の世界に帰らない選択をしたのも彼自身。
正直、勘弁して欲しい。
流石に多くの人がいる中、扉を通って基の世界に帰るなんて事は出来ないのでパーティー一団に囲まれてのんびり過ごす、もっふもふ。
一応彼等の雇い主……という事で彼等の荷物と一緒に馬車に入らせてもらってはいるが、これは尻がヤバイ。東條に渡された異世界転生ノベライズの中でサスペンションだクッションだという注釈が出てくるのがよく分かる。少し進むだけでガタガタゆれて立つのは難しいし、座るにしても床が固い木の板じゃあ尻が真っ赤にはれあがる。
正直外に出て歩いていた方が楽なんだけど、護衛の観点から出来ればあまり外に出ないで欲しいとファルシア(注:リーダー)さんからお願いされている。
尻が3つに割れそうで少し外に出た時も周りの視線。
確かにあれは怖かった。
……多分服装かなぁ。
皆泥だらけほつれ汚れは当たり前だし。
そんな中、少し前まで配送に行ってたので汚れ一つないカッターシャツにネクタイ革靴スラックス。
悪目立ちするわな、そりゃ。
仕方なしに床板の固さに格闘する事1時間。
東條に呼ばれて外に出ると、見た事あるような甲冑を身にまとった男たちが4名程立っていた。
「これで全員か?奥の扉には……ん?何もないな」
「よし、では身分証を確認させて貰う」
東條含め銀月の集いのみんなは鈍く光を反射するカードを門番に見せる。
自分はガルフコーストさんに渡されたカードを。
ギルド会員の証らしい。
「……うん、問題なさそうだな。ベルナード王国首都、パテントへようこそ。この国で一番栄えている街だ。是非楽しんでいってくれよ」
こうして、石造りの巨大な街パテントに訪れたのであった。
その目的地は王城―――ここからでも見える、あの巨大な建物だ。
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内政チートものの話も始めました。内政チートというか現代の錬金術チートというか。。。
人気なければ最初の描きたいところを書いてって、ED思いついたら消えていく事になるよくあるパターンです。既に半分消えかけている人気のなさなので消える前に一度目を通してもらえればと。
卸商ほうは相変わらずローペースですみませんが完結まで続けます。ここ迄で大きく3部分けしてその1つが終わりって所です。手治さないといけないところが多すぎるので過去を振ら帰らない方向で………。
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