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王都編
城下町 その1
しおりを挟む―――王都パテント―――
ベルナード王国の首都であり、その規模は、集積所で栄えるシルイットの数倍を誇る。
人、物、金、この国の全てがこの都市に収束し、一つの国を維持しているのだ。
今更の紹介になるが、この王国の領有地の一つに黒麒の森という凶暴な魔物が日夜覇権を争う危険な森がある。
その地からあぶれる魔物を迎え撃てる様、城を中心に波状に建物が立ち並ぶ。
万が一城壁を破られた際は、建築物をバリケードに陣を敷けるようにしているのだ。
そのため、都市の構造は迷路のように入り組む。
加えて外側――波状の最奥――はとても広範囲におよび――――――
「……こっちで合ってるんですか?」
余りにも不安な風景になってきたので先導するファルシア―――銀月の集いのリーダーに訪ねてみる。
「あぁ、大丈夫だ」
「………………」
マイロ・ポニータを待つ間泊る予定の宿屋『宿り木』に向かっているらしいのだが、最初見かけた立派な城門に城下町………と比べてかなり見劣りする風景に―――。
古びた壁に、散乱するごみ。
柱に残る何か大きな傷。
ぶっちゃけスラムや貧困街が連想される様な明らかに治安の悪そうな道を突き進む。
ファルシアによると、この辺りの見た目は悪いが昼日向から認証沙汰が起こる様な酷い環境ではないらしい。
いや、日本はそんな危険な地域なんてほとんどないんですけどね。
「こっちに来る時は昼に来い。白昼堂々と手を出す輩はそうそういないが日が落ちると話は別だ。夜に出歩けば絶対に後悔することになる。俺達は鼻が効くから運が良ければ生きているうちに救出出来るだろうが、それでも助けるまでの間に手足の一本や二本は売り飛ばされているかもしれんからな。まして、俺等で対処できない奴らに絡まれる可能性も低くはない」
十分危険地帯じゃあないですかぁっ!?
そんなやり取りをしながらファルシアが立ち止まった先。
入り口に小鳥は羽を休める宿り木―――とは似ても似つかわしくない、子供の胴体はありそうな、丸太と言っても過言じゃない程の大きな枝を飾った一件の建物。
目的の宿屋だ。
「ハヤト、ちょっと待っててくれ。トージョ、ハヤトの護衛を頼む」
「うむ、頼まれてやろう」
――――――えぇー……。
と思っていたら抱えていた荷物を預けただけだったらしい。
重そうな金属の武器や小さな包みだけ持ってすぐに出てきた。
「んじゃ、今日の宿に行くぞ」
うん?
どういうことだ?
来た道を引き返し華やかな大通りに戻る。
そこから少し中に入って進むこと暫く、真っ白いえらくお金のかかってそうな橋が見える。
「おい。止まれ、獣風情!この先は選民街だ。分かっているのか?」
明らかに敵意を向ける甲冑をつけた守衛。
選民街?
獣風情?
ラノベで見かけたテンプレの様な差別があるのか?
シルイットでは特定の人種を差別する様な光景は見た事も無かった。
街のトップ、デキシーさんは肝っ玉母ちゃんだし、商業ギルドのトップとその孫娘だって既知の通り。
「分かってるって。俺達はこの二人の護衛だ。これ以上は近づかないから、こっから先はアンタ達に任せるぜ。トージョ、ハヤト。ほらよ、預かっていた書状だ。俺等はさっきの宿屋に泊ってっから、役目が終わるなり手がいるなりしたらあそこまで来てくれ。くれっぐれも夜に来ようとはするなよ。こっちに比べりゃ多少治安は悪いだろうが……まぁ、トージョがついてんなら大丈夫だろ」
放り投げられた2枚の書状を慌てて受け取る。
守衛に見せろと督促されたので渡す。
ガルフコーストさんとデキシーさんの連名の書状で驚き、もう一枚の書状を見て血の気が引いていた。
「誠に申し訳ありませんでした。我々が責任もって御案内させていただきます!」
直立不動に45度の敬礼。
多分、もう一枚の書状が王様から呼び出されたとか言っていた手紙かな。
「んじゃ、よろしく頼むぜ。明後日にはポニーの旦那もそっちに着くはずだ」
手を振ってさっさと引き返すファルシアさん達にお礼を言い、先導する守衛等に続く。
暫く中心へ向かい、辿りついた先。
そこは、石像にかたどられた門があり、その奥には立派な庭園見える豪華な建物だった。
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閲覧ありがとうございます。典型的な転生もの・・・とは若干趣旨が異なるので主人公は一般人をイメージしております。主人公が頑張れるのか奴が乗っ取っていくのか・・・更新遅くてすみませんがゆるりと先の展開をお待ち頂ければとおもいます。
商人系ストーリーは現実での商売を絡めたり、整合性を求めると知識的に説明が多くなるので難しいですが、頑張って下さい。
これは個人的に好みではないだけなのですが、幕間に作者の説明や感想で1話を構成されていると作品を心から楽しめない。出来れば、設定集や章の終わりとかに纏めてくれるか近況とかに書くとかしていただけると作品の流れを切らずにすむかなと思います。続きだと思ってたらいきなりCMを強制挿入された感じです。
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