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41、散策ですわ〜!
しおりを挟む新しい街にきて、宿を決め、さっそく迷宮に潜って、さて少し落ち着こうと休息日とした日。
スズナとレナは、中央街で催されている大道芸を見に行ってしまった。
残されたボタンは、当然、この街の美味いもんめぐりをするつもりだ。
「ボタンちゃん、美味いもの食べたいなら、中央街よりは北通りのほうがいいぞ。中央街は観光者向けの誇張した味が多い。北通りは住民向けだから、ちゃんとしたカルフェ料理が食えるぞ。……うちのシチューが一番美味いが、な」
「わ、ありがとうございますわ~!目指すは北通り!」
宿のおじさんに教えてもらったので、ボタンの行先は北通りに決定した。ボタンは歳上に気に入られる性質なのだろうか。
カルフェの街、北通り。
屋台などは少ないが、テラス席のある店が多く見られる。一品だけ食べて他の店に入り直したり、ドリンクだけ楽しんでる人も多い。カジュアルにいろいろと楽しめそうだ。
いろいろと食べ、そろそろ軍資金が寂しくなってきたなという事で、帰路につくことにした。
結局また宿までの間で散財するのだが。最近また食べる量が増えてきたせいで、貯金が思うように貯まらない。
「ふう、腹八分目ですわね」
無事、宿に帰還。
二人はまだ帰ってきていない。もう夕方なので、そろそろだとは思うが。
「帰ったでござるー」
「ん」
「おかえりなさいですわ~!……あらま」
二人が帰ってきた。三人になって。
「この方は?」
「拾ったでござる」
「拾った」
「元のところに返してきなさいな?」
捨て猫か。
気を失っているようなので、ひとまず床に転がしておいた。
よさげな鎧を着た女性だ。騎士様かもしれない。
「誘拐ですの?」
「拾ったでござるよ?」
「拾ったの」
「……いいから説明しなさいな」
スズナの説明するところによると、大道芸を見た帰り、ボタンのために屋台でお土産を買おうと思ったところ、一応ちょっとだけまわりを警戒していたスズナが音を拾って路地裏へ。盛大にお腹を鳴らしながら倒れこんでいるこの女の人をみつけ、とりあえず背負ってきた、というところらしい。
まぁ、善行だろう。スズナにしてはいいことをした。
「拙者は置いてけって言ったんでござるけどね」
「人助け、大事」
前言撤回。スズナはスズナだった。
レナを褒め撫でながら、暫くまつ。
スズナは武器の手入れをはじめた。たまに薄ら光ってるのは、魔力の込め具合を見ているのだろうか。
「んん……」
「起きたでござるな」
どうやら行き倒れが起きたようだ。
行き倒れから爆音がなる。
ぐごごごごごごごご…………
「…………マジですの?」
「マジでござる」
「うるさい」
行き倒れの腹が鳴った。……腹の音だろう、うん。爆撃ではない。とんでもない音だ。
「おーい、起きたでござるかー?粥があるでござるよ」
「んん……ん!?いい匂いがする!なんだ!?」
行き倒れは勢いよく上体をあげ……また腹を鳴らして倒れた。
「……食べさせてあげますわよ」
「どなたか存じないが……すまない……」
ちょっとおっちょこちょいの匂いがするな、と思った。
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