ヤンデレでブラコンの妹に俺の生活が脅かさるのでした

スーさん

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学校で女子とお話したら、妹に憤怒されるのでした その一

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 電車を降りて学校前に着くと、入り口付近には生徒会や先生達が立っていた。

「そういや今日は服装検査の日か」
「そうだねお兄ちゃん」

 入学して数週間、ここいらで服装の着崩しが生じてくる頃。服装の乱れは心の乱れ、そう思っての検査なのだろう。

「まっ、俺には関係ないけどな」
「お兄ちゃんの着替えは私も手伝ってるし大丈夫だよ!」

 そう、俺は着替えを少しだけマリーにやってもらっている。いや違うな、あれはやらせろといってる様なものだ。
 高校に上がって、初めて着替えを手伝わせてと言ってきたときにやんわり断ったのだが、

「ん、何?   お兄ちゃんもしかして私に何か隠してるの?   だからやらせたくないんだ?   だって何もやましい事がないなら、そんな事言わないよね?   私に嘘や隠し事をしてるってことだよね?   嫌だな、私お兄ちゃんに躾しないといけないなんて良心が痛むよ」

 などと、着替えの手伝いを断った筈が何故かマリーに隠し事をしている話にすり替わってしまった。こうなるとマリーは何をしでかすかわからないので快く手伝いを受け入れると、それ以降毎日手伝ってくる様になった。特にネクタイを結ぶのが気に入っているらしい。毎度のことだが躾とは何をされるのだろうか……。

「あ、君こっちに来てくれる?」
「わかりました」

 生徒会の腕章を付けた小柄な女子が声をかけてきたのでそちらにむかう。リボンを見た感じ一つ上の学年の人なのだろう。
 うちの高校はネクタイとリボンの色で学年分けしている。赤が一年、青が二年で緑が三年だ。その女子は俺が近くに来た後、服装チェックすると笑顔で俺に告げた。

「うん、着崩しや指定外のワイシャツとかではなさそうだね。二年生になってもそれだけ真面目に着こなしてるなんて、カッコいいね君」

 そういった先輩は俺の肩に優しく手を置いてウインクしてきた。俺はそれにドキッとしてしまい、顔を赤くすると先輩は続けて俺に言う。

「おやぁ~、もしかして照れちゃった?   今時そんなウブな反応する男の子なかなか居ないからレアだね~。君、名前は?」
「お、俺は金神藤麻です」
「藤麻君だね。よし覚えたよ」

 見た目はおっとりしている小柄な銀髪女子だが、性格は少しオトナなお姉さんっぽい人なのだろう。話していても、一つ上とは思えない余裕な対応だった。そんな話をしていると背後から俺に抱きつき、脇から顔を出して目の前の先輩を睨むマリーが現れた。完全に敵意剥き出しである。

「お兄ちゃん、検査が終わったならいこ?   変な虫が寄ってこないうちに」
「虫とはもしかして私の事かな?」
「……」

 おいおい、シカトはダメでしょマリーさん。そして苛立っているからって俺の身体を強く締め付けるのはやめて下さい、腹から二つに千切れそうです。

「ま、マリー。無視は良くないぞ?   目上の人なんだから」
「お兄ちゃんもしかしてあの害虫の事庇うの?   なんでかな、もしかしてお兄ちゃん何かされたの?   普段だったら絶対私の事を裏切らないのに。あ、そっか。検査の時に何か注入されたんだね?   大丈夫だよお兄ちゃん、今キレイするから」

 マシンガントークが終わると、何処からか取り出したカッターを先程先輩が触れた俺の肩に近づける。それに俺は質問した。

「マリーさんや、それは何をするためのカッターなのですか?」
「これはねお兄ちゃん。さっき虫に触られたでしょ?   だから寄生虫が侵入したんだよ。そのせいでお兄ちゃんは今、正常な判断が出来てないんだよね。だから奥に行かれる前にカッターで開いて取り除こうって事だよ」

 予想と回答が一致した。というか毎度の事だが、どこからカッターを取り出しているのだろうか。そんなサイコパス美少女を見た俺はなんとか振り払い、駆け足で自身のクラスに向かう。それを妹は逃すまいと全速力で追いかけて来た。

「藤麻君かぁ~、面白い子だなぁ」
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