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…出会い
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先程までの静けさが嘘のようにあちこちから人の声が聞こえ、たくさんの灯りが際限なく目に入ってくる。まるでスマホを長時間見続けているような、気分の悪さと頭痛と目の痛み。
この光景は観客として見た方がいいな。
そんな賑やかな飲み屋街の中、物珍しそうに歩いているのは私だけだった。
「香織、ほんとにこういうとこ来ないんだ」
隣を歩く友人がキョロキョロする私を見て言った。
「ずっとそう言ってるじゃん」
「だってもう27でしょ。さすがに居酒屋くらい来ててもおかしくないから」
「人の多い所は嫌いなの」
「分かったって。今日はイケメン来てるから楽しも」
私の言葉を笑って聞き流すのはこの友人くらいで、同じ時期に入ったバイト先で知り合った。
栗山 彩香(くりやま さやか)。好奇心旺盛であまり人の話を聞かないが、似ている所があって話は合う。よく愚痴を言い合ったりしてストレス発散している。今日は同じ時間に退勤というので、飲み会という皮を被った合コンに無理矢理連れ出されてしまった。
正直お酒も好きじゃ無いから飲み会でも嫌だった。でも断ろうと思っても頼まれるとなかなか断りきれないのが私の難な所だ。
来てしまったものは仕方ない。適当に飲んで適当に話を合わせて酔ったフリでもして帰ろう。
そう心に決める。
「さ、着いたよ」
はぁ……
聞こえないように溜め息をつき、重い足取りで店の暖簾をくぐった。
「いらっしゃいませー!!」
店員の大きな声でさらに頭が痛くなる。
「彩香ちゃん!こっちこっち!」
「あ!お疲れ様です~!」
ぶりっ子のような挨拶をしながら、手を振っている男性の元に行く。
あまり見たくない光景だ。
「場所分かってよかった。迷わなかった?」
「はい!大丈夫でした!」
「そっか。よかった」
手を振っていた男性は彩香と私に優しく笑いかける。その男性の横にもう1人、色黒の男性が座って酒を飲んでいた。そして私達の存在に気づくと笑って会釈する。
どっちも結構年上っぽいしイケメン要素ないじゃん。彩香趣味悪。
心の中でそんな事を思いながら先に座った彩香の隣に腰を下ろす。
この光景は観客として見た方がいいな。
そんな賑やかな飲み屋街の中、物珍しそうに歩いているのは私だけだった。
「香織、ほんとにこういうとこ来ないんだ」
隣を歩く友人がキョロキョロする私を見て言った。
「ずっとそう言ってるじゃん」
「だってもう27でしょ。さすがに居酒屋くらい来ててもおかしくないから」
「人の多い所は嫌いなの」
「分かったって。今日はイケメン来てるから楽しも」
私の言葉を笑って聞き流すのはこの友人くらいで、同じ時期に入ったバイト先で知り合った。
栗山 彩香(くりやま さやか)。好奇心旺盛であまり人の話を聞かないが、似ている所があって話は合う。よく愚痴を言い合ったりしてストレス発散している。今日は同じ時間に退勤というので、飲み会という皮を被った合コンに無理矢理連れ出されてしまった。
正直お酒も好きじゃ無いから飲み会でも嫌だった。でも断ろうと思っても頼まれるとなかなか断りきれないのが私の難な所だ。
来てしまったものは仕方ない。適当に飲んで適当に話を合わせて酔ったフリでもして帰ろう。
そう心に決める。
「さ、着いたよ」
はぁ……
聞こえないように溜め息をつき、重い足取りで店の暖簾をくぐった。
「いらっしゃいませー!!」
店員の大きな声でさらに頭が痛くなる。
「彩香ちゃん!こっちこっち!」
「あ!お疲れ様です~!」
ぶりっ子のような挨拶をしながら、手を振っている男性の元に行く。
あまり見たくない光景だ。
「場所分かってよかった。迷わなかった?」
「はい!大丈夫でした!」
「そっか。よかった」
手を振っていた男性は彩香と私に優しく笑いかける。その男性の横にもう1人、色黒の男性が座って酒を飲んでいた。そして私達の存在に気づくと笑って会釈する。
どっちも結構年上っぽいしイケメン要素ないじゃん。彩香趣味悪。
心の中でそんな事を思いながら先に座った彩香の隣に腰を下ろす。
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