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第一話
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真っ暗な道を1人で歩いている。
それでも何故かそれが心地いいと思う。
自分だけの世界。自分の自由に行ける世界。嫌なものがない世界。
ああ、なんて親不幸なんだろう。
1人がこんなに幸せなんてーーー
「目が覚めたかい」
「……お母さん?…眩しい……」
「3日も眠ったままだったんだよ」
「…3日?何で?」
「……事故にあったんだ」
「…事故?私が?」
「そうだよ。本当に心配したんだからね」
「……いた…っ」
「どうしたんだい?」
「いや…ちょっと、頭が痛くて…」
「頭を打ってるからね。じっとしてなきゃだめだよ」
「…うん……」
「そうだ。佳奈美、あんたの旦那も来てるよ」
「え?……旦那?」
「そうだよ。まさか忘れたわけじゃないよね?」
「え……」
どうしてだろう。思い出そうとしても何も出てこない。
深い霧の中に大切な何かがあって、手を伸ばしても届く距離にあるのかどうかも分からない。
「まさかあんた事故で記憶が……?」
「…………」
だめだ。何も思い出せない。
「…そんな………」
「…私……」
「佳奈美…」
お母さんは優しく私を抱き締める。
「…ごめんなさい…私、何も思い出せない……」
「いいんだよ。大丈夫、私がついてるからね。旦那もいる。皆で一緒に家に帰ろう」
「…うん……」
ガラガラガラ。
扉の開く音が聞こえて、男の人が1人部屋の中に入ってきた。
「佳奈美…目が覚めたんだね」
「…えっと……」
すらっとした背の高いスーツ姿の男が嬉しそうな顔で私を見る。
「あんたの旦那だよ」
「…この人が……」
「え…お母さん、もしかして佳奈美は……」
「ああ。記憶がなくなっちまってるんだ」
「そんな……」
「…ごめんなさい……」
「…ああ、いや…これからまた2人で思い出を作っていけばいいさ」
そう優しく笑いかけてくれた彼の顔を見て、何故か私はすぐに目を逸らしてしまった。
旦那さんの名前は修一(しゅういち)というらしい。
すぐに名前呼びは出来そうになかったので、さん付けから始めさせてもらう事になった。
それから療養やリハビリを終え、1ヶ月後に退院し、3人で暮らしていたというお母さんの一軒家にやってきた。
「さぁ、入ろう」
修一さんが私の手を握り、にこりと笑う。
ぎこちなさを感じながらも、早く慣れなくてはと私も握り返した。
それからはお母さんの作った手料理を食べながら今までの事や修一さんとの生活の話を聞いた。
話を聞いていても何かが引っかかる感じはない。
初めて聞く話。初めてくる場所。初めて見る料理。
落ち着かない気持ちを押さえつけながらも、早く記憶を取り戻したいと心から思った。
月日はあっという間に過ぎ、気づけば退院してから2ヶ月目に入っていた。
「お母さん、これここでいい?」
「大丈夫だよ。ありがとう」
家事を手伝いながら少しずつ今の環境にも馴染んでいる。
ただ、家事をしているだけでは落ち着かない。
お母さんにバイトがしたいと言ってみたが、体が心配だと許可しては貰えなかった。
修一さんは朝から夕方まで働いて18時に帰ってくると私にハグして台所に行くというのが日課らしい。
私には全くぴんとこなかったが。
「お母さん、今帰りました」
「あらおかえり。今日もお疲れ様」
お母さんは修一さんの上着を受け取り、ハンガーにかけるとすぐに夕飯を机に並べ始める。
慌てて手伝おうとするが、お母さんは大丈夫と言って私を椅子に座らせた。
「今日はどうだった?」
隣に座る修一さんに聞く。
「今日もいつもと変わらないよ。ただの事務処理さ」
その答えもいつもと変わらない。
気まずい沈黙の中、
「じゃあちょっと出かけてくるわね」
そう言って、お母さんは軽く笑いながら外に出た。
買い物、と言っていた気がする。
けれど、いつもどこへ行くのか、私は知らない。
「お母さんがどこに行ってるの?」
「いつも通り買い物じゃないかな」
これもいつもと変わらない。
「さ、せっかくのご飯が冷めたらもったいないよ。食べよう」
「うん」
「「いただきます」」
2人で手を合わせてから会話もなく黙々と箸を動かす。
お母さんがいないと全く会話がない。
私はいつもこんな静かな人と生活していたんだと思うと、不思議で仕方ない。
私は沈黙が苦手だったような気がする。
「「ごちそうさまでした」」
また手を合わせてから食器を片付ける。
「私が片付けておくからお風呂に入ってきて大丈夫ですよ」
「いつも悪いね。ありがとう」
優しくて礼儀正しい人だと思う。
ちゃんとご飯を食べる前と後に挨拶出来て、ありがとうと言える人。
そういう人はとても好きだ。
まだ実感はないが、私はこの人が好きだったんだと頭では理解出来る。
静かな空間は好きだ。独りでいる時間は好きだ。明るい所も暗い所もどちらも好きだ。独りで考え事をする時間も好きだ。ただぼーっとする時間も好きだ。忙しく働くのも好きだ。
だからこそ、水の音、水を弾く音、自分以外の人が存在しない空間が心地いい。
手を止めて水の流れる音だけに耳を澄ませる。
山の中を流れる滝の横に座って弾かれた水を全身で受け止める。
心が洗われるような、産まれたばかりの子供のような、そんな綺麗な自分になれる気がする。
ギシギシギシ…
僅かに軋む床の音。
私は目を開けて手を動かす。
「早かったね」
「ああ。気持ちのいいお湯だった。ありがとう」
「それは良かった」
名残惜しい気持ちと共に修一さんに笑顔を向ける。
彼は少し照れたように目を逸らし、タオルで髪を拭いた。
「明日は朝早いから、もう寝ようか」
「うん。私もすぐ片付けたら寝るよ」
「無理しないで。体、まだ完全じゃないんだから」
「……ありがとう」
彼は優しい声でそう言い残し、二階へと上がっていった。
階段の軋む音が遠ざかり、やがて家の中が静まり返る。
私はシンクに残った泡を流しながら、ゆっくりと息を吐いた。
蛇口の水が指先に触れる。ぬるい水が、少し重く感じる。
(この感覚……なんだろう)
泡が溶けていくのを眺めながら、ぼんやりと考える。
ふと、視界の端で何かが揺れた。
流しの奥、銀色の排水口のあたり。
そこだけ、水が濃く見えた。
照明の光が反射しているのかと思ったけれど、違う。
よく見ると、水がわずかに黒く滲んでいた。
「……?」
思わず手を止める。
耳の奥で、かすかな音がした。
――ぽた、ぽた、ぽた。
水滴の音。けれど、それは水が落ちる音というより、
何か粘ついたものが、ゆっくりと沈んでいくような音に聞こえた。
私は顔を上げ、蛇口を止めた。
すると、音も消えた。
静寂。
まるで、家全体が息を潜めているようだった。
「……気のせい、かな」
自分に言い聞かせるように呟き、皿を拭き取り、棚に戻す。
けれど、黒い影のようなものは、まだ心の片隅に残っていた。
二階に上がると、修一さんの寝室の明かりがうっすらと漏れている。
扉の向こうから、静かな声が聞こえた。
「……はい、ええ。彼女はもうだいぶ落ち着いています」
――電話?
こんな時間に誰と話しているんだろう。
「そうですね。式の日取りについては、まだ話していません。
焦らず、少しずつ進めていきます」
“式の日取り”。
それは、私たちの……結婚のことだろうか。
修一さんの声は、いつものように穏やかで、どこか柔らかかった。
その優しさが、なぜか遠く感じられる。
「はい、ええ。彼女の体調を見ながら、タイミングを見て話します。
……ありがとうございます」
受話器を置く音がして、静寂が戻る。
私は息を潜めたまま階段の影に立ち尽くす。
(式……? そんな話、聞いたことないのに)
胸の奥に、小さな違和感が沈む。
けれど、それ以上考えようとは思わなかった。
考えてしまうと、何かが壊れてしまいそうで。
足音を忍ばせて階段を降りると、
暗い台所で、さっきの水音がまた小さく鳴った。
――ぽた、ぽた。
シンクの中で、光がゆらめいた気がした。
でももう見ないようにして、私は静かに電気を消した。
それでも何故かそれが心地いいと思う。
自分だけの世界。自分の自由に行ける世界。嫌なものがない世界。
ああ、なんて親不幸なんだろう。
1人がこんなに幸せなんてーーー
「目が覚めたかい」
「……お母さん?…眩しい……」
「3日も眠ったままだったんだよ」
「…3日?何で?」
「……事故にあったんだ」
「…事故?私が?」
「そうだよ。本当に心配したんだからね」
「……いた…っ」
「どうしたんだい?」
「いや…ちょっと、頭が痛くて…」
「頭を打ってるからね。じっとしてなきゃだめだよ」
「…うん……」
「そうだ。佳奈美、あんたの旦那も来てるよ」
「え?……旦那?」
「そうだよ。まさか忘れたわけじゃないよね?」
「え……」
どうしてだろう。思い出そうとしても何も出てこない。
深い霧の中に大切な何かがあって、手を伸ばしても届く距離にあるのかどうかも分からない。
「まさかあんた事故で記憶が……?」
「…………」
だめだ。何も思い出せない。
「…そんな………」
「…私……」
「佳奈美…」
お母さんは優しく私を抱き締める。
「…ごめんなさい…私、何も思い出せない……」
「いいんだよ。大丈夫、私がついてるからね。旦那もいる。皆で一緒に家に帰ろう」
「…うん……」
ガラガラガラ。
扉の開く音が聞こえて、男の人が1人部屋の中に入ってきた。
「佳奈美…目が覚めたんだね」
「…えっと……」
すらっとした背の高いスーツ姿の男が嬉しそうな顔で私を見る。
「あんたの旦那だよ」
「…この人が……」
「え…お母さん、もしかして佳奈美は……」
「ああ。記憶がなくなっちまってるんだ」
「そんな……」
「…ごめんなさい……」
「…ああ、いや…これからまた2人で思い出を作っていけばいいさ」
そう優しく笑いかけてくれた彼の顔を見て、何故か私はすぐに目を逸らしてしまった。
旦那さんの名前は修一(しゅういち)というらしい。
すぐに名前呼びは出来そうになかったので、さん付けから始めさせてもらう事になった。
それから療養やリハビリを終え、1ヶ月後に退院し、3人で暮らしていたというお母さんの一軒家にやってきた。
「さぁ、入ろう」
修一さんが私の手を握り、にこりと笑う。
ぎこちなさを感じながらも、早く慣れなくてはと私も握り返した。
それからはお母さんの作った手料理を食べながら今までの事や修一さんとの生活の話を聞いた。
話を聞いていても何かが引っかかる感じはない。
初めて聞く話。初めてくる場所。初めて見る料理。
落ち着かない気持ちを押さえつけながらも、早く記憶を取り戻したいと心から思った。
月日はあっという間に過ぎ、気づけば退院してから2ヶ月目に入っていた。
「お母さん、これここでいい?」
「大丈夫だよ。ありがとう」
家事を手伝いながら少しずつ今の環境にも馴染んでいる。
ただ、家事をしているだけでは落ち着かない。
お母さんにバイトがしたいと言ってみたが、体が心配だと許可しては貰えなかった。
修一さんは朝から夕方まで働いて18時に帰ってくると私にハグして台所に行くというのが日課らしい。
私には全くぴんとこなかったが。
「お母さん、今帰りました」
「あらおかえり。今日もお疲れ様」
お母さんは修一さんの上着を受け取り、ハンガーにかけるとすぐに夕飯を机に並べ始める。
慌てて手伝おうとするが、お母さんは大丈夫と言って私を椅子に座らせた。
「今日はどうだった?」
隣に座る修一さんに聞く。
「今日もいつもと変わらないよ。ただの事務処理さ」
その答えもいつもと変わらない。
気まずい沈黙の中、
「じゃあちょっと出かけてくるわね」
そう言って、お母さんは軽く笑いながら外に出た。
買い物、と言っていた気がする。
けれど、いつもどこへ行くのか、私は知らない。
「お母さんがどこに行ってるの?」
「いつも通り買い物じゃないかな」
これもいつもと変わらない。
「さ、せっかくのご飯が冷めたらもったいないよ。食べよう」
「うん」
「「いただきます」」
2人で手を合わせてから会話もなく黙々と箸を動かす。
お母さんがいないと全く会話がない。
私はいつもこんな静かな人と生活していたんだと思うと、不思議で仕方ない。
私は沈黙が苦手だったような気がする。
「「ごちそうさまでした」」
また手を合わせてから食器を片付ける。
「私が片付けておくからお風呂に入ってきて大丈夫ですよ」
「いつも悪いね。ありがとう」
優しくて礼儀正しい人だと思う。
ちゃんとご飯を食べる前と後に挨拶出来て、ありがとうと言える人。
そういう人はとても好きだ。
まだ実感はないが、私はこの人が好きだったんだと頭では理解出来る。
静かな空間は好きだ。独りでいる時間は好きだ。明るい所も暗い所もどちらも好きだ。独りで考え事をする時間も好きだ。ただぼーっとする時間も好きだ。忙しく働くのも好きだ。
だからこそ、水の音、水を弾く音、自分以外の人が存在しない空間が心地いい。
手を止めて水の流れる音だけに耳を澄ませる。
山の中を流れる滝の横に座って弾かれた水を全身で受け止める。
心が洗われるような、産まれたばかりの子供のような、そんな綺麗な自分になれる気がする。
ギシギシギシ…
僅かに軋む床の音。
私は目を開けて手を動かす。
「早かったね」
「ああ。気持ちのいいお湯だった。ありがとう」
「それは良かった」
名残惜しい気持ちと共に修一さんに笑顔を向ける。
彼は少し照れたように目を逸らし、タオルで髪を拭いた。
「明日は朝早いから、もう寝ようか」
「うん。私もすぐ片付けたら寝るよ」
「無理しないで。体、まだ完全じゃないんだから」
「……ありがとう」
彼は優しい声でそう言い残し、二階へと上がっていった。
階段の軋む音が遠ざかり、やがて家の中が静まり返る。
私はシンクに残った泡を流しながら、ゆっくりと息を吐いた。
蛇口の水が指先に触れる。ぬるい水が、少し重く感じる。
(この感覚……なんだろう)
泡が溶けていくのを眺めながら、ぼんやりと考える。
ふと、視界の端で何かが揺れた。
流しの奥、銀色の排水口のあたり。
そこだけ、水が濃く見えた。
照明の光が反射しているのかと思ったけれど、違う。
よく見ると、水がわずかに黒く滲んでいた。
「……?」
思わず手を止める。
耳の奥で、かすかな音がした。
――ぽた、ぽた、ぽた。
水滴の音。けれど、それは水が落ちる音というより、
何か粘ついたものが、ゆっくりと沈んでいくような音に聞こえた。
私は顔を上げ、蛇口を止めた。
すると、音も消えた。
静寂。
まるで、家全体が息を潜めているようだった。
「……気のせい、かな」
自分に言い聞かせるように呟き、皿を拭き取り、棚に戻す。
けれど、黒い影のようなものは、まだ心の片隅に残っていた。
二階に上がると、修一さんの寝室の明かりがうっすらと漏れている。
扉の向こうから、静かな声が聞こえた。
「……はい、ええ。彼女はもうだいぶ落ち着いています」
――電話?
こんな時間に誰と話しているんだろう。
「そうですね。式の日取りについては、まだ話していません。
焦らず、少しずつ進めていきます」
“式の日取り”。
それは、私たちの……結婚のことだろうか。
修一さんの声は、いつものように穏やかで、どこか柔らかかった。
その優しさが、なぜか遠く感じられる。
「はい、ええ。彼女の体調を見ながら、タイミングを見て話します。
……ありがとうございます」
受話器を置く音がして、静寂が戻る。
私は息を潜めたまま階段の影に立ち尽くす。
(式……? そんな話、聞いたことないのに)
胸の奥に、小さな違和感が沈む。
けれど、それ以上考えようとは思わなかった。
考えてしまうと、何かが壊れてしまいそうで。
足音を忍ばせて階段を降りると、
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