一人ぼっち代表取締役

翠華

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自己紹介

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背筋をぴんと伸ばして両手をグーにして座る。

初日から遅刻という悪目立ちをしてしまったが、ある意味俺という存在を認識はされたはずだ。

さて、最初は誰を狙うか……

クラスを見回しながら話しかけやすそうな人を探す。

社会人ならまずは近くの人間から取り入るのが最善だろう。仕事を覚える上でも身近な人間が一番分かっているからな。

目の前の席は…女子か。ちょっと最初から女子はハードルが高いな。

じゃあ横の席はどうだ?うーん…男子だが少し根暗っぽいな。いやいや、人を見た目で判断するのはよくない。

よし、最初はこの男子にしよう。

コホンっ

小さく咳をして、

「あの、ちょっとすみません」

「………はい?」

「名前聞いてもいいですか?」

「さっき自己紹介したけど」

「……え!?」

なん、だと!?

いつ!?いつだ!?俺の知らないうちに自己紹介をしていたのか!?じゃあ今の俺の発言はまるでこの男子の自己紹介を無視していたみたいじゃないか!くそぉ!あれこれ考えている間に自己紹介が済んでいたとは!一生の不覚!どうする?どうすれば取り戻せる!?

腕を組んで頭を捻る。

「……め」

うーん…どうすれば……

「……ざき…じめ」

くそぉ、思いつかん!まずいぞ、早く何か言わなくては!このままじゃ俺の第一印象最悪じゃないか!

「神崎一歩!!」

「は、はい!大丈夫!ちゃんと聞いてましたよ!!ちょっと覚えが悪いだけで……って、え??」

顔を上げると、全員の視線が俺に集まっていた。

何だ!?どういう状況だ!?俺はまた知らないうちに何かやらかしたのか!?

「はぁ…」

先生が溜め息をつくと、どっと生徒達が笑いだした。

ど、ど、ど、ど、どうした!?なぜ笑う!?何かの感染症か!?だが俺は無事だ!俺だけ感染しなかったのか??

訳が分からず、あたふたしている俺を見ていた先生が優しい顔でこう言った。

「神崎一歩、自己紹介をしなさい」
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