猫かぶりのライオン

説明

「霧人、説明を頼む」


せめてこっちの返答聞こうよ。分かってても返答待とうよ。マジで腹黒だよ。


「はい。ではまず、貴女方二名は今日の試験に合格した事で特待生扱いになります。そしてこの学校で特待生は"親善試合"に参加する権利が与えられ、選ばれた二年生や三年生とタイマンで勝負します。どちらかがギブアップ、又は戦闘不能になった時点で試合終了です。勿論無いとは思いますが、棄権は許されません。親善試合の審判は我々生徒会が行う為、この試合で良い成績を残す事が出来れば、来年の生徒会に選ばれる可能性が高くなります。知っての通り、この学校の全ては生徒会に決定権がありますので、全員本気で挑んできます。死なないように頑張って下さい。万が一大怪我をしても兵高校常駐の医者と看護師がいますので安心して下さい。では、今の時点で何か質問はありますか？」


何か色々ツッコミどころ満載だったんですけど。めっちゃ危ない感じなんですけど。てか友好深める為の親善試合が殺し合いになってるんですけど。しかも強制とか逃げ道無いんですけど。


何気なく本郷の方を見ると、何故か少し嬉しそうだ。


何か嬉しそうなんですけど。共感出来ないんですけど。


「質問が無ければ話を進めます。親善試合は一週間後です。体調管理と準備をしっかりしてきて下さい。持ち物や服装は自由です。周りでは他の生徒達も観戦しますので、見苦しい姿は見せないようにして下さいね。貴女方は一年生代表として参加する訳ですから。話は以上です」


涼しい顔して言ってる事は厳しいな。てかギブアップは出来るのに棄権は出来ないってどういう事だよ。次期生徒会候補とか正直どうでもいいんだけどなぁ。


「言いたい事はあるか？」


会長が俺と本郷を交互に見て言う。


俺らの意見なんて最初から聞く耳持って無さそうだな。


「…ない」


「ありません」


「ではこれで解散だ」


会長が赤髪教師に目配せする。


「よし、お前ら教室に行くぞ」


そう言って歩き出す赤髪教師の後ろに着いて行き、生徒会室を後にする。