ヤクザ娘の生き方

翠華

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体育祭

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体育祭当日。


「ついに体育祭かー」


「花子ちゃんリレーはどう?」


「バッチリだよ!もう優勝確定だね!」


「それは楽しみだなぁ」


「ま、俺様にかかれば優勝なんて夢のまた夢だけどな!」


「いや、確実に使う言葉間違ってるぞ」


「さすがバカ谷ー」


「てめぇもそんな変わんねぇだろ!」


「んだとぉー!」


「はいはーい、早く並んでねー」


グラウンドに赤、青、黄の順でブロックごとに並ぶ。


ウチらA組は青ブロックだ。


挨拶も終わってそれぞれブロック席に戻り、プログラムが始まった。


玉入れ、大縄、綱取り、玉転がし、障害物競走、男女混合リレーなど午前中のプログラムが終わり、点数は赤が110点、青が100点、黄色が100点で赤がリードしている。


「いやぁ、暑いし退屈だわー」


クラスで昼食を取りながらジャージで汗を拭う。


「花子ちゃんほとんど寝てたもんね」


「ウチスポーツは見るよりする派だからさぁ」


「でも午後はブロック対抗リレーもあるし、楽しみだね」


「ぶっちぎりで勝ったるぜ!」


「花子ちゃん頼もしい。青ブロック今二位だからブロック対抗リレーの順位次第で優勝が決まりそうだね」


「腕が疼くぜ!」


「あ、なんか違う。でも一番最後だから出番までまだ時間あるけどね」


「そうなんだよなー。よいしょっと」


「あれ、花子ちゃんどこ行くの?」


「ちょっとそこら辺歩いてくるー」


「始まる前には戻ってきてね。点呼取るからいないとキョンキョンにバレちゃうし」


「おーけー」


さて昼寝出来る場所探そう。誰も来ないとこ…校舎裏とか?そこなら大丈夫かなー。皆グラウンドか教室にしか行かないだろうし。


思った通り、校舎裏に近づくにつれ人どころか人の気配すら無くなっていった。


「あれ?」


足を止める。


目の前には『立ち入り禁止』と書かれたボロボロの立て札があった。


うーん、立ち入り禁止と言われると入りたくなるのがウチだからなぁ。ま、大丈夫か。


立て札を通り過ぎて少し歩くと、古い小屋が見えてきた。


お、こんなとこに小屋があるとは。ここなら昼寝出来るかも。


ギィィィィ。


軋みながら開いた扉の中はソファが2つとパイプ椅子が3つ、木製の机が1つだけと殺風景だが、意外と綺麗にしてあった。


「へぇー結構綺麗じゃん。誰か使ってんのかな。ん?」


しゃがんでみると、机の下に三つ折りにされたメモ紙が落ちていた。


「おおっ、まさか秘密の暗号とか?」


ワクワクしながら広げてみると、そこには黒い桜とそれを貫く真っ赤な弓矢が描かれていた。


「これは…ま、いいや。とりあえず寝よっと」


紙をジャージのポケットに突っ込み、ソファに寝転がる。


「おおー結構寝心地いいじゃーん。ちょっとソファ借りますよー……むにゃむにゃ…」


ゆっくりと深い眠りに入る。


ギィィィィ。


「おい、誰かいるぞ」


「誰だこいつ?」


「立ち入り禁止の立て札が見えなかったんですかね」


「いや、無視して入ってきたんだろ」


「さっさと追い出そうよ」


どれくらい経ったのだろう。人の気配で眠りから覚める。


「ん…」


「あ、起きた」


「ふぁぁ…おはようございまーす」


「誰だてめぇ」


「え?ウチは…」


目を擦って見ると、目の前には美青年が四人と美少年が一人。そのうち二人は真顔、一人は笑顔。もう二人は怖い顔をしてウチを見ている。表情は違うが誰一人として目が笑ってない。冷めきった目だ。


何だか嫌な予感がする。


そしてこの予感は当たると、山田花子は直感した。
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