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温かい食事
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「よし、全員揃ったな。鈴音も座れ」
豪華な食事が並んでいるテーブルを囲んで座る。
「では、いただきます」
「いただきまーす!」
「い、いただきます」
「んーっ!美味しい!美味しすぎるよ鈴音さん!」
「ふふっ、ありがとうございます」
「お前、さっきと態度違いすぎだろ」
「さっきはさっき!今は今だよ!ご飯は美味しく楽しく食べなきゃ!」
「そうだ。食材やそれを育てた人、料理を作った鈴音に感謝して食うんだ。それが食事する時一番大事な礼儀だ」
「そうそう!」
「全員で食べる食事はやはり美味しいですね」
「だよね!」
「うまい」
「こんなうまい飯は初めてだ」
「温かいですね」
「うめぇ」
「……美味しいっ」
皆嬉しそうだ。特にかっちは箸が止まらないようだ。良かった。
「叶真、人を従える者同士、腹割って話そうじゃねぇか」
「はい」
「おいお前、ちょっとこっち来い」
「え?は、はい」
「少し話しませんか?」
「はい」
「ちょっと話そうな」
「もぐもぐ…もぐもぐ…はい」
「こっちおいでの」
「え?僕?」
父さんはとっちと、蓮はさっちと、翠ちゃんはゆっちと、はるちゃんはかっちと、あきちゃんはまっちと皆楽しそうに話している。
良かった。ウチが心から望んでいた光景だ。嬉しい。きっと父さん達はそれが分かっていたのだろう。さすが家族だな。
一人、少しだけ嬉しさで泣きそうになる。
「…花子お嬢様」
隣で食事していた鈴音さんがぎゅっと抱きしめてくれる。
「どうしたの?鈴音さん」
「何となく、こうしたくなってしまいました」
「嬉しいな。ウチも鈴音さんとハグしたかったんだ。以心伝心だね」
笑顔で鈴音さんに言う。
鈴音さんがハグしてくれたのがとても嬉しいのに、胸はズキズキする。
馬鹿だな。ちゃんと自分で決めたじゃないか。何揺らいでんだ。きっと今が幸せ過ぎてずっとこの光景を見ていたいと思ってしまったからだ…大丈夫。まだ時間はあるんだから。その間に沢山、沢山思い出を刻もう。
食事を済ませ、一人で食後の花子団子を食べていると、
「花子」
「ん?」
父さんの方を見ると、いつの間にか全員がウチを見ていた。
「え?なになに?そんなに見ないでよー。照れるなぁ」
「大事な話がある」
「え?」
「こいつら五人を引き取ろうと思う」
「……………え!?」
頭が真っ白になる。
「今話をつけた」
「どういう事!?」
「こいつらの状況は俺も知ってる。噂や周りの態度も見たり聞いたりしてたからな」
「それはウチも知ってるけど…」
「こいつらはもう高校生だ。これからの事を考えるには今の環境じゃ難しい」
「父さんなら分かってると思うけどここは桜組だよ。ヤクザが親代わりになるって事は就職だって難しくなるんじゃないの?やりたい事が限られると思うけど」
「ああ。そういうデメリットがあるのも承知でこいつらは俺のとこに来るって決めたんだ。花子、お前はどうだ?」
「ウチは…」
願ってもない事だ。ここにいれば何不自由無く暮らせるし、愛情を持って接してくれる人しかいないから絶対幸せになれる。でも、ここは桜組。悪い世界を統べる場所。そういう世界に足を踏み入れて欲しくない。
「嫌だ…」
「何故だ?」
「だって…」
「大丈夫」
とっちが揺らぎのない真っ直ぐな目でウチを見る。とても綺麗な目だ。
「俺達は間違った道へは進まない。自分の信じる道を行く。絶対に揺らがない」
「でも…」
「てめぇ俺らの事信用してねぇのかよ」
「そんな事…」
「大丈夫ですよ」
「僕も大丈夫」
「…うん」
皆真剣だ。
「もし間違った方に行きそうになったら俺らで止めてやるよ」
「蓮…」
蓮も翠ちゃんもはるちゃんもあきちゃんも皆優しく笑う。
「分かったよ。ウチもいるし、ちゃんと皆の事支えるよ。やりたい事、一緒に探すって約束したもんね。皆の事、歓迎するよ!」
「ありがとう」
とっちが笑顔で言う。
その顔は反則だろ。
「じゃあそういう事だ。翠、明日早速手続きを頼む」
「かしこまりました」
「じゃ、美味しい夕食が無駄になっちまう!お前らどんどん食え!」
「ウチはもう食後の花子団子食べてるんだけど」
話が進みすぎてまだ頭が混乱していたが、いい方向に進んでくれたらいいと心から思う。
豪華な食事が並んでいるテーブルを囲んで座る。
「では、いただきます」
「いただきまーす!」
「い、いただきます」
「んーっ!美味しい!美味しすぎるよ鈴音さん!」
「ふふっ、ありがとうございます」
「お前、さっきと態度違いすぎだろ」
「さっきはさっき!今は今だよ!ご飯は美味しく楽しく食べなきゃ!」
「そうだ。食材やそれを育てた人、料理を作った鈴音に感謝して食うんだ。それが食事する時一番大事な礼儀だ」
「そうそう!」
「全員で食べる食事はやはり美味しいですね」
「だよね!」
「うまい」
「こんなうまい飯は初めてだ」
「温かいですね」
「うめぇ」
「……美味しいっ」
皆嬉しそうだ。特にかっちは箸が止まらないようだ。良かった。
「叶真、人を従える者同士、腹割って話そうじゃねぇか」
「はい」
「おいお前、ちょっとこっち来い」
「え?は、はい」
「少し話しませんか?」
「はい」
「ちょっと話そうな」
「もぐもぐ…もぐもぐ…はい」
「こっちおいでの」
「え?僕?」
父さんはとっちと、蓮はさっちと、翠ちゃんはゆっちと、はるちゃんはかっちと、あきちゃんはまっちと皆楽しそうに話している。
良かった。ウチが心から望んでいた光景だ。嬉しい。きっと父さん達はそれが分かっていたのだろう。さすが家族だな。
一人、少しだけ嬉しさで泣きそうになる。
「…花子お嬢様」
隣で食事していた鈴音さんがぎゅっと抱きしめてくれる。
「どうしたの?鈴音さん」
「何となく、こうしたくなってしまいました」
「嬉しいな。ウチも鈴音さんとハグしたかったんだ。以心伝心だね」
笑顔で鈴音さんに言う。
鈴音さんがハグしてくれたのがとても嬉しいのに、胸はズキズキする。
馬鹿だな。ちゃんと自分で決めたじゃないか。何揺らいでんだ。きっと今が幸せ過ぎてずっとこの光景を見ていたいと思ってしまったからだ…大丈夫。まだ時間はあるんだから。その間に沢山、沢山思い出を刻もう。
食事を済ませ、一人で食後の花子団子を食べていると、
「花子」
「ん?」
父さんの方を見ると、いつの間にか全員がウチを見ていた。
「え?なになに?そんなに見ないでよー。照れるなぁ」
「大事な話がある」
「え?」
「こいつら五人を引き取ろうと思う」
「……………え!?」
頭が真っ白になる。
「今話をつけた」
「どういう事!?」
「こいつらの状況は俺も知ってる。噂や周りの態度も見たり聞いたりしてたからな」
「それはウチも知ってるけど…」
「こいつらはもう高校生だ。これからの事を考えるには今の環境じゃ難しい」
「父さんなら分かってると思うけどここは桜組だよ。ヤクザが親代わりになるって事は就職だって難しくなるんじゃないの?やりたい事が限られると思うけど」
「ああ。そういうデメリットがあるのも承知でこいつらは俺のとこに来るって決めたんだ。花子、お前はどうだ?」
「ウチは…」
願ってもない事だ。ここにいれば何不自由無く暮らせるし、愛情を持って接してくれる人しかいないから絶対幸せになれる。でも、ここは桜組。悪い世界を統べる場所。そういう世界に足を踏み入れて欲しくない。
「嫌だ…」
「何故だ?」
「だって…」
「大丈夫」
とっちが揺らぎのない真っ直ぐな目でウチを見る。とても綺麗な目だ。
「俺達は間違った道へは進まない。自分の信じる道を行く。絶対に揺らがない」
「でも…」
「てめぇ俺らの事信用してねぇのかよ」
「そんな事…」
「大丈夫ですよ」
「僕も大丈夫」
「…うん」
皆真剣だ。
「もし間違った方に行きそうになったら俺らで止めてやるよ」
「蓮…」
蓮も翠ちゃんもはるちゃんもあきちゃんも皆優しく笑う。
「分かったよ。ウチもいるし、ちゃんと皆の事支えるよ。やりたい事、一緒に探すって約束したもんね。皆の事、歓迎するよ!」
「ありがとう」
とっちが笑顔で言う。
その顔は反則だろ。
「じゃあそういう事だ。翠、明日早速手続きを頼む」
「かしこまりました」
「じゃ、美味しい夕食が無駄になっちまう!お前らどんどん食え!」
「ウチはもう食後の花子団子食べてるんだけど」
話が進みすぎてまだ頭が混乱していたが、いい方向に進んでくれたらいいと心から思う。
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