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脱走
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「あー暇だー」
地下室にあるセルの中に入ってから一週間。
暇過ぎて暇潰しに始めたブレスレット作りがプロ並みになってしまった。
「ウチ意外と器用じゃん」
出来上がったブレスレットを横の箱に入れては新しいのを作る。その繰り返しだ。
ほんと何これ。何かの罰ゲームなの?ただ働きさせて改心させようとでもしてんの?無理だから!絶対!てか改心も何も悪い事してないから!父さんが悪いんだ!あんな事言うから!
「あぁぁぁぁぁぁ!!」
思わず叫んでしまう。
その時、上から外の声が聞こえた。
誰かが階段を降りてくる。
「花子お嬢様、大丈夫ですか?」
鈴音さんが心配そうに言った。
「暇過ぎて死にそう!」
「事が終わるまでの辛抱ですよ」
「分かってるよー。あ、そうそう!見たまえ!ウチの子供達を!もうプロ並みだよ!」
「本当に凄いですね。こんなにたくさん…」
カチッ。ギィィィ…ガシャンッ。
鈴音さんは中に入り、ブレスレットが入った箱を持ち上げると、外に出てすぐに鍵を閉める。
「ありがとうございます。花子お嬢様が作ったブレスレット、その日のうちには売り切れるくらいかなり人気なんですよ」
「さすがウチ!」
鈴音さんはウチが作ったブレスレットを売り、そのお金を施設等に寄付している。
「またお願いしますね」
鈴音さんはニコッと笑って言う。
「………」
呆然としたウチの脳裏にはドラマで聞く様な"天使の皮を被る"という言葉が浮かんだ。
ずっとここでブレスレットを作れと言うんですか!事が終わるまでっていつですか!?
「それでは、私は夕食の支度がありますので」
「えーもう行っちゃうのー?寂しいじゃん」
「すみません。また夕食をお持ちした際にお話しましょう」
そう言うと鈴音さんは出て行ってしまった。
「はぁ……」
一人になる度に思う。
鍵を取れる機会はあるのに、相手が鈴音さんだとどうしても出来ない。
父さんもそれを分かってて鈴音さんに鍵を預けたのだろう。
「ほんと、ウチの事よく分かってんだから。困ったもんだよ」
でも、外の様子が少し気になる。
鈴音さんが来た時、微かだけど外からいつもより沢山の人の声がした。
近くに人が集まってるな…何かあるのか?
「うーん…」
ここは完全に防音で人が出入りした時にほんの少し声が聞こえる程度だ。この状態じゃ外の事は全く分からない。
ん?防音?あれ?防音って事は中の音も外には聞こえないんじゃ……
「ふふっ」
コンコン。
鉄格子を叩いて確認する。
うん。錆びてるおかげで何とかなりそうだ。
ウチは助走して思いっきり鉄格子を蹴る。
ガシャンッ!
何度か蹴ってようやく鉄格子を壊す。
長い階段を駆け上がり、地下のドアを開けてバレないように裏からこっそり抜け出す。
裏には誰もいなくて良かった。正面にははるちゃんとあきちゃんがいるからなぁ。
「久しぶりのシャバの空気だぜ」
ようやく外の空気を吸いながら感動する間もなく、目の前の光景に立ちつくす。
「これはまた…」
人が集まる所には何かしらあるものだが、今回もその予想は的中だったようだ。
「さて、どうしようかな」
地下室にあるセルの中に入ってから一週間。
暇過ぎて暇潰しに始めたブレスレット作りがプロ並みになってしまった。
「ウチ意外と器用じゃん」
出来上がったブレスレットを横の箱に入れては新しいのを作る。その繰り返しだ。
ほんと何これ。何かの罰ゲームなの?ただ働きさせて改心させようとでもしてんの?無理だから!絶対!てか改心も何も悪い事してないから!父さんが悪いんだ!あんな事言うから!
「あぁぁぁぁぁぁ!!」
思わず叫んでしまう。
その時、上から外の声が聞こえた。
誰かが階段を降りてくる。
「花子お嬢様、大丈夫ですか?」
鈴音さんが心配そうに言った。
「暇過ぎて死にそう!」
「事が終わるまでの辛抱ですよ」
「分かってるよー。あ、そうそう!見たまえ!ウチの子供達を!もうプロ並みだよ!」
「本当に凄いですね。こんなにたくさん…」
カチッ。ギィィィ…ガシャンッ。
鈴音さんは中に入り、ブレスレットが入った箱を持ち上げると、外に出てすぐに鍵を閉める。
「ありがとうございます。花子お嬢様が作ったブレスレット、その日のうちには売り切れるくらいかなり人気なんですよ」
「さすがウチ!」
鈴音さんはウチが作ったブレスレットを売り、そのお金を施設等に寄付している。
「またお願いしますね」
鈴音さんはニコッと笑って言う。
「………」
呆然としたウチの脳裏にはドラマで聞く様な"天使の皮を被る"という言葉が浮かんだ。
ずっとここでブレスレットを作れと言うんですか!事が終わるまでっていつですか!?
「それでは、私は夕食の支度がありますので」
「えーもう行っちゃうのー?寂しいじゃん」
「すみません。また夕食をお持ちした際にお話しましょう」
そう言うと鈴音さんは出て行ってしまった。
「はぁ……」
一人になる度に思う。
鍵を取れる機会はあるのに、相手が鈴音さんだとどうしても出来ない。
父さんもそれを分かってて鈴音さんに鍵を預けたのだろう。
「ほんと、ウチの事よく分かってんだから。困ったもんだよ」
でも、外の様子が少し気になる。
鈴音さんが来た時、微かだけど外からいつもより沢山の人の声がした。
近くに人が集まってるな…何かあるのか?
「うーん…」
ここは完全に防音で人が出入りした時にほんの少し声が聞こえる程度だ。この状態じゃ外の事は全く分からない。
ん?防音?あれ?防音って事は中の音も外には聞こえないんじゃ……
「ふふっ」
コンコン。
鉄格子を叩いて確認する。
うん。錆びてるおかげで何とかなりそうだ。
ウチは助走して思いっきり鉄格子を蹴る。
ガシャンッ!
何度か蹴ってようやく鉄格子を壊す。
長い階段を駆け上がり、地下のドアを開けてバレないように裏からこっそり抜け出す。
裏には誰もいなくて良かった。正面にははるちゃんとあきちゃんがいるからなぁ。
「久しぶりのシャバの空気だぜ」
ようやく外の空気を吸いながら感動する間もなく、目の前の光景に立ちつくす。
「これはまた…」
人が集まる所には何かしらあるものだが、今回もその予想は的中だったようだ。
「さて、どうしようかな」
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