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わがまま
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「……頭痛い」
「大丈夫か」
父さんが抱きついたままのウチを心配そうに見る。
「泣きすぎて頭痛い…ふふっ」
「…ついにおかしくなったか」
さっちがぼそっと言う。
「ちょっと聞こえてるよさっち」
さっちは心の声が思わず出たような驚いた顔をしてウチから目を逸らす。
さっちめ。後で覚えておくがいいよ。
「花子ちゃんの体の件は私も木暮様と方法を探ってみます」
「…翠ちゃん……」
込み上げてくる嬉しさを感じながらウチは笑顔で翠ちゃんを見る。
「大丈夫だよ」
「…花子ちゃん…?」
翠ちゃんは不安な顔だ。
「大丈夫。暮爺に治せない病気はないんだから。あの暮爺だよ?」
「何を言ってるんですか。根拠がありません」
「そうだなぁ…じゃあ、2年で暮爺が治せなかったら翠ちゃんにもお願いする」
「それでは手遅れではありませんか」
「…そうだね。でも、ウチにとってこれからの時間、たくさんみんなと過ごしたい。でも父さんや翠ちゃん達は仕事があるし、ウチも学校がある。自由に過ごせる時間は多くない。それにその時間の中でウチを治す方法を探してたら翠ちゃん過労で死んじゃうよ?そんなの嫌だよ。それに、その時間もウチと一緒にいて欲しい」
ウチは笑って言う。
「花子ちゃん…」
「……じゃあ、俺らが探す」
「叶真」
「それならいいだろ」
「だめだよ。叶真達もウチとずっと一緒にいてくれなきゃ。家族だもん」
「じゃあ花子も一緒に探せばいい」
「やだ。そんなことする時間ないよ。楽しいこといっぱいするんだから。みんなにはたくさん付き合ってもらうから」
「…わがままだな」
「うん!そうだよ!ウチわがままなんだよ」
ニヤッと笑って見せると、叶真は呆れたように笑う。
「信用してよ。桜組の主治医だよ?本気出したら最強だよ?」
翠ちゃんの方を見て言うが、まだ納得出来ていない様子だ。
「分かった。じゃあ取り引きしよ?」
「何の取り引きですか?」
「父さん」
今度は父さんの方を真剣な顔で見る。
「何だ?」
ウチは別にもう気にしてないけど、取り引きだからちゃんと条件が釣り合うように真剣な表情をしないと。
「ウチにまだ言ってないことあるでしょ?」
「何のことだ」
「ウチの記憶の中で"あの日"何があったのか、まだ引っかかってることがある」
「………」
「まだウチが思い出せてない何か…あるよね?」
「……ああ」
「父さん、隠し事はだめだよ?」
「ああ」
「じゃあ今ここで言える?ウチに言いたくないことだよね?」
「ああ」
「じゃあ、それで取り引きしよ」
「……はぁ、まったく」
「ね?父さん。ウチの体治す方法は暮爺に任せて、その時間全部ウチにちょうだい?ここにいるみんなだよ。そしたら、それ言わなくていいから。ね?世にも聞かないから」
上目遣いで抱きついたまま父さんを見上げる。
「花子、それは……」
「お願い!ウチのわがままきいて?ウチはもっともっといっぱい父さん達と一緒にいたいの。ウチのことは心配させると思う。でも絶対暮爺が方法見つけてくれるから!ウチと暮爺を信じて!ね?絶対大丈夫だから」
「………」
父さんはウチの顔を見つめて考えている。
答えを出すのが難しいのだろう。娘に聞かれたくない秘密と娘の命を助ける方法。
父さんは優しいし、常に愛情がある。それがわかっていても、子供のウチには想像出来ないことだ。
「大丈夫か」
父さんが抱きついたままのウチを心配そうに見る。
「泣きすぎて頭痛い…ふふっ」
「…ついにおかしくなったか」
さっちがぼそっと言う。
「ちょっと聞こえてるよさっち」
さっちは心の声が思わず出たような驚いた顔をしてウチから目を逸らす。
さっちめ。後で覚えておくがいいよ。
「花子ちゃんの体の件は私も木暮様と方法を探ってみます」
「…翠ちゃん……」
込み上げてくる嬉しさを感じながらウチは笑顔で翠ちゃんを見る。
「大丈夫だよ」
「…花子ちゃん…?」
翠ちゃんは不安な顔だ。
「大丈夫。暮爺に治せない病気はないんだから。あの暮爺だよ?」
「何を言ってるんですか。根拠がありません」
「そうだなぁ…じゃあ、2年で暮爺が治せなかったら翠ちゃんにもお願いする」
「それでは手遅れではありませんか」
「…そうだね。でも、ウチにとってこれからの時間、たくさんみんなと過ごしたい。でも父さんや翠ちゃん達は仕事があるし、ウチも学校がある。自由に過ごせる時間は多くない。それにその時間の中でウチを治す方法を探してたら翠ちゃん過労で死んじゃうよ?そんなの嫌だよ。それに、その時間もウチと一緒にいて欲しい」
ウチは笑って言う。
「花子ちゃん…」
「……じゃあ、俺らが探す」
「叶真」
「それならいいだろ」
「だめだよ。叶真達もウチとずっと一緒にいてくれなきゃ。家族だもん」
「じゃあ花子も一緒に探せばいい」
「やだ。そんなことする時間ないよ。楽しいこといっぱいするんだから。みんなにはたくさん付き合ってもらうから」
「…わがままだな」
「うん!そうだよ!ウチわがままなんだよ」
ニヤッと笑って見せると、叶真は呆れたように笑う。
「信用してよ。桜組の主治医だよ?本気出したら最強だよ?」
翠ちゃんの方を見て言うが、まだ納得出来ていない様子だ。
「分かった。じゃあ取り引きしよ?」
「何の取り引きですか?」
「父さん」
今度は父さんの方を真剣な顔で見る。
「何だ?」
ウチは別にもう気にしてないけど、取り引きだからちゃんと条件が釣り合うように真剣な表情をしないと。
「ウチにまだ言ってないことあるでしょ?」
「何のことだ」
「ウチの記憶の中で"あの日"何があったのか、まだ引っかかってることがある」
「………」
「まだウチが思い出せてない何か…あるよね?」
「……ああ」
「父さん、隠し事はだめだよ?」
「ああ」
「じゃあ今ここで言える?ウチに言いたくないことだよね?」
「ああ」
「じゃあ、それで取り引きしよ」
「……はぁ、まったく」
「ね?父さん。ウチの体治す方法は暮爺に任せて、その時間全部ウチにちょうだい?ここにいるみんなだよ。そしたら、それ言わなくていいから。ね?世にも聞かないから」
上目遣いで抱きついたまま父さんを見上げる。
「花子、それは……」
「お願い!ウチのわがままきいて?ウチはもっともっといっぱい父さん達と一緒にいたいの。ウチのことは心配させると思う。でも絶対暮爺が方法見つけてくれるから!ウチと暮爺を信じて!ね?絶対大丈夫だから」
「………」
父さんはウチの顔を見つめて考えている。
答えを出すのが難しいのだろう。娘に聞かれたくない秘密と娘の命を助ける方法。
父さんは優しいし、常に愛情がある。それがわかっていても、子供のウチには想像出来ないことだ。
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