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しおりを挟む18歳じゃなかった、なんて事にショックをうけるのは兄ならそうだろうが俺はたいしてショックではなかった
一目見た時から20歳位のお姉さんと思っていたからこそ社会の先輩なんてイメージのまま此処まで来た
そこで今更18歳じゃないと言われても、
カパカパとお酒を飲んでるし社会人なら~なんて語るんだから笑ってしまうほどだ
『 ダーツは久々~ 』
一階の奥のダーツとビリヤード専用の部屋へと移動した
背伸びをし、ボウリングでは脱がなかったコートの釦へと手をかけ脱ぐ彼女の中の服は白のタートルネックネットを着ていた
スタイルがいいと分かるほどの服の下はロングのスカートで、やっぱりお姉さんらしい格好だし、それにマスクをしてない方が美人だと思う
「 点数が高い方が? 」
『 奢る! 』
「 負けませんよ 」
『 もちろん! 』
彼女が動く度に香る甘い香水はどこのメーカーの物なのかは高校生の俺には分かるはずがない
兄なら、どこそこのなにだよね~なんて当てるほど香水とか物には詳しいのだろうが俺は無知だ
容姿を褒める事の気遣いも出来ない奴に、もう一度会いたいと思ってくれるのだろうか?
「( ん?もう一度会いたい?待てよ.... )」
俺は何故、もう一度兄の代わりとして会おうとしてるんだ?
今回限りであり、次からは兄に話をして兄が来るだろ....
寧ろこんなにも俺の素を出してから兄貴と交代しても別人だとバレるのは目に見えてる
「( ....どうするべきなんだ )」
折角、知り合ったのに兄と俺は全く性格が正反対だ
それなのに次も御会いしましょう、なんて言われたら俺として会うしかないだろ
それだと兄の気になっていた相手を取る気がして気分がよくない
「( ....なんか気持ち悪くなってきた )」
考えたら考えるだけ、今回の俺が成り代わるなんて馬鹿な事は最初から失敗に終わるんじゃないか
....俺はなんて馬鹿なことをしてるんだと今更思う
「 飲み物持ってきますね 」
『 では、先にしますね 』
「 どうぞ 」
彼女の分のグラスも持ち、飲み物を取りに行くフリをして少し休憩して考えよう
「 21時過ぎか.... 」
ドリンクバーのあるホールに出れば、時計の針は21時を過ぎていた
シンデレラが0時までならもう少しだけ彼女といても良いんじゃないかと思う俺は高校生としてルールを破ってるようで複雑だ
「 すみません、これにお酒を入れてくれますか? 」
「 何をお入れしましょ? 」
「 えっ?あ....俺の付き添いだった彼女が呑んでたのをお願いします 」
こんな感じの女性ですと伝えれば、店員は小さく笑ってから頷き新しいお酒を入れる
その間にジュースを入れてテーブルに置き待っていればカランッと引いた入り口に目を向け固まった
「 いらっしゃいませ 」
「 高校生は来てませんか? 」
「 そうですね.... 」
警察の姿に驚いて何気無く目線を逸らす俺は平然を装っていれば、店員は首を振った
「 高校生らしき方はお帰りになられてますよ 」
「 分かりました。ありがとうございます 」
「 行こう 」
高校生が関わる犯罪が増えた事で警察も21時を過ぎて厳しく見回りをして御苦労様、なんて思うが俺は高校生じゃないか
カッターシャツ着てたのに高校生と思われないこの外見に今は有り難く思い、店員の声に振り返る
「 お客様、出来ましたのでどうぞ 」
「 ありがとうございます 」
テーブルに置かれたグラスを二つ持ち、ダーツの場所に戻ることにした
21時を過ぎてドキドキする日が来るなんて思わないからな
「 おまた.... 」
リクさんのいる場所へと戻ろうとすれば、彼女の前には二人の男が立っていた
「 綺麗なお姉さん、一人なら寂しくない? 」
「 俺等と店を出て遊ぼうぜ 」
『 ...... 』
高校生を探すよりこんな輩を探せばいいと思うんだが、何処にでも社会のゴミみたいな奴はいるんだな呆れる俺は近付いた
「 リクさん、御待たせ。そうそう、俺も一緒に遊べますか? 」
「「 !! 」」
自然の動作で片方のグラスを渡してから男二人を見下げる
こういう時にバスケ部で鍛えた身長と体格が役に立つと思って何気無く睨めば二人は舌打ちを漏らす
「 くそ、男連れかよ 」
「 ....女を一人にすんなよ 」
「( あれ?案外良いやつ? )」
最後に漏らした言葉は、リクさんが暇そうにしてたから声をかけた、みたいなものだったことに一人だと寂しいだろうと声をかけたのだろうか?
それなら案外いい奴じゃないかと疑問に思う俺に、リクさんは小さく笑った
『 ふふっ、男らしい部分もあるんだね 』
「 えっ?あ、つい....大丈夫ですか?何かされてたり.... 」
『 大丈夫だよ。それにぐらいならあの程度は蹴散らせるからね 』
ナンパされても平気そうな彼女に流石、美人は違うなと思う
俺なら動揺してるか喧嘩になってるなと思いながらテーブルに片手を置き自分で持ってるグラスを傾け飲めば眉は寄る
「( ん?こんなジュースいれたっけ? )」
考え事して変なジュースでも入れただろうかと疑問に思い、リクさんの持ってるグラスを見るが彼女が先程から呑んでるものと
変わり無いことに気のせいかと呑み、ダーツの矢を持つ
『 私はとりあえず点数出したからどうぞ 』
「 えっ。すご.... 」
点数は全て真ん中を当てたらしく、俺の勝ち目は目に見えないことは分かったが遊ぶことに負けもいいと思い本気で楽しんだ
グラスのコップの中のジュースは空になり彼女が同じものを持ってきてくれればそれも呑みながら遊んでいた
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