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番外編
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しおりを挟む夜は直ぐに訪れる
昼間の太陽を隠し本業発揮したような月は、まるで夜行性の者達を起こすように銀色の姿で街を照らす
「 随分と派手にしてくれたね?俺のせいになりかけてたんだけど 」
「 ぐっ、知るか.... 」
通り魔殺人を装って殺した、俺が本来見つけるべき相手は直ぐに見付かった
抵抗するから蹴って倒して肩甲骨の間に脚で踏む
此処を踏めば人間は立てない事を知ってる為に、俺は力強く踏んだまま片手に持ってるスマホで陽妃と会話していた
素直で文字からも分かるほどに俺に気がある様子は、まるで恋愛を知らず
一目惚れを恋だと錯覚する乙女のよう
これだと本当にボスが言ったような、恋愛スキルを上げる事になると思うとスマホを閉じ見下げる
「 余り同族殺したくは無いんだ。そのプンプン香る香水も、街中でバラ撒くの止めてくれない?まるで何処にでもマーキングしてる雄猫みたい 」
颯とは違って普段からファッションの一つとしてつけてる同族は結構多い
そのせいで、無駄に匂いに気にする人を俺は知ってるから嫌だと思う
踵の有る靴で踏めば、痛みに唸る男は答えた
「 うる、せぇ....こそこそ嗅ぎ廻って、同族売ってるような、奴に言われたくねぇ....俺達の中で、御前はなんて言われるか、知ってるか....! 」
「 そんなの、興味ないけどな? 」
ダメだな、笑顔が消えてしまうと冷たく見下げた俺は只感情すら消えたように冷めきっていた
「 ....ドブネズミ、以下の....裏切り、者だ.... 」
「 だからなに? 」
「 っ!! 」
ホルスターから銃を取り出し頭へと銃口向け、緩やかに笑みを浮かべる
「 ....金になればなんでもいいんだよ。俺は金の為なら親友でも兄弟でも売るよ 」
「 ....くそ、が....! 」
借金返済出来るなら見方を騙すことも容易い
心を凍らせることも幼い頃から慣れてきた為に今更、何も思わないと安全放置解除し引き金へと指を当てた俺に、男は眉を寄せ奥歯を噛み締める
「 俺の仕事の邪魔した君はもう....死ねばいいよ 」
陽妃の近くで殺害した瞬間見せた男を許すわけがない
人前では止めときって忠告する前に行動した罪は重いと思う
人前のほどにニュースになれば此方が処理するのがどれだけ大変か
「 本当は犯人だと突き出した方がいいんだろうけど、此所のルールは口を開きそうな者を警察署には連れていけれないんだよね....別の犯人作る必要あるから、やっぱり君には....死んでもらおう 」
人は犯人だと責められ続ければやってなくても頷いてしまう
其を利用した心の弱そうな者を見つける必要もある
なんて、面倒なんだと思っていれば
バイブの振動にスマホに通知が来たんだと抜き取って、陽妃だと分かれば返事を書く
「 くそっ!! 」
「 あっ.... 」
僅かに緩めた脚によって逃げるように離れた男に、俺は拳銃を向けて脚から動けなくしようかと考えていれば一発の銃声が響いた
「 っ!! 」
転けるように倒れた男の頭は撃ち抜かれ、俺は殺り損ねたと撃った相手の方へと顔を向ける
「( 送信っと )....やだなぁ、俺は殺したくなかったのに 」
「 ........ 」
「 ........っ 」
もう一発鳴り響いた銃声と共に頬の真横を通り過ぎた弾は髪を切り、そのまま背後へと飛んでいく
「 俺に向けるなんて、カリカリし過ぎだよ?103 」
103、影から現れた男は俺のよく知る者であり別の名を颯と言う
弾をやり変え新しいものをいれた彼はホルスターへと戻し、ゆっくりと近付いてくる
「 ベラベラと話す時間があるなら仕事をしろ 」
「 俺は只、慈悲の心があるだけだよ。反省して心改めるなら殺すのも可哀想だなーって 」
「 痛ぶって遊びたかったようにも見えたがな? 」
全くその通りだと態とらしく笑った俺にはなんの無意味で、彼は屍となった男を見下げてからもう一度銃口を向けようとしてやめた
即死だったから
「 君は簡単に殺しすぎだよ。もう少し考えさせて上げれる時間をつくって上げようよ。心改めるかもよ 」
「 そっくりそのまま御前に返したいな。裏切り者とか言われる前に心改めてまともに働いて返すことだ 」
やれやれと両手を動かし、近くにいるだろう死体処理班に連絡入れながら、颯の言葉に笑みを向ける
「 まともに働けると思う?俺が飲食店に勤めれば細菌を提供するみたいなもの....俺自身が細菌だからね.... 」
死体処理班の駆けつける音を外から聞こえ出口へと向かって歩き出した俺に颯は何も言わなかった
俺に表に出る太陽みたいな生活は向かない
暗闇に溶け込んでこそこそと生きるドブネズミの方が向いている
そんなの颯....君もわかってるだろうに....
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