143 / 193
番外編
10
しおりを挟む薬が効いてきたのは20分程度経過してから、丁度互いに2曲ずつ終えたぐらいで眠そうにしてる様子に効果の効き目が遅いことに実感する
少量だとしても流石、颯の息子
彼が日頃から薬を使って耐性を付けていても可笑しくはないと思うほどに普通の人より効き目が遅かった
それでも、完全に眠った事を確認してから同族に電話を入れた
「 少し手伝って欲しいんだけど。うん、お金は弾むよ 」
カラオケボックスの店員には疲れてるのだろうから今日はもう帰ることを伝えて外へと出て車へと乗せた
此処まで横抱きで来れるほど華奢で軽い身体は、女の子よりも軽く思えるほど
颯が食わせてないのかと思うけれど颯もまた細身だから遺伝なのだろうね
「 拓海さん、呼ばれて来たんですがなんですか? 」
「 あぁ、ちょっと....ヤって欲しくてね 」
「 男の子を抱く趣味なんて無いんですけど....可愛いから、ありですね 」
「 それは良かった 」
同族の同い年位の男を呼び出し、ホテルで待ち合わせすれば後払いの部屋に移動した
ベットへと寝かせたところで車の中に置いていたカメラを片手に持ちポケットから様々な薬が入った手帳を取り出せば歯医者等でも使う、粉状の麻酔を持ち咥内へと入れ水で流し込み飲ませる
「 何枚か撮りたいからそんな風にヤって 」
「 分かりました 」
男はネクタイを緩め手慣れた様子で服を乱してから触れていく、綺麗な身体を同族とは言えど自分以外の男が触れてることを見るのは、なんとなく不快だが仕方無い
強姦してる風を出すには丁度いい
麻酔の役目は舌を麻痺させまともに喋れなくするため、そして睡眠薬に含まれた成分と重なれば媚薬の効果も出る
市販のものでキメセク出来るなんて随分と日本の薬品も手薄というか制限ないと思うよ
「 お、反応してきた 」
楽しそうに笑って陽妃の脚を開かせ、服とは似合わず男物の下着を取っ払い晒した股間を眺めては片手で擦り反応を楽しむ男の後ろから、その股間が見えない程度でレンズを向ける
酷く笑ってる俺の表情はきっと気持ちとは反対だからこそなのだろうね
『 ん"っ....ッ 』
悪夢を見るように、夢を見てる中で犯される気分はヤる側の俺達には分からない
教えられた薬、教えられたやり方で今までやって来たように同じ事をしてるだけ
それなのに何故、酷く笑ってしまうのだろうか
「 女装癖なんですかね?下着は男物のボクサーって.... 」
「 どっちでもいいよ。似合ってるから着てるだけじゃないのかな? 」
「 似合ってるからですか....どんな服を着ても男の体格や雰囲気って誤魔化しきらないと思うんですがね 」
「 ....まぁね 」
それでも着ていたい理由があるのだろう
それならいっそのこと全て剥ぎ取って男の子として認めさせて上げればいいと思うのに
やってることは女の子相手にする強姦と同じ事
自分の考えと行動が一致しないもどかしさに何処か苛立ちは募る
誤魔化すように煙草を咥えて火を付けて、軽く吸いながら片手にカメラを持てば時間的にそろそろ起きてきた陽妃
それでも視線は泳ぎ、言葉も儘ならない様子で快楽に戸惑うよう跳ねる
追加の薬を飲ませる男を見ては笑顔でカメラを向けていた俺は不意打ちに驚いた
『 っ、たく、と....さん 』
「 っ!! 」
レンズの先で見てる陽妃が呼ぶのは、今の俺自身
君に酷い事をしてる俺を何故、呼ぶのか
颯の名前でもなければ助けを呼ぶ声でもなかった
只、触れてほしいと願う雌の声だ
「 拓斗?また、渾名ですか?拓海さん? 」
「 ....もういいよ 」
「 えっ? 」
嫌って欲しいのに嫌って欲しくなくて、
好くように仕向けてる相手なのに俺を好いては欲しくない
俺は好いてはいけないのに、好いてしまってる
「 帰っていいよ。財布から好きな金額抜き取っていいから.... 」
「 えっ、入れなくていいですか? 」
「 いいからもう、帰って 」
「 あ、はい。んじゃ、金は貰いますね 」
何か言いたそうな男は俺の財布から金を抜き取ってから部屋を出ていった
静まり返った部屋の中で、呼吸を荒くする陽妃の頬に触れ目線を重ねる
「 ....俺を嫌いになりなよ。こんな酷い男は君を不幸にするだけだ.... 」
『 はぁっ....触って、ください.... 』
" 好きな、貴方に抱かれたい "
確かにそう告げた陽妃の言葉に俺は只、返事を返せずその汗で濡れた前髪へと口付けを落とした
「 寝言は寝て言わなきゃ駄目だよ。おやすみ....ごめんね....陽ちゃん 」
俺はどうしたらいいのだろう
颯の依頼をこなさなきゃいけないし
ボスからの命令は絶対なのに
なのにどちらも捨ててこの子を自分の物にしたくなる私情に苦しんでる気がする
ミイラ取りがミイラになるとはこの事だよね....
眠りについた陽妃の目元から流れる涙を拭くことは....
俺には出来なかった
0
あなたにおすすめの小説
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した
あと
BL
「また物が置かれてる!」
最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…?
⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。
攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。
ちょっと怖い場面が含まれています。
ミステリー要素があります。
一応ハピエンです。
主人公:七瀬明
幼馴染:月城颯
ストーカー:不明
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる