すれ違った相手と恋に落ちました

獅月 クロ

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番外編

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薬が効いてきたのは20分程度経過してから、丁度互いに2曲ずつ終えたぐらいで眠そうにしてる様子に効果の効き目が遅いことに実感する

少量だとしても流石、颯の息子
彼が日頃から薬を使って耐性を付けていても可笑しくはないと思うほどに普通の人より効き目が遅かった

それでも、完全に眠った事を確認してから同族に電話を入れた

「 少し手伝って欲しいんだけど。うん、お金は弾むよ 」

カラオケボックスの店員には疲れてるのだろうから今日はもう帰ることを伝えて外へと出て車へと乗せた

此処まで横抱きで来れるほど華奢で軽い身体は、女の子よりも軽く思えるほど

颯が食わせてないのかと思うけれど颯もまた細身だから遺伝なのだろうね

「 拓海さん、呼ばれて来たんですがなんですか? 」

「 あぁ、ちょっと....ヤって欲しくてね 」

「 男の子を抱く趣味なんて無いんですけど....可愛いから、ありですね 」

「 それは良かった 」

同族の同い年位の男を呼び出し、ホテルで待ち合わせすれば後払いの部屋に移動した

ベットへと寝かせたところで車の中に置いていたカメラを片手に持ちポケットから様々な薬が入った手帳を取り出せば歯医者等でも使う、粉状の麻酔を持ち咥内へと入れ水で流し込み飲ませる

「 何枚か撮りたいからそんな風にヤって 」 

「 分かりました 」

男はネクタイを緩め手慣れた様子で服を乱してから触れていく、綺麗な身体を同族とは言えど自分以外の男が触れてることを見るのは、なんとなく不快だが仕方無い

強姦してる風を出すには丁度いい

麻酔の役目は舌を麻痺させまともに喋れなくするため、そして睡眠薬に含まれた成分と重なれば媚薬の効果も出る

市販のものでキメセク出来るなんて随分と日本の薬品も手薄というか制限ないと思うよ

「 お、反応してきた 」

楽しそうに笑って陽妃の脚を開かせ、服とは似合わず男物の下着を取っ払い晒した股間を眺めては片手で擦り反応を楽しむ男の後ろから、その股間が見えない程度でレンズを向ける

酷く笑ってる俺の表情はきっと気持ちとは反対だからこそなのだろうね

『 ん"っ....ッ 』

悪夢を見るように、夢を見てる中で犯される気分はヤる側の俺達には分からない

教えられた薬、教えられたやり方で今までやって来たように同じ事をしてるだけ

それなのに何故、酷く笑ってしまうのだろうか

「 女装癖なんですかね?下着は男物のボクサーって.... 」

「 どっちでもいいよ。似合ってるから着てるだけじゃないのかな? 」

「 似合ってるからですか....どんな服を着ても男の体格や雰囲気って誤魔化しきらないと思うんですがね 」

「 ....まぁね 」

それでも着ていたい理由があるのだろう

それならいっそのこと全て剥ぎ取って男の子として認めさせて上げればいいと思うのに

やってることは女の子相手にする強姦と同じ事
自分の考えと行動が一致しないもどかしさに何処か苛立ちは募る

誤魔化すように煙草を咥えて火を付けて、軽く吸いながら片手にカメラを持てば時間的にそろそろ起きてきた陽妃

それでも視線は泳ぎ、言葉も儘ならない様子で快楽に戸惑うよう跳ねる

追加の薬を飲ませる男を見ては笑顔でカメラを向けていた俺は不意打ちに驚いた

『 っ、たく、と....さん 』

「 っ!! 」

レンズの先で見てる陽妃が呼ぶのは、今の俺自身

君に酷い事をしてる俺を何故、呼ぶのか

颯の名前でもなければ助けを呼ぶ声でもなかった

只、触れてほしいと願う雌の声だ

「 拓斗?また、渾名ですか?拓海さん? 」

「 ....もういいよ 」

「 えっ? 」

嫌って欲しいのに嫌って欲しくなくて、
好くように仕向けてる相手なのに俺を好いては欲しくない

俺は好いてはいけないのに、好いてしまってる

「 帰っていいよ。財布から好きな金額抜き取っていいから.... 」

「 えっ、入れなくていいですか? 」

「 いいからもう、帰って 」

「 あ、はい。んじゃ、金は貰いますね 」

何か言いたそうな男は俺の財布から金を抜き取ってから部屋を出ていった

静まり返った部屋の中で、呼吸を荒くする陽妃の頬に触れ目線を重ねる

「 ....俺を嫌いになりなよ。こんな酷い男は君を不幸にするだけだ.... 」

『 はぁっ....触って、ください.... 』

" 好きな、貴方に抱かれたい "

確かにそう告げた陽妃の言葉に俺は只、返事を返せずその汗で濡れた前髪へと口付けを落とした

「 寝言は寝て言わなきゃ駄目だよ。おやすみ....ごめんね....陽ちゃん 」

俺はどうしたらいいのだろう

颯の依頼をこなさなきゃいけないし
ボスからの命令は絶対なのに

なのにどちらも捨ててこの子を自分の物にしたくなる私情に苦しんでる気がする

ミイラ取りがミイラになるとはこの事だよね....

眠りについた陽妃の目元から流れる涙を拭くことは....

俺には出来なかった

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