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~ シルキー視点 ~


“ 絶対にダメ!今日は特に!自信があるときに見せるから! “

パンツぐらいいいのに、なのに彼は断固拒否した

余りにも必死だったからそれ以上問う事はなく、少し休憩をしてから家へと帰った

転校して早々で早退するとは思わなかったが、それよりもあの鬼嶽って奴が見た目は鬼の形相みたいな顔をしてるのに、話したりすればそんな事はない事に少しばかり驚いた

『( 律儀に家の前まで送ってくれるし.... )』

“ えっ、君の家....此所?全部?デカっ! “

なんて言ってたが、私もそう思っていた
6階だけのマンションみたいな造りだが 
4階迄は父親の作業場やら広告の写真を撮るスタジオだったりする

残り5階、6階は部屋だがそれでも各階6LDKはある
無駄に広いが、ドイツの家よりはまだ狭い
それでも日本の家で此処まで広ければ、豪邸と言われるのだろ

そうは思えないが、ポカーンと口を開けてたマヌケな顔をした彼奴の横顔が面白かった

『 ふっ.... 』

「 シルキーちゃん、笑ったら上手く撮れないよ。引き締めて、ポーズを何個かしてくれる? 」

『 はーい 』

そう言えば学校から帰ってから、丁度いいとばかりに撮影スタジオのカメラマンから呼ばれたんだ

冬用の下着を撮影したいから、御願いって....

まるでグラビアだな、だなんて思ったことは有るけど案外慣れた
好きなパンツではないが、それでも父親が私の為に作った下着....

私に似合うようにと作ったのだから、父親が他の人でポスターや宣伝はしない

まぁ、顔の部分は切り取られるから首から下だけ

「お疲れ様、シルキーちゃん。また写真いる? 」

『 ....前回の余り評価よくなかった 』 

「 えっ、そうなの?凄く綺麗に撮れてたけどなぁ。流石に他社のメーカーだからポスターには使えないけど、カメラの練習には嬉しかったよ 」

そう、鬼嶽に送ったのは態々手のあいた
専属のカメラマンさんに撮って貰ったもの
其なのに反応がイマイチだったのは、私としていい気にはならない

『 練習出来たならよかった。またいいの撮れたら送って 』

「 はぁい、今のも少し送っとくね 」

『 ん、お疲れ 』

「 お疲れ~ 」 

ヒラヒラと手を振られ、そのままパーカーを羽織ってから上の階へとエレベーターを使い上がり
5階にあるキッチンのあるリビングへと行く

『 撮影終わった.... 』

目についた人物を見掛け、此方に気付かない為にそっと近付き腹へと腕を回し抱き締める
ほんの僅かに身体が動いた彼は私を見下げるなり密かに笑みを溢す

「 お疲れ様....御飯を作ってるから待っててくれ 」

『 ん、お父さんは何のパンツ履いてるの 』

手を動かし腹筋から、ヘソ下の骨盤辺りへと指を滑らせていればベルトに手を掛けた時には、手首を掴まれ彼の身体は此方へと向いた

「 御前は....全く、無知なのか態となのかどっちだ? 」

『 ....ん?( あれ、このセリフ何処かで聞いた気がする )』

軽々と抱き上げられ、身長は其なりに有るのに父親は私の太股辺りを支えてからその場から移動し、リビングのソファーへとそっと落とした

尻と背に感じる弾力のあるソファーのクッションに身を沈め、目線を向ければ彼の指はパーカーの中へと入り横腹から腹、そして太腿へと滑る

「 本当、綺麗になったな....ローズ(薔薇)に良く似てる....白い肌、明るいブルーの瞳、絹のような金の髪.... 」

『( また始まった.... )』

父親は病気的な程にお母さんが好きらしい
私を見ては重ねて告げる

私は母親の顔なんて覚えてないから、少しだけ父親が向ける視線や愛情が私では無いことに胸の辺りがチクリと針を射したような痛みが走る

「 好きだよ....シルキー 」

私は、父親に愛されてるようで愛して貰っては無いのだろ

きっと顔を覚えてない母親の子では無ければ此所まで大切にされない....

それでも、私はこの人の愛情に甘えてる

黒髪へと指を絡ませ引き寄せるように抱き締めれば、お父さんは優しく髪へと口付けを落とす

「 愛してる、シルキー。御飯にする....少し待っててな 」

離れていく身体に、少しだけ寂しい....
母親の代わりには到底なれないが、それでももう少し“ 私 “を見て欲しいと願うのは悪いことなのだろうか

『 お父さん.... 』

「 ん?なんだ? 」

『 んん、なんでもない.... 』

学校でもそう、“ 私 “を見てくれる人はいないのだろ
綺麗な目の色、髪の色、そんなの持ち合わせようとすれば手に入れれるもの

『( そんなの....いらないから.... )』

“ 君ってさ、案外.... “

『 !....お父さん、学校に趣味が合いそうな人が出来たんだ 』

「 ほう?そいつとは仲良くなれそうか? 」

『 まぁ、多分....友達になれたらいいな.... 』

彼は、私の趣味を知っても引きはしなかった
戸惑いながらも向き合うとしてくれた

それはきっと....良いことだと思う
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