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パンツ五枚目 ヒョウ柄!

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人生で初めて寝落ち通話と言うのをした

突然とかかってきた通話には驚いたし、丁度風呂上がりだったから色々意識もしたけど目の前にいるより話しやすい事に、言葉は弾んでいた

あんなにも通話が楽しいなんて思ったのは初めてだよ

もう一度してみたいなって思ったときには次の日も同じ時間

彼女....シルキーから通話が来ていた

とれるときはとる、それを繰り返して1週間は経過する

夏休みの間、モデルの仕事は片手で数えれるほど
だからこそ夏休みや冬休みといった学生の長期の休みの日には毎回御世話になる、ラーメン屋でのバイトを10時から夕方までしていた

他のバイトより時給がいいし、学校から離れてるから学校の者は殆ど来ない
来るのは社会人ばかりのエリアな為に働きやすい場所だ

「( 薬、いつ渡そうか )」

買ってはいたけど、渡すタイミングというかモデルの仕事が無いから行くことがない

毎日通話やらLINEをしてるなら、少し会うぐらいは言えば出来るだろうけど、そんな仲でもない

会わなければ会わない、当たり前だった日常に戻ったのに何処か寂しい気もする....

「 将汰!3時になったら休憩に入っていいぞ


「 はいっ、店長! 」

午後15時
丁度昼のラッシュが終わった所で積み重なった食器を自動食器を洗い器に軽く洗ってから並べていれて行くのを繰り返す  
高温で洗うことで、少し置いておけばラーメンの丼ぐらい直ぐに乾く

だから手間が省けるが、元々店長の個人経営の店だからバイトは少ないんだよな
息子さんは14時ぐらいで休憩に入って、夕方まで帰ってこないから其までは俺と店長が店を繋ぐ

時計を見てからもう少し時間があると、残りの容器を洗ってその間にお冷とテーブルを拭いていく

綺麗になり、残りは店に置いてある古本を読んでるお客が2名だけかと思いながら
厨房の方を拭いていれば店の扉に飾った鈴が鳴る

チリンチリンと2回鳴ったそれに普段のくせで挨拶をする

「 いらっしゃいませー!って.... 」

顔を上げる前に伝票を持ち、顔を上げて向かえば其処にはこの店というか、明らかに場違いで有りそうな人物が入ってきた

「 いらっしゃい! 」

厨房に居る店長の声に、仕方なく止めていた脚を動かし彼女が座った席の横へと行く

「 いらっしゃいませ。ご注文御決まりでしたらお声かけ下さい 」

『 ....暇だから来た。凄いなー、本当にバイトしてる 』

「 ....なんで此所がわかったの? 」

会ったのは久しぶり、それが嬉しい筈なのに今は全く嬉しくない
声を張らないような俺が張り上げて挨拶するのに、何か思わないだろうか

それに....クラスメートも知らないのに誰から聞いたのかと傾げればシルキーはメニュー表を開きながら笑った

『 敦士さんが此所でバイトしてるって教えてくれた。なに食べようかな.... 』

「( あの野郎...... )」

シルキーと何時から連絡取り合ってるかは知らないが、彼女のLINEを知って喜んでたのは知ってる
仕事の関係で彼女のお父さんから聞いたと思うけど、なんとなくイラッとする

「 そう....決まったら教えてね 」

『 はーい 』

伝票に1名と書いて、テーブルの端に伏せて置けば、厨房へと戻れば店長はニヤリと笑った

「 べっぴんじゃねぇか、知り合いか? 」

「 クラスメートです 」

「 ほぅ? 」

意味深に笑う様子に少しだけ恥ずかしくなり、無駄に手元のテーブルを拭きながら彼女が此方をみるのを待っていた

呼ぶより先に、お客の反応で行く方がいいからな

「 まぁいい、少し品を出す為に離れる。厨房任せたぞ 」

「 分かりました 」

軽く頷き、厨房を離れた店長の代わりに厨房に立ち温度調整など見ていれば彼女は視線を向けた為に腰につけたエプロンで手を拭き行く

「 注文御決まりでしょうか? 」

クセで伝票持って直ぐに床へと膝をつきボールペンで書く準備をしていれば、いつまでも言わないことに疑問に思い目線を上げれば、彼女はきょとんとした顔から珍しく照れたように笑った

『 なんか、王子様みたいだ 』

「 ....なんだそれ、油まみれの王子なんてないな。注文は? 」

『 この油そばのチャーハン、餃子セットがいいな 』

「 食べきらないでしょ....半チャーハン、餃子4つにするからそっちを食べな? 」

『 半分に出来るんだ....ならそっちで 』

「 畏まりました。少々お待ち下さい 」

ハンバーガーだって一つが限界だったのに、食べきれるとは思わず半分のセットの方にすれば麺を聞く

「 あ、ごめん。好きな硬さと太さは? 」

『 なにそれ、ナニの大きさ? 』

「 ふとのカタね、好きそうだし 」

えー、なんて言うけど強ち嫌いではない下ネタなんだろう
ニコニコ笑っていたけど、流石に太麺の硬で汁の無い油そばは食べ辛い為に

太麺のやわに決めた、これは結構好きな人が多いから王道の組み合わせだ

先に餃子をセットし焼き始めた時間を見てから、麺を作るのを後回しにする

彼女はテーブルから立ち、自由に取れる高菜やらつまみを見てた為に近寄った

「 なにか分かる? 」

『 んー、野菜? 』

「 やっぱり....高菜はチャーハンと食べると美味しいよ。紅しょうがやニンニクはいらないと思う。テーブルに有るのはすりゴマだから好きに使っていいよ 」

『 ........ 』

説明するのは、始めてくる御客さんが戸惑ってるとき
小皿もいつでも渡せるような雰囲気なのだが、彼女が俺を見てることに傾げて視線をやる

「 なに? 」

『 いや、慣れてるなーって 』

「 ....そりゃ、1年以上はやってるから 」

厨房も一人で任せて貰えるぐらいには慣れている
シルキーは軽く笑いながらテーブルに座れば、俺は餃子の焼ける時間を見てからチャーハンと油そばを同時に作り始めた
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