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「 痛い.... 」 

『 殴られっぱなしだからだろ、手を出さないのは紳士っぽくて格好いいけどさ 』

半殺しから、殺しにかかったぐらいで彼女の父親が止めに入った
それでも蹴ろうとしたのを必死に止めてたのを見ると、彼女は相当手が早いのだと思った 

キャンピングカーに戻って手当てされてる俺は、情けなくて言葉が出なかった

「 違う....俺、喧嘩できなくて弱いから.... 」 

『 知ってる 』 

「 えっ? 」

即答で答えられた事にキョトンとすれば、彼女は神社の事務所から借りた救急箱を片付けては膝を曲げて俺を見上げてきた 

『 だって、しょーたは優しいじゃん。喧嘩するような人じゃないって知ってる 』

「 ....っ、そんなの見た目.... 」 

『 見た目? 』

違う、見た目じゃない....
見た目なら喧嘩できると思われてるはずだ、シルキーは俺の外見ではない部分を見てたんだと思うと鼻先が痛くなっていた

「 女の子一人守れないなんてカッコ悪すぎる.... 」

『 なんで?男だから?寧ろ、私は女だから甘えて守られるなって躾られて武道を習ってたよ?身を守るすべ位知ってる 』

か弱いと思ってた、でもよくよく考えれば痛みすら鈍感と言うか強い部分あるんだよね.... 

「 俺が守られるのも嫌だ.... 」

『 一緒に武道でもする?しょーたが勉強教えてくれるなら、私は武道を教える。なんせ、私は脳筋だからな 』

好きなことばかり頭に入って、それ以外はダメかと思っていた

「 体育苦手だったじゃん.... 」 

『 苦手だよ、走るの嫌いだし身体も硬いし。でもそれは、相手の体重や体格差をフォローした武道とは関係無いし 』

そう言われると納得するけど、それでも俺より強いことに少しだけ納得できなくてふてくしていた

少しそっぽを向いた俺に彼女は溜め息を吐いて立ち上がった
呆れられた?そう思うと視線を向ければ、シルキーは俺を見下げては問い掛けてくる

それは、俺が思ってたことと同じ事

『 こんな私だと理想と違って幻滅するか?嫌いになるか?....しょーたに嫌われるのは堪えるが、仕方ないし.... 』

雷が苦手だったり、料理が破壊的に下手だったし、無鉄砲だし、喧嘩も勝っちゃうけど
寂しがり屋で甘えん坊で可愛い君を嫌うわけないと首を振った 

「 そんな分けないじゃん、嫌うわけない....どんな君でも俺は嫌わない 」

『 !!なら御互い様、私もしょーたを嫌うことはないよ 』

俺の前に現れた、美人で可愛い彼女
誰もが理想を求めて見た目から入るのに、俺はそれを尽く壊れた結果
中身を知った

それを知ると何故か、嬉しく思う....

「( シルキーが好きだから.... )」

『 それで、最初になんで泣いてたんだ?それがすごーく気になってた 』

「 っ!!それは.... 」

忘れたと思っていたし、俺もすっかり忘れていた 
でも、覚えてたことに恥ずかしくなって首を振ってからそれでも答えを待つシルキーに頬を掻き告げる

「 ....シルキーに嫌われたくないなって思ったら、急に過去を思い出して泣けたんだ 」

『 案外、泣き虫なんだな? 』

「 っ、そうだよ。泣き虫だもん 」

『 ははっ、可愛いーな! 』

可愛い子に可愛いと言われるのは凄く複雑だけど、それを全く気にしないほどに笑うからもう下手に深く考えるのを止めた

「 あのさ、シルキー.... 」

『 ん、なに? 』

「 もっと俺を知って欲しい....俺もシルキーを知りたいから、教えて欲しい.... 」

『 いいけど、とりあえず毎日のパンツ聞くから答えろよ? 』 

「 本当、パンツ好きだよね!!?答えるけど!! 」

今日のパンツは何色ですか? 

一番最初に聞く言葉は、外見で着飾った部分ではなく内側のそれも親しい人になら簡単に答えられる下着から....

「( つーか、俺が好意向けてるの気付いてないよね?これ.... )」

俺が告白出来る日は来るのだろうか?

「( 自分より弱い奴は無理とか言われそう、と言うかシルキーのお父さんに娘より弱い奴は~なんて言われたら.... )」 

やっぱり俺が並んで歩くには少し後になりそうだと思った

『 お父さん、さっきの奴は? 』

「 ん?墓だろ? 」

『 そっか、よかった 』

「 いやいや、待て待て!サラッと墓とか言ってるけど病院って言ってあげよう!まだ生きてるから!多分! 」 

『「 ...... 」 』

えっ、まだ生きてんの?なんて顔をしないでくれるかな?

殺人はよくないよ、

うん!俺は元気だし半殺しで許して上げて欲しい 

「 あ、将汰。因みに俺はシルキーに勝ったことは一度もない。夫婦喧嘩のときは気を付けろよ?死ぬぞ 」

「 最後の一言だけ、ガチで言うの止めてくれますか?てか、貰っていいですね? 」 
   
「 彼奴に男と思われるようになるよう頑張れ、見守ってやる 」

見守ってたからギリギリまで見てたのか 
と言うかシルキー1人で平気だと知ってたから放置か?

案外、お父さん....子供を崖から落とすタイプなんだな

流石 獅子座同士?
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