8 / 276
一章 聖獣への道のり編
06
しおりを挟む最後まで読む前に、少年は眠りに落ちていた
ほぼ何て言ってるか分からなかった為に自分で読んだのだが
知らない文字の筈なのに読めるのはきっと
この世界に来たからだろ
短い鼻先を使ってページを全て捲り終え
読み終わった頃には一つ溜め息が漏れた
『 子供向けに良いように書いてるだけだろうな……実際は、聖獣を得ようとしてる大人で溢れてそうだ 』
絵本だからこそ実際に起こった事とは思えないが、こう言う系統の昔話は本当にありそうだ
特にこの国、世界を知らないからこそなんとなく確信があった
勇者と呼ばれる為に聖獣を探すのか、捕まえるのかは分からないが
獣からしたら傍迷惑だと思う
『 ……いつしか、って言葉が気に入らないな 』
いつしか、その間にどれだけの者が死んだのか
どんな事が起こったのか、其が気になる俺は真面目な部分があるのだろうな
歴史でも勉強した意外のことまで後々調べて、遊ぶ時間削っていたのを思い出すと
この世界の歴史なんて気にしてたらどんなに時間があっても足りなさそうだ
『 俺は、どの位生きるのだろうか……三十年ぐらいがいいところか…… 』
この少年がいつか、人間だった俺より年上になった頃に俺は寿命を迎えるのだろう
犬や猫もそのぐらいの寿命だったと思い出せば、それもまたいい
どうせ人としても直ぐに死んだのだ
『 勇者になった少年が死ぬまで傍に居た聖獣は、それからどうしたのだろうか…… 』
少年が死ぬまでってことは聖獣もまた長生きしてる
普通の獣ではないからこそ、最後まで見れたのだろ
俺は新しく生きた先で出会ったこの少年を最後まで見届けれるだろうか……
『 まずは御前の名前を知らないとな……家族が呼ぶのを聞いとこう…… 』
ペットとして暮らすなら、飼い主の名前ぐらい知っていてもいいだろ
少年がいつか大人になって、俺が可愛いげのない容姿になっても傍にいてくれるかは分からないがな……
勇者の絵本を閉じ、少年の顔の横で丸くなり眠りに付く
今日は色々、移動したりして疲れたから眠ろう
そしてまた明日、少年の様子を見ながらこの世界を知っていこうと思った
夢の中で、草原を走り回るような夢を見ていた
なんせ、この身体は走れないからな
「 おはよう、ノワール!きょうはなにしようか 」
「 ノア、遠くに行ったらダメだからね 」
「 はーい!いこ、ノワール! 」
翌朝には直ぐに分かった
ノワ・ドゥ・ウィリアム
ウィリアム家の一人っ子であり長男だ
両親は国民と呼ばれ、
父親は外に稼ぎに出掛け、母親は家事専門をしてる
縫い物をしたり洗い物をしたりと、母親らしいことをしている
其が少しだけ羨ましく思い彼等を見た後に、先に外へと出たノアを追い掛ける
昨日より身体の使い方に馴染み、軽く走れるぐらいにはなった
丸っこいボディーは相変わらずだが
「 あの獣……本当、どこで拾ったのかしら 」
「 ……それについて少し調べてみるところさ 」
『( 拾った? )』
外へと出る前に聞こえてきた言葉に脚を止め、振り返る
俺の事を言われてるのは分かるが、両親の表情からして良くないのだろ
分かりはする、この家庭が獣を商人から買う事は想像できない
それに拾ったと言うことはノアが何処からか連れてきたって事になるだろ
飼うことは賛成していても、誰かのペットだったなら心配になるものだ
どの位、俺がこの家族の元にいるかは分からないが雰囲気からして最近だな……
「 ノワール!ほら、いくよー! 」
『 ガウッ!( 今、行く )』
獣である俺が考えても仕方無いか
ノアに呼ばれたら勝手に身体が動く感じもする
彼の元まで短い手足を動かし走れば、嬉しそうに俺を抱き抱えて遊びに行く
" 見つけた "
" 間違いなくそうだろ "
胸に感じる違和感と、鼻先が痒いような嫌な匂いに全身の毛が逆立つ気もする
「 ノワール、あれが羽毛馬だよー!のったり、うもうをふくとかにするんだよ 」
『( フェザースティード…… )』
町を案内してくれる中で、見掛けた
馬小屋には商人達が連れてきたような俺の知らない馬が並んで繋がれていた
パッと見た目は馬っぽいんだが、身体には名前通りのフワフワの羽毛と言うより綿に覆われている
一言で言えば、羊のデカいバージョンに見える
只、手足と顔が馬ってだけで身体のモコモコ加減は羊そのままじゃないか
獣には興味ないが、見たこと無いのはちょっと触りたくなる……
「 ちかづいてみる? 」
『 ガウッ!?( いいのか!? )』
男の好奇心は何歳になっても変わらないな
久々に新しい本が発売した時のようなキラキラな目を向けたと思う
15
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
校正も自力です(笑)
【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから
西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。
演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP
*10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる