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一章 聖獣への道のり編

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起きてはまたヤられ、逃げる気もない俺はどのぐらい交尾をしてたのか分からないほど
何度も、この獣の身体を求められていた
その度に流し込まれる精子が薄れることを知らず
俺の身体からはシロの匂いと魔力が感じる

『 痛い…… 』

腰は重く、聖獣で有りながら治ってない傷口を鏡を見て思う
外に月が出てるのか、人型になった俺は首回りにある幾つもの咬み痕を見ては眉は寄る

『( 本当、何を考えてるのか意味わからん )』

獣同士の交尾に本能的に興奮してたのもあるが、シロが何一つ言葉を投げ掛けてくる事もなく交尾をしてた事に、理解ができない

それだけ俺はまだ人間性があるのか、其ともシロが単純に獣での交尾が実は好きだった奴なのか、分からないが
俺からすれば、騎乗位やら他の体位に興味があるわけで
こんなにも一方的に咬まれて交尾されてたら愛情があるのかも疑われる

『 はぁー…… 』

部屋にある風呂に湯を溜め、ゆっくりとつかって身体を癒して綺麗にしては
内部に溜まった精子を掻き出して身を洗う

久々に入るような風呂を満喫しては、部屋へと戻れば獣の姿で横たわり寝てるシロを見て眉を寄せる

『 気持ち良さげに寝やがって、何がしたいんだ 』
  
言葉で言わなきゃ分からない、そう言ったのは御前だろ 
なのに何も言わないのは狡いと、ベッドに腰を下ろし座っては考える俺に
背後で動く音と共に、服へと鼻先が当たる感覚に今度はこっちから怒る

『 なに?匂い嗅いでさ 』

「 身体洗ったのか 」

『 当たり前だろ 』
 
「 何故だ? 」

『 あんなベトベトで過ごせる、っ!! 』

服を嗅いでたシロは、俺の言葉を最後まで聞くことなく背中を押さえ付けた
その重みで前のめりに倒れ、床へと俯せで倒れた時には背中に感じる爪と重みに眉は寄る

「 そんなに、俺の匂いが気に入らないねぇか!? 」

『 いや……なんでそんな不機嫌なの?嫌いの前に……いっ!! 』

コートを着てても痛む背中に、どれだけ力を込めて押さえてるのか考えたくないほどに痛めば
うなじに感じる咬まれた痛みに眉は寄る

生温い温かさが喉元に伝い、鼻に来る血の匂いに皮膚に穴が空いたと察する
そりゃ狼に咬まれたら人の肌なんて簡単に孔が空くだろ
  
「 グルルル……( そんなに俺を嫌ったか? )」

唸る声に合わせて聞こえてくる言葉に、一瞬頭の上に疑問符が浮かぶ

『( 嫌った?えっ、風呂に入っただけでそう思われたの? )』

一緒に風呂に入らなかったのが原因か、其とも石鹸で洗ったのが原因か、俺は今までの行いを思い出せるだけ振り返れば

一つのすれ違いに気付いた

「( そんなに俺が捨てると思って幻滅したか!? )」

『( あぁ、これ……不安なのか )』

シロの二言目の言葉に、やっと全てができた

彼は自分自身が思ってる以上に不器用で嫉妬深い
そして、俺よりも寂しがり屋なんだ

俺が離れて平気だと言って、彼が其に反応して怒ってから俺は怯えたまま抵抗をしなくなった 
その事でやり過ぎたと思ったときには自分でも制御出来なくなって暴走してるのだろう
 
本当は、離れて行って欲しくなくて必死に繋ぎ止めようとしてるように見える

『( もし、俺の推測があってるなら……此所は…… )』

獣へと成り下がったとレイヴンは言っていた
なら、俺がする行動は只一つ

「 !?っ……!! 」

獣の姿へと変わり、首を動かし彼の首へと噛み付けば
そのまま驚き力が抜けたシロをカーペットの上へと押し倒し、腹を見せては肩に手を押し当て目線を合わせる

油断したにしろ腹を向けたシロは、驚いてるような様子に、俺は口角を上げてからその顔やら首筋へと頬を擦り寄せる

『 愛してるよ、シロ。……御前が捨てないとよく分かった。だから落ち着いてくれ、愛情表現過激すぎる…… 』

ふっと笑って同じく首筋へと噛みついた俺に、シロは目を細目、首を晒すように反らし
その身体には力がない

「 ……レイヴンの言葉を信じないでくれ。俺は、何度も抱こうが御前に興奮する。此れから先、何百年でも何千年も御前只一人いりゃいいんだ…… 」

俺が思ってる以上に、彼は俺を好いてくれていた
その言葉に涙が流れそうな感覚を堪えては、噛み付いた首筋から口を離し、頬へと擦り付く

『 其を言えよ、知ってる。御前が俺を大切にしてることぐらい 』

「 嘘を付け、俺が捨ててもって言ったじゃないか。御前を捨てるわけ…… 」

『 俺は前世で死ぬ前に、彼女からこっぴどくフラれてる……だから、ちょっと怖いんだよ…… 』

「 !! 」 

五月蝿いともう一度、押さえ付けては
人型へと変わり見下げたまま答えた

言わなかったこと、言う必要がないと思ってたことを話した

人だった時の記憶が僅かでも残ってるシロなら分かるだろう

フラれた後は、恋愛に臆病になることを……

「 すまない……。一つ言わなきゃいけないことが出来たようだ 」

『 なんだ? 』

「 俺は物心ついたときには少年兵だったから…。その、初恋は、御前なんだ…… 」

『 は??? 』

「 だから、な…。人間の時に恋愛を、したことがないんだ…… 」

恋愛したこともない奴が、あんなセックス知ってたのか?
どんな本能だよ、と思った俺は思いっきり噛み付いていた

そして、一時口を聞かなかった

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