208 / 276
二章 宝物捜索 編
06
しおりを挟むランケを捜索しても見付からなくて
夜は危険だから諦めようって事になり
満天の星空の下で、休息を兼ねて休むことにした
持ってきていた寝袋を広げて、眠る兄弟の横にはドラゴンであるシー・グリーンが眠っている
こんな森の中で落ち着けるのは可笑しいけど、森でデカい魔物に会う恐怖に比べたら、ずっといい
それだけドラゴンの存在が大きいんだなって思いながら、岩へと凭れ夜空を見上げる俺は満喫していた
「 眠れないのか? 」
『 ん?まぁ……ちょっとだけ……。星が綺麗だから 』
獣の姿で横たわっていたソレイユは片目を開いてから、首を持ち上げのっそりと起きればそのまま人の姿へと変わり、横に腰を下ろし座る
「 確かに綺麗だな……。御前の氷の結晶みたいだ 」
『 氷とは違う綺麗さがある。あれは、実際は全部隕石なのに…… 』
「 そう言うものに人は引かれるのだろ。手には届かないものに 」
片手を上げて星を掴むような動作をした彼の横顔を見てから、片手を腹下へと当て肩へと凭れる
届かないものを欲して、願って、得られないことに落ち込むのもまた人間
動物なら、さっさと切り捨てて、次の繁殖の準備をするだろうけど
俺達には切り捨てても、得ることは出来ない……
こんなゆっくりな生活で、いつ玉を取り戻せるか分からないからこそ不安で仕方無い
『 手に届くものがいい……。家族も……物も……。触れないものは、綺麗だと思うけど嫌い…… 』
「 形有るものが全てじゃ無いが、御前には手に触れて実感できるものがいいんだろうな 」
手の甲へと、片手を置いたソレイユの言葉に眉を下げ自分の我儘に呆れる
そんな顔をさせたく無いのに、触れる物を求める俺には、きっと彼の考えは分からない
『 星は確かに綺麗だよ……でも、触れることが…… 』
手を伸ばそうとした片手は握られ、彼は何かに気付いたらしく俺の後頭部を支えた瞬間に地面へと押し倒した
「 っ……!! 」
『 いっ……っ…… 』
驚いた瞬間に地面へと背中が辺り、右の頬に感じる痛みは自分がヤられたのではなく、ソレイユの頬に傷が付いたのだと知る
「 起きろ!!敵だ! 」
「 んっ? 」
「 なぁに? 」
俺から離れて、声を上げ兄弟を起こしたソレイユから感じる魔力に戦闘体勢に入ったのだと分ければ、彼は雷鎧を身に付け腰に差す剣に触れる
『 ソレイユ!敵って……? 』
「 魔力をガンガン使ってたから、魔力を求めて来るとは思ってたが……夜なんて、御前らしくないな…… 」
敵の方へと視線を向けるソレイユに、兄弟もまた異変に気付き起き上がり、シー・グリーンは二人を守るように前へと移動する
俺だけが、誰なのか分からず暗闇をじっと見詰めれば森を引き摺ってきたような音が徐々に近付き、そして枯れていく事に目を見開く
「 綺麗……?なにが…綺麗なのか言ってよ……ボクに教えて……うつくしくないんだ、なにもかも……美しくない…… 」
その声に聞き覚えがあるが"二種類"が混じった声のトーンに、足元からぞわっと鳥肌が立ち毛が逆立つのが分かる
氷鎧を身に付け、戦闘体勢になる俺は剣へも片手を当て近づく影を見れば
虎のような大きな茶色の前足は地面を踏み、上半身を見れば息が止まった
『 っ……ジョセフ……? 』
「 凄く久々にその、名を聞いたよ……ジョセフ……そう、ジョセフ……ボクは、ジョセフなんだよ……ノワール 」
『 !!! 』
虎の前足と胴体を持ち、上半身は若い青年の姿をしたジョセフであり枯葉を付けたような茶色の髪に、頬やら手足に魚のような鱗があり、下半身から後ろは狼の脚があり、尻尾は孔雀の様に枯れ葉や蔓を引き摺っていた
身の毛がよだつ外見に吐き気さえ感じ、口元に手を当て息を詰める
「 ジョセフ?あの錬金術師か?なら、合成したのはランケ……成り下がりの聖獣か 」
「 ははっ、美しくないよねぇ……君のせいだよ、ノワール……どのぐらい合成したか覚えてないよ……ねぇ、ノワール……ボクは……うつくしい? 」
ソレイユの言葉に聞く耳すらもたず、ジョセフとランケが重なったキマイラの言葉に眉は寄り言葉に詰まった
到底、美しいとは言えない枯れ葉のような姿
若いのは見た目の外見だけであり、衰えてるように肋骨は露になり、背骨までくっきりと見える
筋肉や脂肪のない、痩せ細った身体に似合わないほどがっしりとした獣の胴体は別にくっ付けた感がある
そんな、姿の……どこが……美しいと言えるのか……
『 醜い…… 』
「 成り下がりの聖獣を含んだ時点で醜い死に損ないだ。俺の番を泣かせ、子を奪った恨み……はらさせて貰うぞ 」
「 醜い?誰が、誰がこんなことにしたと思ってるの!!?御前だ、御前が全部悪い!!黙れ、雷程度しか操れない、子犬風情が!! 」
この距離でやっと、成り下がったランケの母体に、幾つもの聖獣と人の魔力が感じられそして彼等の悲鳴や苦しむ声が頭へと直接響くように聞こえてくる
助けてほしい、痛い、苦しい……その言葉に耳を塞がりたくなり手の平を握り締め告げる
「 ほざけ、継ぎ接ぎの人形が!!雷吼!! 」
「 邪魔だ!樹海喰! 」
魔法を発動してぶつけ合った彼等の風圧で吹き飛びそうになりならがも堪えては、ソレイユに任せて主達を優先する
『 シー・グリーン!二人を遠くまで頼む 』
軽く頷いたドラゴンの背中へと二人が乗り、離れればそれを見た後にソレイユは笑みを溢した
「 魔力解放……雷神の鎧 」
ピアスが消えた瞬間に、落雷は降り注ぎ
剣は大きなハンマーへと変わり、片手で担いだ彼の身体には見た事の無い鎧がある
これが、雷神であるトールの鎧を得た聖獣の力なんて……
「 邪神の鎧……ロキ 」
けれど、只の人間でありながら元々魔力のあった錬金術師が聖獣と合成すれば、どうなるかは想像がつく
それはきっと……最高ランクであるソレイユと匹敵する強さだろう
俺が、手を出せるか分からない境域だと察することが出来る
2
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
校正も自力です(笑)
【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから
西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。
演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP
*10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる