215 / 276
二章 宝物捜索 編
7話 神様は孤独らしい
しおりを挟むもう場所を間違えたり、迷子になるわけが無いぐらい何度も、何度も帰っていた場所だから分かる
けれど…洞窟はあっても、その中に一緒に過ごしたはずの家も、シロの存在も無かった
『 シロ?…シロ?シ、ロ……? 』
あちこち見ても、あるのはゴツゴツした岩壁と、偶に落ちてくる滴だけ
嫌な予感に、胃の底から嫌のものが上がってきそうなぐらい不安感によって気持ち悪くなってきた
『 シロの嘘つき、ずっと一緒に居るって言ったじゃん!!なんで、いないんだよ……。なんで…… 』
此処にいないならシロはもう神の庭にいないと思った
元々此処は、ライフの聖獣であり、召喚獣の為に造られた空間だ
それが、最高神になったシロには不必要というか、いなくてもいい場所になる
この空間で、自然治癒しなくても十分な力はあるだろうし
もう、召喚されない存在なら怪我する事も無いと思う
只、最高神であるだけ……みたいなのをファルから聞いたから、シロが居ることを期待したのが間違いだったんだ
『 っ……でも、でもさ……。俺がシエルの元から帰ってきたってことは…シエルは死んだって事なんだから、慰める為に居てくれてもいいじゃんか…… 』
いつものシロなら、帰ってきたらペロペロ舐めてきて、慰めるだけ慰めた後に襲って来そうなぐらいなのに……
どこに行くのか置き手紙もなくて、姿が無いなんて寂しすぎるし、逆に腹立つ
『 うぅ……俺は自立しろってか?分かってるけど…… 』
天命を全うするまでシエルの側にいて、沢山の事を見てきたのに平気なわけあるか
それに、シロだってずっと側にいる……とか言って居なくなるなんて…
俺の気持ちもちょっとは考えて欲しい
『 シロのおたんこなす!バカチンがぁ!!うぁぁぁあ!! 』
八つ当たりの如く、勢いをつけて洞窟の一番奥へと突っ込んでいき、そのまま体当たりをするように向かった
『 うわぁぁあん!! 』
目を閉じたままぶつかっていても、いつまでも想像していた痛みは襲ってこなくて
その代わり、足元がやけにひんやりしてツルツル素材のことに疑問になり、目を見開く
『 え……ふぁ!? 』
足元を見れば真っ白な大理石のような床があり、驚いて片手を上げて辺りを見渡せばアラビアの宮殿のような場所へと変わってることに唖然となる
『 なにごと!? 』
後ろを向けば洞窟は無くて、前には白い柱が並びどこまでも続くように見える
左右には別の道もあるから、頭が混乱しそうだから、
一旦、後ろへと下がってみた
『 へ………? 』
さっきまでの宮殿は無くなり、洞窟へと戻っていた
『 どういうこと? 』
手を伸ばして壁へと触れれば、肉球は中へと埋まっていく
『 っ~~!? 』
ゾワッとした感覚に手を引っ込めて、尻尾が腹へと丸くなる本能のまま、その場でお座りをして考えた
『 ここの空間が歪んでる?いや、他の場所に繋がってるって事?つまり…… 』
あのさっきの宮殿は、もしかしたら!と思い
立ち上がって壁へと向かっていく
直ぐに洞窟では無くなって、後ろを振り向けば僅かにぼんやりとした空間が違う雰囲気があり、下がっていた二本の尻尾は上がり走り出す
『 此処、シロの新しい家とかじゃないか!? 』
俺が帰ってきてもいいように、空間を繋げていた、なんて言われても納得できると思い走りながら名を呼ぶ
『 シーーローーー!! 』
宮殿の中をかけ走っていいのかは分からないが、人がいる気配も匂いもしないから、好きなだけかけ走って探すことにした
『 わー……雲の上って感じ…… 』
建物の端から外を見れば、綿菓子のような雲があり、この宮殿はそんな雲の上に建てられていた
白と金色のコントラストがシロらしいと思うぐらいの綺麗な宮殿を、隅々まで走ったり、扉を開けて行く
『 風呂三箇目だ!いらねぇだろ!? 』
風呂の形や広さは違っても必要の無いものが多い気がするし、逆に置いてるものすら少ないように見える
建物はあっても、生活感がゼロっていうやつだ
『 シロどこだよ!?シローーーー!! 』
其れにしてもシロが見つからないし、寝室らしきものや、玉座の間みたいなのもない
なにも無い部屋や、無駄に広い廊下、魚のいない、池の上に花が咲いてた中庭とかはあっても、そういったものが見当たらない
それに、なんだが同じ場所をグルグル周ってるようにも見えてきた
『 いや……もしかして…この城、動いてる!? 』
ハッとして振り返れば、まるでパズルのように廊下の大理石は動き、柱の位置も変わっていく事に気付いた
そして、俺がさっきから呟いてる内容を思い出し声を上げてみた
『 俺、寝室と広いお風呂が近くて、廊下が一本道のほうがいいなぁ~。此処は嫌だ 』
そう言った瞬間、宮殿は左右に動き始め、足元が波打つように動いた
余りにも急に動くからギュッと目を閉じて踏んばってしまう
『 っ……びっくりした…… 』
やっと動いてるのが止まり、薄っすらと瞼を持ち上げて左右を見れば、幾つもあった廊下は無くなり
一直線上に伸びた廊下の左右に部屋が移動していた
これの意味が分かり、そのまま真っ直ぐと走っていく
途中で風呂のような匂いもして、目の前にある白く装飾が施された大きな扉へと体当たりする間もなく開けば、
広い寝室のような部屋と、ベッドカーテンがされた中に大きな影がある事に尾を振り飛び込む
『 シロ、みーつけた!! 』
ぼふっ!と盛大にベッドのスプリングが弾み、フカフカのベッドよりもモフモフと毛の中へと顔を埋める
はち切れんばかりに左右に振っていれば、彼はゆっくりと動き、頭上へと鼻先を向けた
「 おかえり、コウガ。すまない…模様替えに手間取っていた 」
『 ほんと、居なくなるし意味わからなくて驚いたんだからな!でも、でも、許してやる! 』
バカでかい巨狼は装飾品を揺らし、黄金色をした枷についた鎖を動かし、俺の身体へと鼻先を当てる
「 あぁ…ありがとう……。こんな神々から与えられたクソみたいな城だが、気に入ってくれりゃいい 」
『 最高神がクソとか言っちゃだめと思う 』
見た目は派手だが…口調が変わらない様子にホッとした
成長したはずなのに鼻先程度しかない俺はちょっと大きさに戸惑うけど、シロは気にしないように口角を上げていた
見える牙がな……デカイんだよ……
「 まぁ、模様替えは俺が出来るから問題なかったが 」
『 もしかして…こっちに来てからずっと模様替えしてたとか? 』
「 嗚呼、そうだが? 」
『 ………でしょうねぇ 』
相変わらずの時間の流れに深い溜息が出た
いや、それでもきっとシロにとっては長く部屋の配置を決めてたんだろうな……
俺の一言で場所が決まるあたり、シロらしいけどさ
2
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
校正も自力です(笑)
【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから
西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。
演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP
*10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる