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二章 宝物捜索 編
10
しおりを挟む船と足場に僅かな隙間を作り、上空に浮遊したまま戦うのはいいが、一瞬目の前が真っ暗になった
『 っ!! 』
「 あの、馬鹿…なにしてんだ!! 」
前の本体に気を取られ過ぎた事で、別の方向から向かって来た触手に気付かず、左脇腹から腹にかけ穴が空いたようにぼっこりと其の部分がふっ飛ばされた
俺を召喚してくれた主に馬鹿と呼ばれたのは申し訳ないし、馬鹿なのは事実だが……
一つだけ、言ってもいいだろうか…?
『 コイツ…触手が何本あるんだよ!? 』
失った部分は一瞬血が吹き出すも、直ぐに氷となって肉体共に衣類も元に戻れば、少し後ろに下がり攻撃のチャンスを伺うも、次から次へと別方向からくる触手の数に大型の海賊船に穴が空く
「 うわぁぁあ!! 」
「 スペクトル•スクイッド。触手は全部で二十四本だ!! 」
『 そんなやつ知らないんだが!! 』
大妖烏賊•スペクトル•スクイッド
二十四本の触手を持つ超大型のイカらしい
どんな状態で此奴が生まれたのかは検討つかないが、取り敢えず船が傾いた事で滑って落ちかける乗組員の手首を氷で床と固めて防げば、此方を優先する
『 海の中に居た事に後悔させてやる。 雷電 !! 』
「 ギギィッ!!! 」
早速、シロから貰った技を使って出ている触手に向けて、電流を流せば暗い海の底で光った為に、其処に本体が有るのだと気付く
『 もう一発!! 』
弱い者虐めじゃないさ、そっちが最初に仕掛けてきたんだし、こっちは一度横腹を吹き飛ばされてるんだからお返ししてもいいだろう
何度も高圧な電流を流せば、流石に焼きタコみたいになって来たイカの本体は水飛沫を上げ、海から飛び出して来た
「 ギィー!!! 」
『 出てきたなら最後の仕上げだ。カッチカッチの氷漬けにしてやんよ!! 』
技名を特に考えてないし、魔法陣を発動しなくても凍らせる程度は造作も無く出来る為に、冷気をぶつける様に吹雪を当てれば、みるみる内にイカの手先から身体にかけ凍っていく
『 ラスト……雷電 』
凍っただけじゃ再生するかも知れないから、その上から雷を落して氷を砕いた
キラキラと結晶が輝くように辺りに散らばれば、其の場は静まり返る
『 一件落着!! 』
「 なわけあるか!! 」
「「 ぎゃぁぁぁ!! 」」
『 へ? 』
「 船が沈むぞ!!! 」
主の声に振り返れば、穴が開いた船底に海水が流れ込み、タイ○ニックではないが沈み始めたのを見て呑気に身体を向け、大きく頭を揺らす
『 氷像 』
船を大きく囲むように新たに氷で船を創り出せば、海水が入ってても沈むことは無い
沈没しないから荷物も海の底になるってことは無いし、俺ってちょっとは頭がキレるやつになったんじゃないかな!?
『( 褒めてくれるかなー )』
最初の仕事にしては頑張ったし、やったねと思っては船となった氷の上へと降り立ち、座り込んでいた主がゆっくりと立つのを見て近づく
左右に尾を揺らし、好印象な犬っぽく近付いてみた
『 終わった。ある… 』
「 直ぐに配置につけ!!怪我人は船医の元に連れて行け!!今の騒ぎで海軍が来るかもしれねぇから、全速前進!! 」
「「 アイアイキャプテン!!! 」」
『( あ、れ……… )』
傍にいる俺を完全スルーで、乗組員であるクルーに指示を出して、自分の怪我を放置して声を張る彼を見て、なんだか胸の辺りがチクリと痛む
「 おら、さっさと海水を掻き出せよー!木が腐っちまう 」
「 アイアイ 」
他の者達も、少しは聖獣に驚くのかと思ったけど…
全く興味が無いように俺が横を通っても無視して作業を続けていた
彼等を色々と見て回った後、姿を消してから船の奥にある船長室へと入れば、
其処には服を脱ぎ身体中に古傷やら、新しい傷を背負った痛々しい姿の主が着替えをしていた
『 あの、さ…手当しないと駄目と思う… 』
「 必要無い 」
傷を隠すように新たなシャツを被り、チョッキのような黒いベストを付け腰に細い剣をぶら下げた彼に耳は下がる
『 でも…皆心配すると思う… 』
「 彼奴等が心配するのは、飯が無くなった時と船が沈むことだけだ。俺一人が死のうと、直ぐに動かせる代わりはいる 」
『 っ…… 』
「 御前は黙って、俺に従えばいい。航海に邪魔な
モンスターを排除する為に呼んだだけだ 」
冷たく言い放たれた言葉に、聖獣はそれ以外に心の支えとなるパートナーとしての役割はあるが…
彼にとっては、俺は都合のいい戦闘兵器に過ぎないのだろう
それを求められるなら…俺は別に構わない
『 分かった…じゃ、名前を付けてくれ。そうすれば使う魔力も半分になる 』
「 名…… 」
それまで一切、顔を向けなかった主はやっと此方を見て俺の姿を見下げた
『( この人…よく見ればシロに似てる!? )』
黒髪を金髪にして、赤い目を金色にすればきっとシロにそっくりだと思う
只それは、すぐに砕かれる
「 使える者…アルトと呼んでやろう 」
『 っ…このアルト…。主の命尽きるその時迄…役に立ってみせましょう…… 』
使える者…そう、聖獣に名付けた事は腹が立つが、俺はポジティブだからな!
知らないだろう、アルトってイタリア語じゃ゙ 優れた ゙って意味もあるんだ!
ドイツ語だと、老化、古いとかなるけどな!
いや、でも…元は使える者だからなんか嬉しくないかも……
先が思いやられる主だけど、取り敢えず…
早死しなきゃ嬉しいな
『 んで、主の名前は?? 』
「 御前、ポジティブって言われないか…。まぁいい…゙ クラウス ゙ 」
『 わかった!クララって言うな! 』
「 海に落とすぞ、アルト 」
別に平気だと口角上げては、左右に尾を揺らし腰横へと移動する
どんなにアルトって呼ばれても、此方はクララって呼んでやるからいいんだ!!
クララが立ったー!じゃないけど、クララが心開いたー!って言える日が来るといいな
『( 聖獣が心のパートナーって教えてやるぜ… )』
「( 面倒な奴を召喚してしまった気がする…… )」
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