226 / 276
二章 宝物捜索 編
12
しおりを挟む悪名高い海賊団
漆黒の死神団の
船長であるクラウスの召喚獣となって、早数時間
俺はこの主がパートナーの中では、歴代一位って位に忙しい立場の人物なんじゃないかと思い始めた
「 キャプテン、進路なんですが…このまま順調に航海を続ければ、後六刻後にはシーヴァル•ラ ヴィルに辿り着くかと 」
「 なら、その様に舵を切れ 」
「 アイアイキャプテン 」
この海賊船の航海士である男…と言うか、黒髪の青年である獣人は一見スラッとした細身に見えるが、
耳を見ると像っぽいんだよなぁ
像って空気を感じるのが敏感だと、人間だった頃にアニマルを特集するTVで観たことあると、遠い記憶の中でフット思った
『( なら、航海士として適任だな… )』
クララの影の中で、彼等の会話やら行き交う人を目で追いながら見ていく
「 キャプテン!先程の戦闘で樽に入ってた酒が溢れて… 」
「 無いなら、我慢しろと伝えておけ 」
「 キャプテン!修理費の見積もりが出来て 」
「 嗚呼、いらねぇ宝を売って金にしろ 」
「 キャプテン!食糧の確保なのですが… 」
「 六刻後には新しい港に着く。それ迄、蒸した芋でも食って腹の足しにしてろ 」
『( おえ……… )』
次から次へと仕事を持ってくるクルー達に、見るからに慕われているクララは的確に答えていくが、
そういった事が昔から嫌いな俺にとって、聞いてるだけで吐き気と頭痛がしてくる
『( 海賊ってこんなに忙しいの? )』
見た目は古びた服を着た連中で、盗賊にも思える外見なのに、やってる事は陸で働いてる奴等と何ら変わりないじゃないか
特にクララはまるで、騎士団長や司令官のような立場
いや、海賊団のキャプテンなのだから強ち間違ってはないだろうが…
俺の記憶にあった、酒を呑んで遊んでるだけの海賊とは程遠いな
「 はぁ…… 」
『( やっと、静かになった…? )』
気を張ってたように見えるクララが溜め息を吐き、肩の力を抜いたのは日付が変わった後の深夜だった
それ迄、船長室である此処に何度も出入りしていた為に、彼が休める時間はなかった
『( ちゃんと食って寝ろと言うべきだろうか… )』
ワインのコルクを開け、グラスに注ぎながら書類へと視線を落としてるクララに、これ以上仕事をするなと言いたいが、また睨まれるのがオチだと思うから下手に声を掛けれない
必要な時だけ呼ばれる
それが本来の召喚獣としての役割だろうが、
なんとなく胸の辺りが痛いのはなんだろうか…
『( 俺はこのままでいいのか分からないな…でも、一つだけ確かなのは…。クララの迷惑になるような事はしたくない… )』
忙しい主を、これ以上気を遣わせたりなんかしたら、召喚獣としての立場じゃなく、
只の手の掛かるペットになってしまうからな!
それは避けたい為に、俺なりに頑張ることにする
役に立てるのは召喚獣として、嬉しいからな!
『( よし、そうと決まれば見張りでも交代してやろうかな! )』
クララが座り直し、一人でゆっくり仕事をする様子を見てからその場を離れ、甲板の方へと移動した
『 相変わらず…ボロボロだな 』
召喚獣を出さなければ行けない程に、攻撃をされ続けた船は、御世辞にも綺麗だとは言えない程に争いの傷が残っていた
此れで、次の港まで行こうとしてたのだから、俺が氷で覆う事をしなければ海の藻屑となってたじゃないか?って思うぐらいだ
『 あ、さっきのツーブロ 』
「 んぁ? 」
甲板に姿を見せ、歩いていれば手摺り凭れている黒髪のツーブロックをした海賊を見かけ、近付けば彼は視線を海から俺の方へと落とした
「 どうしたペット、キャプテンの元に居たんじゃねぇのかー? 」
『 アルトだ。そう名を貰った 』
「 へぇ?んじゃ、アルト。俺は、ヤーゴフ。ヤーゴでいいぜ 」
『 分かった。そう呼ぶ 』
クララもそうだが、海賊は名字を名乗らないな
もしかすれば、名字は無いのかもしれないが…
まぁ、それは追々分かるだろうと思い、
ツーブロックの彼の名前が゙ヤーゴ゙と言う名だと知って、ちょっとだけ嬉しくなった
此奴とは仲良く慣れそうな気がするからな!
「 んで、もう一回聞くけど… 」
『 見張りを交代してやる! 』
「 は? 」
『 疲れてるだろ?俺に任せてくれ! 』
あんなモンスターに負けるような人間より、ずっと俺の方が見張りに向いてると思って尾を振りながら彼を見上げれば、目をキョトンとさせた後に盛大に溜息を吐かれた
「 はぁー…んなこと知ったら、俺が鮫の餌になるじゃん 」
『 え、なんで?一晩起きてる事ぐらい平気… 』
「 いや、そういう問題じゃ無くて。キャプテンって自分の物に対しての… 」
ヤーゴが言い掛けた言葉と共に彼の視線が俺の後ろへと向き、俺もまた足音と気配で気付いた為に振り返れば、
其処には仕事をしながらも休んでたはずのクララの姿があった
「 アルト、テメェなに勝手にほっつき歩いてんだ 」
『 へ?俺は見張りを… 』
「 夜の散歩はこの位にして帰りな?なっ?? 」
『 え?散歩じゃ… 』
散歩じゃないと言いかけたのにヤーゴの無言の圧を見て、俺は見張りをしない方がいいのだろうか?と思い仕方無く身を起こして、クララの元へと戻れば、彼は俺を見下げて睨んだ後に背を向け歩き出した
「 ヤーゴ、朝までに全ての便所掃除をしろ。テメェ一人で 」
「 そ、そんなぁ…あんまりっすよ~ 」
『( 大所帯にあるトイレの掃除…大変そうだ… )』
なんで彼にそう命令を出されたか分からないが、
俺は見張りが出来ないことに残念に思いながら船長室へと戻った
「 テメェ…誰のペットか、理解してんのか? 」
『 へ? 』
もしかして…
今回の主は、めちゃめちゃ難有りかもしれない
血の気が引くような感覚に自然と耳は後ろに下がり、尾は腹の方へと丸まってしまう
クララ…その手に持ったの、鞭じゃない?
俺には、そんな趣味ないからな!?
2
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
校正も自力です(笑)
【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから
西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。
演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP
*10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる