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3話 獣人の赤子
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~ 颯 視点 ~
昔から、母親よりも相談に乗りやすい父親である、久遠樹
この人とそっくりと言われるほど、俺は父親似であり、父親っ子だった
心臓の手術をしてから仕事を辞め、
主夫になった、親父が常に家にいるのが理由でもあるが
見た目は厳つい顔をしてるのに、口調やら接し方は優しいのが何よりの理由だと思う
おかげで瑠菜も直ぐに懐つき、パパと言う単語を一番最初に覚えたぐらいだ
母さんと俺は多忙で家にいなかったりして、懐かれるのは遅かったが、
その分親父が世話をしていたからだろうな
リビングへと移動し、瑠菜がセフレを作っていた話は伏せたまま、彼女を愛した結果、孕ませてしまったことを伝え、そして一度は検査したい事も伝えれば、親父は渋い表情を見せ
口をへの字に曲げたまま、幾分か考えて深く溜め息を吐いた
滅多に怒ることのない親父が、ブチギレると思っていたのだが、堪えたらしく気を落ち着かせて言葉を告げた
「 獣人の妊娠は異例中の異例だと聞いた。瑠菜の生まれた場所さえ分かれば検査も出来るだろうが……拾ったんだろ?二人とも、心当たりは無いのか 」
敢えて俺だけではなく、瑠菜の方にも問い掛けた事で彼女は自らの腹下を擦りながら考えるように首を傾げた
「 悪いが俺の方はさっぱり。拾った場所も人気のない道路だったからな 」
心当りがあれば、それに関して調べて検討を付けているはずだが全く無いから、頼れる親父の元に来たんだ
「 そうか……瑠菜は? 」
「 私は…ちょっとある 」
「 えっ? 」
小さい頃の記憶は無いと思ってたからこそ、驚いた声を漏らし、視線を向ければ彼女は俯いたまま答えた
「 此処に拾われる前に、金持ちの夫婦の場所にいた…。その前は、真っ白な部屋で…白衣みたいな服を着た人達がいて、私ぐらいの子供もいたんだ……。多分、私はそこで生まれた 」
「 !! 」
瑠菜は自分の生まれを知らないと思っていただから内側の太腿にある数字すら、言わないように、問わないようにしていたのだが、彼女が理解していたと言う事に胸は傷んだ
「 研究所だろうな。それなら日本にある研究所を調べれば早い 」
立ち上がった父親は直ぐに調べる為に、リビングにあるソファーに座り、ノートパソコンを開いて検索をかけていく
目線を下げたままの瑠菜にどんな言葉を投げ掛けていいか分からず、言葉を選んでいた俺に、彼女は先に告げた
「 私、知ってたの……。自分が造られた獣って。だから、パパがそんな顔することないよ 」
「 っ…… 」
20年間、家族として過ごしていた娘が、造られた獣だと自ら告げた言葉の重さに息苦しさを感じた
言わせてしまう日が来たことに、無能な自分を絞め殺してしまいたくなった
不器用に眉を下げて笑った瑠菜を見て、自然とその頭に触れ胸元へと寄せていた
「 ん…… 」
「 そうだとしても。御前は家族であり、俺の最愛の子なんだ 」
獣人だろうと、人間の子供としてだろうとも、どっちでも良かった
掛け替えの無い存在には変わらないと、頭を撫でながら告げれば彼女はゆるく尻尾を揺らした
「 ありがと、パパ……。凄く、嬉しいよ 」
「 嗚呼…… 」
視界に入る尻尾を見ればふっと笑い頭上に口付けを落としていれば、親父は検索結果が出たらしい
「 見付けけたぞ。瑠菜の生まれたと思われる研究施設を…… 」
腕から離れた瑠菜は興味津々に親父の元に行き、その背後に立ち肩に触れ身を乗り出せば、俺は隣へと行き画面へと視線を向けた
「 獣人遺伝子研究? 」
「 嗚呼、主に遺伝子研究をしてるらしいが……獣人を飼っている富豪のSNSを見れば、此処で買った奴が数人いるらしい。金持ちらしいな……獣人の自慢を載せてるから分かりやすい 」
「 嗚呼、SNSな…… 」
富豪のSNSなんて興味なくて調べる思考から、完全に除去されて忘れていたが
こうやって彼等が買った場所を調べれば早いのか、いや…″買った″と言う言い方が気に入らない
「 此処に行けば、赤ちゃん生まれるのかな? 」
「 どうだろうか。取り敢えず行って検査は出来るようだ。ほら、獣人の健康診断受付時間とか書いてあるからな 」
「 なら、行くだけ行ってみるか。余り研究施設とか行きたくないんだが……此ればかりは仕方ないか 」
異例も少なく、人間用でも、ペット用でも検査をしてくれないのなら、獣人専用の場所に行くしか無かった
瑠菜を連れて行くには気が引けるが、仕方無いと諦めるしか無いか
「 ここで生まれた獣人は、診断費は掛からないらしい。まぁ、研究の成果にでもするのだからいらないだろうな 」
「 此処で生まれて無くとも、検査してくれるならそれで良い。少し距離が遠いが午後の最終時間には間に合うか…… 」
「 今から行くのか?ノンストップで走らせるしか無くなる。一日ぐらい休んでいけばいいだろ 」
腕時計へと視線を向け、山を突き抜け片道5時間ほどは使うが問題は無いと納得していれば、親父の言葉に瑠菜は賛成した
「 そう、家から此処まで休憩無しで来たし……私もちょっと休憩したいかな? 」
「 ……瑠菜が言うなら休むか。明日は朝から出発する。親父、世話になる 」
「 ふはっ、構わないさ。帰ってきた母さんも喜ぶだろうな。瑠菜、実家帰りしたんだ。ゆっくり休むといい 」
「 はーい! 」
「 そうだ……母さんにも報告しないとな…… 」
泊まるということはつまり、母親も帰ってくるって事になる
俺に会社の一つを預けてたまま、社長を維持してるあの人に、疲れて帰って来た後に言えばなんて言われるか
瑠菜を連れて帰った日も、笑顔が恐ろしく怖った記憶がある
だが、言わないで逃げてたら良くはないな……
「 そうだぞ。俺達の孫になるかもしれないんだ。瑠菜、ママへの報告は大切だよなー? 」
「 うん、大切だと思う! 」
二人して顔を見合わせてねー!なんて首を傾げてやってるが、怒られるのはこの俺なんだが
いや、無責任な事をしたんだからそのぐらいは当然か……
ある意味、キリキリと胃が傷んだ
「 パパの部屋。変わらないね 」
「 嗚呼、そうだな 」
一晩泊まる場所は、俺が使っていた三階の奥の部屋だ
ベッドに横たわり、匂いを嗅ぐ瑠菜は昔と変わらないこの部屋が嬉しいのか、その尻尾は左右に揺れていた
猫が興奮してたり、興味を示してる時に動くのと同じだ
顔を見るより分かりやすいのが、獣の尻尾と耳なんだよな
「 なぁ、瑠菜。研究施設に行くのは平気か? 」
横たわる彼女に近付き、空いてるスペースに腰を降ろして問い掛ければ彼女はクッションに顔を擦り付け、此方を向くことなく答えた
「 分かんない……。でも、嫌な記憶はないよ……嫌なのは、その後だったのから…… 」
「 そうか、それならいいんだが 」
拾った時の傷や、感情を失った瞳を思い出せば俺に出会う前に何をされたのか検討はつく
敢えてそれをひっくり返す気はないが、今回の事で思い出させてしまったのなら申し訳ないと思う
そっと手を伸ばし、腰から腹へと撫でれば尻尾は手首へと巻き付き、彼女は仰向けへとなった
猫が腹を見せるのによく似ている
下腹に触れれば、服の上からでも分かるような膨らみがあり優しく撫でていれば、彼女は微笑んだ
「 うん、大丈夫。パパもいるし……。この子が生まれたら一緒に育ててくれるって言ったから 」
「 嗚呼、一緒に育てるさ。愛してるよ、瑠菜 」
「 ぅん…… 」
背を曲げ、顔を下げてから額へと口付けを落とせば彼女は目を閉じ受け入れてから、お返しとばかりに頬へと口付けを返した
甘い雰囲気に、ふっと笑い、綺麗な瞳と目が合えば普段のように、カラコンで隠してない、左を蜂蜜色、右が銀色の瞳は俺と目があった
小さい頃はビーズのようなブルーの瞳をしていたが
今は蜂蜜と銀色になっている
猫の中に、オッドアイが存在したように彼女もまたオッドアイなんだ
普段はそれを隠してるが、俺は隠さなくていいと何度いったか
拾った時は白銀の髪色をしていたが、今は染めてミルクティー色になってる
それでも元々色素が白に近いために、ミルクティー色でも薄いんだがな
触り心地のいい髪を撫でて、頬から首筋へとなぞれば、彼女の腕は首へと回る
誘われるままに、鼻先が触れ唇は触れ合った
「 ん……はぁ、ん…… 」
セフレとの関係を止めさせたまま、行為を続けた結果、子供が出来た
愛してると言っても、彼女にはきっと″父性愛″と思ってるだろうな
それでも、他の男の元に行かないのなら俺はそれでよかった
「 ご飯の匂いがする……晩御飯かな 」
「 嗚呼、行こうか 」
昔から、母親よりも相談に乗りやすい父親である、久遠樹
この人とそっくりと言われるほど、俺は父親似であり、父親っ子だった
心臓の手術をしてから仕事を辞め、
主夫になった、親父が常に家にいるのが理由でもあるが
見た目は厳つい顔をしてるのに、口調やら接し方は優しいのが何よりの理由だと思う
おかげで瑠菜も直ぐに懐つき、パパと言う単語を一番最初に覚えたぐらいだ
母さんと俺は多忙で家にいなかったりして、懐かれるのは遅かったが、
その分親父が世話をしていたからだろうな
リビングへと移動し、瑠菜がセフレを作っていた話は伏せたまま、彼女を愛した結果、孕ませてしまったことを伝え、そして一度は検査したい事も伝えれば、親父は渋い表情を見せ
口をへの字に曲げたまま、幾分か考えて深く溜め息を吐いた
滅多に怒ることのない親父が、ブチギレると思っていたのだが、堪えたらしく気を落ち着かせて言葉を告げた
「 獣人の妊娠は異例中の異例だと聞いた。瑠菜の生まれた場所さえ分かれば検査も出来るだろうが……拾ったんだろ?二人とも、心当たりは無いのか 」
敢えて俺だけではなく、瑠菜の方にも問い掛けた事で彼女は自らの腹下を擦りながら考えるように首を傾げた
「 悪いが俺の方はさっぱり。拾った場所も人気のない道路だったからな 」
心当りがあれば、それに関して調べて検討を付けているはずだが全く無いから、頼れる親父の元に来たんだ
「 そうか……瑠菜は? 」
「 私は…ちょっとある 」
「 えっ? 」
小さい頃の記憶は無いと思ってたからこそ、驚いた声を漏らし、視線を向ければ彼女は俯いたまま答えた
「 此処に拾われる前に、金持ちの夫婦の場所にいた…。その前は、真っ白な部屋で…白衣みたいな服を着た人達がいて、私ぐらいの子供もいたんだ……。多分、私はそこで生まれた 」
「 !! 」
瑠菜は自分の生まれを知らないと思っていただから内側の太腿にある数字すら、言わないように、問わないようにしていたのだが、彼女が理解していたと言う事に胸は傷んだ
「 研究所だろうな。それなら日本にある研究所を調べれば早い 」
立ち上がった父親は直ぐに調べる為に、リビングにあるソファーに座り、ノートパソコンを開いて検索をかけていく
目線を下げたままの瑠菜にどんな言葉を投げ掛けていいか分からず、言葉を選んでいた俺に、彼女は先に告げた
「 私、知ってたの……。自分が造られた獣って。だから、パパがそんな顔することないよ 」
「 っ…… 」
20年間、家族として過ごしていた娘が、造られた獣だと自ら告げた言葉の重さに息苦しさを感じた
言わせてしまう日が来たことに、無能な自分を絞め殺してしまいたくなった
不器用に眉を下げて笑った瑠菜を見て、自然とその頭に触れ胸元へと寄せていた
「 ん…… 」
「 そうだとしても。御前は家族であり、俺の最愛の子なんだ 」
獣人だろうと、人間の子供としてだろうとも、どっちでも良かった
掛け替えの無い存在には変わらないと、頭を撫でながら告げれば彼女はゆるく尻尾を揺らした
「 ありがと、パパ……。凄く、嬉しいよ 」
「 嗚呼…… 」
視界に入る尻尾を見ればふっと笑い頭上に口付けを落としていれば、親父は検索結果が出たらしい
「 見付けけたぞ。瑠菜の生まれたと思われる研究施設を…… 」
腕から離れた瑠菜は興味津々に親父の元に行き、その背後に立ち肩に触れ身を乗り出せば、俺は隣へと行き画面へと視線を向けた
「 獣人遺伝子研究? 」
「 嗚呼、主に遺伝子研究をしてるらしいが……獣人を飼っている富豪のSNSを見れば、此処で買った奴が数人いるらしい。金持ちらしいな……獣人の自慢を載せてるから分かりやすい 」
「 嗚呼、SNSな…… 」
富豪のSNSなんて興味なくて調べる思考から、完全に除去されて忘れていたが
こうやって彼等が買った場所を調べれば早いのか、いや…″買った″と言う言い方が気に入らない
「 此処に行けば、赤ちゃん生まれるのかな? 」
「 どうだろうか。取り敢えず行って検査は出来るようだ。ほら、獣人の健康診断受付時間とか書いてあるからな 」
「 なら、行くだけ行ってみるか。余り研究施設とか行きたくないんだが……此ればかりは仕方ないか 」
異例も少なく、人間用でも、ペット用でも検査をしてくれないのなら、獣人専用の場所に行くしか無かった
瑠菜を連れて行くには気が引けるが、仕方無いと諦めるしか無いか
「 ここで生まれた獣人は、診断費は掛からないらしい。まぁ、研究の成果にでもするのだからいらないだろうな 」
「 此処で生まれて無くとも、検査してくれるならそれで良い。少し距離が遠いが午後の最終時間には間に合うか…… 」
「 今から行くのか?ノンストップで走らせるしか無くなる。一日ぐらい休んでいけばいいだろ 」
腕時計へと視線を向け、山を突き抜け片道5時間ほどは使うが問題は無いと納得していれば、親父の言葉に瑠菜は賛成した
「 そう、家から此処まで休憩無しで来たし……私もちょっと休憩したいかな? 」
「 ……瑠菜が言うなら休むか。明日は朝から出発する。親父、世話になる 」
「 ふはっ、構わないさ。帰ってきた母さんも喜ぶだろうな。瑠菜、実家帰りしたんだ。ゆっくり休むといい 」
「 はーい! 」
「 そうだ……母さんにも報告しないとな…… 」
泊まるということはつまり、母親も帰ってくるって事になる
俺に会社の一つを預けてたまま、社長を維持してるあの人に、疲れて帰って来た後に言えばなんて言われるか
瑠菜を連れて帰った日も、笑顔が恐ろしく怖った記憶がある
だが、言わないで逃げてたら良くはないな……
「 そうだぞ。俺達の孫になるかもしれないんだ。瑠菜、ママへの報告は大切だよなー? 」
「 うん、大切だと思う! 」
二人して顔を見合わせてねー!なんて首を傾げてやってるが、怒られるのはこの俺なんだが
いや、無責任な事をしたんだからそのぐらいは当然か……
ある意味、キリキリと胃が傷んだ
「 パパの部屋。変わらないね 」
「 嗚呼、そうだな 」
一晩泊まる場所は、俺が使っていた三階の奥の部屋だ
ベッドに横たわり、匂いを嗅ぐ瑠菜は昔と変わらないこの部屋が嬉しいのか、その尻尾は左右に揺れていた
猫が興奮してたり、興味を示してる時に動くのと同じだ
顔を見るより分かりやすいのが、獣の尻尾と耳なんだよな
「 なぁ、瑠菜。研究施設に行くのは平気か? 」
横たわる彼女に近付き、空いてるスペースに腰を降ろして問い掛ければ彼女はクッションに顔を擦り付け、此方を向くことなく答えた
「 分かんない……。でも、嫌な記憶はないよ……嫌なのは、その後だったのから…… 」
「 そうか、それならいいんだが 」
拾った時の傷や、感情を失った瞳を思い出せば俺に出会う前に何をされたのか検討はつく
敢えてそれをひっくり返す気はないが、今回の事で思い出させてしまったのなら申し訳ないと思う
そっと手を伸ばし、腰から腹へと撫でれば尻尾は手首へと巻き付き、彼女は仰向けへとなった
猫が腹を見せるのによく似ている
下腹に触れれば、服の上からでも分かるような膨らみがあり優しく撫でていれば、彼女は微笑んだ
「 うん、大丈夫。パパもいるし……。この子が生まれたら一緒に育ててくれるって言ったから 」
「 嗚呼、一緒に育てるさ。愛してるよ、瑠菜 」
「 ぅん…… 」
背を曲げ、顔を下げてから額へと口付けを落とせば彼女は目を閉じ受け入れてから、お返しとばかりに頬へと口付けを返した
甘い雰囲気に、ふっと笑い、綺麗な瞳と目が合えば普段のように、カラコンで隠してない、左を蜂蜜色、右が銀色の瞳は俺と目があった
小さい頃はビーズのようなブルーの瞳をしていたが
今は蜂蜜と銀色になっている
猫の中に、オッドアイが存在したように彼女もまたオッドアイなんだ
普段はそれを隠してるが、俺は隠さなくていいと何度いったか
拾った時は白銀の髪色をしていたが、今は染めてミルクティー色になってる
それでも元々色素が白に近いために、ミルクティー色でも薄いんだがな
触り心地のいい髪を撫でて、頬から首筋へとなぞれば、彼女の腕は首へと回る
誘われるままに、鼻先が触れ唇は触れ合った
「 ん……はぁ、ん…… 」
セフレとの関係を止めさせたまま、行為を続けた結果、子供が出来た
愛してると言っても、彼女にはきっと″父性愛″と思ってるだろうな
それでも、他の男の元に行かないのなら俺はそれでよかった
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