小春日和

葉月玖実

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暴走族には縁がある その2

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溝に車のタイヤが脱輪した事があった。

脱輪した直後に、顔見知りの方が心配して声をかけてくれた。


「これは、もう、修理屋さん、呼ぶしかないね」


二人でそう話してると、すぐ横を黒の車高の低い車が通っていった。

と、すぐにバックして真横に止まった。


果たして中から降りてきたのは、ヤンキー風な2人の男の子。


「落としたん?」

「はい」

2人は、私の返事を聞くや否や、私の車の脱輪部分を調べている。

「板入れて、引っ張ったら、上がるんじゃね?」

一人のヤンキーが言う。

もう一人のヤンキーは、うなづく。


電光石火の如く、二人は、一人が板を見つけてくる、一人は車に積んであったロープを持ってくる。


そして、あっという間に、車は、板に乗り、ヤンキーたちの車に引っ張り上げられて無事、道路に戻った。


そして、彼らは風の又三郎のように、あっと言う間に去っていた。

暴走族、優しい。

私はシャコタンの車を見送りながら、つぶやいた。
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