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1話 『1日1回1万円で超能力が買えるサイト』
しおりを挟むさてどうも、苦学生の綾瀬彩斗です。
突然ですが俺はとんでもないサイトを見つけてしまいました。
それがこちら。
『1日1回1万円で超能力が買えるサイト』
こんな意味のわからないサイトを見つけてしまったのです。
時は数日前に遡る。
アルバイトを終え、夜間高校へと向かうまでの間に少しの時間が出来た俺は何の気なしにネットサーフィンを始めた。
これは普段の俺の日課だ。
やや育児放棄をされている俺は学校に通うためには何とか自分でお金を稼いで生活費と学費を賄わなければならない。
だから午前からお昼頃にかけてはバイトをし、少し休んでから夜間高校へ行くと言う日々を過ごしているのだ。
特にやりたい事とかがある訳では無いし、夢へ向かってとかいう高尚な志は持ち合わせていない。
ただただ何となく高校に通った方がいいと言う言葉をそのまま信じて惰性で通っているだけだ。
だから毎日をボーッと過ごしている俺にとって1日数時間のスマホを触る時間は唯一の楽しみと言っても過言では無いだろう。
何せ俺には友達もいなければ趣味といった趣味もない。
そんな現代の若者が辿り着く場所なんてそれぐらいだろう。
俺は今日もいつも通りに自宅のWiFiを使って適当なブログとかをダラダラと見ていた。
そんな時、少し気になるものを見つけた。
「…………何だこれ、真っ黒い広告?」
ブログにある広告っていうと大体ちょっとエッチな女の子とかが出てくるゲームやよく分からない通販の変な広告とかだ。
そのどれもがその商品やサービスのいい所を全面に推して来るようなものばかりで、意味のわからないものは見た事がなかった。
だが、今見た広告はただただ真っ黒い。
たまにあるバグかのようだが、見た感じそんな感じもしない。
…………正直ちょっと気になる。
まぁ、十中八九そんな心理を付いたような広告で中身は他のものと大差ないのだろうけど、それでも気になるものは気になる。
…………まぁ、どうせ別に変な広告だとしても個人情報とかを入力しないようにさえすれば大丈夫だろう。
そんな現代っ子とは思えないほど甘い考えで俺はその広告をタップした。
「…………んー?」
広告を開くと、よく分からない奇妙な音楽が流れるサイトが開かれた。
サイトの全面にはでかでかとこう書かれていた。
超能力、使ってみたくないですか?
俺はその瞬間、そのサイトを閉じようとした。
何だこの胡散臭さ満載の文言は、こんなもん引っかかるやつおらんだろ。
俺は呆れ半分、逆にちょっと面白いなという気持ち半分で、後者が勝ったためもうちょっとだけサイトを見続けた。
しかし、次の文言で胡散臭さが更に増した。
1万円払えば、超能力をプレゼントします!
そして、その下にちっちゃな文字で集まったお金は世界の困った人々の為に使います、と書かれていた。
なんだこりゃ、1万円で超能力?
買えるもんなら買いたいけど、まぁ、明らかに詐欺だろう。
更に下にスクロールしてみると某電子決済アプリのQRコードが貼ってあった。
これに1万円振り込めって事か…………。
電子決済の残高を見てみると、大体1万5000円ほど入っていた。
それとは別に現金が5000円ほどある為、学費や貯金などを抜きにして自由に使えるお金は2万円ほどということになる。
正直なところ詐欺だとは思うが、かなり気になってはいた。
衣食住に困っていない上娯楽という娯楽はスマホで完結している僕はお金を使う所なんてほとんど無いに等しい。
それにあと数日で給料日だ、ここから1万円以上も使う事なんてありえないだろう。
結局は興味に負け、そのQRコードをスキャンし、決済をした。
電子決済アプリのあのなんとも言えない清々しい音が鳴り響き、画面に変化が現れる。
俺は表示された文言をまじまじと眺めた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『恵みの百円』
毎日百円が手に入る
財運を宿し、確実なる利益を、恵みを積み重ねる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…………なんだそりゃ。
1日1回手から百円玉が出てくる……とか?
試しに右手を前に出して百円玉が手から出てくるイメージをして力を込めてみた。
「…………まぁ、んなわけないよな。」
思った通り、手から百円玉が出てくるなんてことは無かった。
俺は溜息をつきながらベットに寝そべる。
…………やっぱり詐欺だったかぁ。
分かっていたのに何故お金を振り込んでしまったのだろうか。
アプリを見てみてもやはり1万円きっかり無くなっている。
この画面を見ると自業自得ではあるものの後悔の念が湧き出てくる。
だって、少しお金が余っていたとしても1万円だ。
俺の約10時間分の給料が一瞬で水の泡になってしまったというのは少し堪える。
だが、さっきも言ったように本当に自業自得なんだ。
こんな詐欺だと分かりきっていたものに入金した俺が悪いんだ。
俺はもう一度溜息をつきながら時計を見る。
…………もうこんな時間か、学校へ行かなくては。
陰鬱な気分を晴らすように頬を1、2回叩き、ストックしてあるエナジードリンクと勉強道具一式を持って学校へと繰り出した。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
それから数日後、待ちに待った給料日だ。
普段そこまでお金を使わない様にはしているが、この日だけは少しご褒美として大好物であるラーメンを食べに行くのだ。
バイトが終わった後、俺はすぐさま通帳アプリを開いた。
「…………ん? 何だこれ。」
通帳アプリを見ていると、何だか表示金額がおかしい。
この銀行口座は給料の入金と学費などの支払いにしか使っていないため、それ以外の出入金があるはずは無い。
しかし、今見てみると何やらいつもと様子が違う。
…………毎日100円ずつの入金があるのだ。
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