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17話 ギャル怖い
しおりを挟むさて、害だっけ?
…………無いわけないでしょう?
時は遡りこの姿で初めて登校した次の日。
少し憂鬱な気分のまま俺は学校に登校した。
昨日よりも少し遅めに登校し、さらに他の人と話さなければいけない時間を削減する。
教室の扉を開けると、いつもよりも僅かに多くの視線を感じる。
いつもならその多くはすぐに他のところを向くのだが、今日は少し違い、いつまで経っても一定数の人間が俺の事を見つめている。
や、やめてくれ、物珍しいのは分かる、俺だって分かる。
だが、ここは放っておいてくれ…………。
そんな俺の気持ちを汲んでくれているのか、俺に対して話しかけたりする人はいない。
…………そう、一人を除いて。
「ふふん、彩斗くん、おはよう」
「…………」
「ちょっとー! 無視は酷くない!?」
「あ、うん、おはよう…………」
根浜紫恵……やはり話しかけてきたか!
昨日あんな別れ方をしたからかなり気まずいが、とりあえずは挨拶を返す事には成功した、進歩だ。
後ろの席という特性上、こいつは恐らくものすごい勢いで話しかけてくるだろう。
そりゃそうだ、ギャルにとってイメチェンをした陰キャなんて玩具でしかないのだ。
しかもこれだけの変貌ぶりだ、興味が湧いて仕方がないのだろう。
しかし、流石ギャルとでも言うべきか、昨日あれだけ派手に逃げられたからか、ちゃんと少しだけ距離をとって俺に話しかけてきておられる。
そう、ギャルは学習する生き物なのだ!
「ねぇ、ねぇってばー!」
「え、あ、何?」
「何って、さっきからずっと話しかけてんじゃん!」
「あ、あぁ、そうなの、ごめんね」
いけないいけない、考え込んでしまって周りが見えていなかった。
「それでさそれでさ! 彩斗くん、昨日のあれ、どうしたの?」
「……昨日の、あれ?」
「だから、髪さ! どうしたの急に? イメチェンって言ってもさ、あそこまで変わったらなんかあるんじゃないかなって」
「い、いや別に……ただの気分というか……」
「ふぅん、気分ねぇ……まあ、悪くはないけどぉ?」
「そ、そう?」
悪くない…………か、今まで俺の評価をしてくれていたのは『ビューティーコンサルタント』さんだけであった。
勿論信頼していない訳では無いのだが、この超能力、なんだか少し偏った思想を持っている気もするので少し不安なのだ。
「……あー、でもさ、勿体ないなー」
「勿体ない……?」
「そうそう。何ていうか、髪型はすっごい可愛いのにメイクとかしてないし、アクセも何も付けてないからさ、彩斗くんはもっと可愛くなれるのに…………! って感じですっごいもどかしいんだよ!」
「………」
確かに言われてみればそうだ、健康に気を使ったりして元の自分を良くしようとする努力はしようとしている、だが、メイクとかアクセとかそういった物には目が向いていなかった。
というか、『ビューティーコンサルタント』さんもそんな提案をしてくれなかったからまず最初からそんなもの頭になかった。
最近は男性もメイクをする時代だし、別におかしいことでは無いはずなのだが、やはり固定概念というものは残ってしまっており、そんな思考になることすらなかった。
「それでさ、今度メイクとか教えてあげるからうちに…………」
「結構です」
「なんでぇ!?」
はい、出ました、ギャル特有の距離感グリッチ。
どうせこれで勘違いさせて後々告白させられて、罵詈雑言を吐かれて振られるんだ! 分かってるんだからな!
とにかく、俺はそんなトラップには引っかからない。
ギャルはこうやって世の弱者男性を食い物にして生きてるんだ、知らんけど。
そうやっていると、やっと真坂先生が教室に入ってくる。
…………よし、今日も生き残ったぞ!
先生が入ってきたらギャルといえど流石に喋るのを辞める、だからこそ先生は俺の天使みたいなものなのだ。
見た目も可愛いし、ほんと最高。
ん? ロリにそんなことを言うのは犯罪臭があるだって?
何言ってるんだ、彼は男でしかも成人している、何がおかしいんだい?
まぁ、真坂音子先生がまさか男だなんて思わないよな、見た目は完全に幼女なんだし。
名前が女性っぽいのは先生の親が中国では男性に子と付けるからそれに倣って付けただけみたいだから本当に女性な訳では無いのだ。
故に俺が先生に対して天使、可愛すぎると言ってもおかしくないのだ。
紫恵は先生が来た事によって喋ることが出来なくなってしまい、悔しそうに前を向く。
…………それにしても紫恵は結構真面目な感じなんだな、ギャルといえば先生に反抗したりする勝手なイメージがある、制服も着崩しては居るけれども校則の範囲内ギリギリを攻めてはいるものの違反はしていない。
多分、いい子なんだよな、この子。
多分話しかけてくれるのだって悪意があって話しかけてる訳でも無いんだと思う。
だけど…………今の俺にはまだ無理だ。
授業が終わり、紫恵が話しかけようとしてくるが、俺は脱兎のごとく逃げ出した。
それから毎日、紫恵は話しかけてくれたが、俺はそれを何となくかわし続けてしまった。
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