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82話 身バレって怖いよね
しおりを挟む次の日、俺は清々しい気持ちで学校に登校していた。
あの後の出来事は語る事はしないが、少なくとも非常に楽しいひと時であったことは間違いない。
「……ねぇ、彩斗くんさ、今日なんかご機嫌だよね、なんかあった?」
「んー? なんでもないぞ~。」
「嘘だ、彩斗くんが喋ってる時~こんな感じで喋ってるの見た事ないんだけど」
「…………メタイな」
「……なんか隠してるでしょ」
会った時から俺の機嫌の良さは命にはバレてしまっていたらしい。
すぐさま疑いをかけられたが、特に何か言うことも出来ないので、何とかはぐらかし続けていた。
ま、これから命も上機嫌になるはずだ、なんせ命に嫌がらせをする人は確実に減るのだから。
「……けど、なんだろ、最近彩斗くん割とずっと機嫌良いよね?」
「そうか?」
……ま、確かに命と出会った頃はもうなんというか擦れた性格をしていた自覚はある。
もう世の中には希望なんてない、いっその事滅んでしまえばいいとか思っていたタイプだと思う。
けど……多分超能力のお陰なんだろうな。
「あ、そうだ、それより……命、最近どうだ?」
「どうって?」
「嫌がらせだよ」
『ドリーマー』の効果が出るのがまだ先だとしてと『言霊の恵み』の効果ならもうそろそろ出てきてもおかしくないと思う。
その効果ははっきりわかっていないけど、毎日毎日ずっと呟き続けている訳だし、きっと少しは効果があるだろう。
俺がその効果を確かめたくて命に探りを入れると、命は少し驚いたような顔をした後、直ぐに俺の事を疑う様に見つめた。
「………彩斗くん、なんかした?」
「ん? ……いや、何もしてないが」
「じゃあなんでそんなこと聞くの?」
「え、いや……最近は俺頼られてない感じがしてさ、嫌がらせされてるのに言ってないとかだったら嫌だなぁと思ってさ」
「ふーん」
く、命なかなかに勘が鋭いな。
俺が色々やっていることがバレたら………特に怒られたりはしないとは思うが、少なくとも無断でやっている訳だし嫌がられるかもしれない。
超能力という人には知られてはいけない力を使っている為おいそれという訳にはいかないから言っていないだけなのだが、それでもこんな質問をしたら何かしてると勘違いされてもおかしくないだろう。
俺が平然を装っていると、命もさすがに違うと思ったのかいつもの顔に戻った。
「………最近は少し減ってきてるかな、動画を削除した時は凄かったけど、やっぱりもう炎上も鎮火してきてるんだろうね、あんまり変な人から嫌がらせされることも無くなったよ」
「それは良かった」
「まぁ、彩斗くんがずっと一緒に居るからか現実では一切嫌がらせされてないし……その、ありがとう」
「あぁ、役に立てていたのなら良かった」
命の言い方的に劇的に何かが変わったという訳ではなさそうだが、それでも多少は良くなっているようだ。
満足感に包まれながらも俺はそのまま学校に行き、その日も何となく授業を受ける事にした。
今日も帰って寝る時には『ドリーマー』を使ってあいつらに報復を加えることが楽しみだったので、授業中はずっとそれを考えてしまい少し上の空になってしまっていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
学校が終わり、命を家に送り届けてから俺もさっさと帰ろうと思っていた頃、命と志恵が俺の席の方へ近付いてきた。
「あぁ、ふたりとも、どうした……」
「「ねぇ、これってどういうこと?」」
2人は揃って俺に向けてスマホの画面を見せてくる。
そこに映っているのは………俺だった。
いやいや、なんで二人共俺の画像を見せてるんだ?
というかこんな写真いつ撮って……。
あ、まさか…………。
俺はその写真に少し見覚えがあった。
背景は俺の家の中でもできるだけ場所が特定されないような無地の壁の場所で、そこに置いてあるシンプルな家具には見覚えがある。
うん、これはどう見ても俺の家だ。
そして、この画面…………。
「えっと、その、配信始めてみましたー的な?」
「そんなんで納得出来るわけ無いじゃん」
「そ、そうだよ、こんな事になってるなんてことにも驚いたけど…………」
命と紫恵は2人して俺の事を囲む。
「彩斗くん……私の為に色々やってくれてるのは分かってたけど…………彩斗くんが危ない目に会うのはいやって言ったよね?」
「…………」
「………とにかく、2人とも、言ったん違うところに行こっか………私も色々聞きたいし」
紫恵は寂しそうにそう言った。
ま、紫恵には何も言ってなかったからな、俺の動画を見たということは命が炎上してしまっていた事も知ってしまったのだろう。
俺たちは少し仲良くしていたし、こんな大事な事を相談してくれなかったことが少し悲しいのだろう。
………そこまで巻き込んでしまっていい仲かと言われれば微妙だが、こうなってしまえばもう仕方が無いだろう。
だが、命はそうは思わなかったらしい。
「…………いい、根浜さんは先帰ってて、私達は私の家で2人で話すから」
「っ!?」
命は紫恵にそう冷たく言い放った。
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