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94話 対策
しおりを挟むその日の夜は流石に眠かったので寝る事にした。
人間は普通に考えて寝なくては生きていけないのだ、1日ぐらい寝なくてもそこまで弊害は無いが、ステータスを確認してみると、スタミナと集中力のステータスがまぁまぁ減っていたので、オールが体に及ぼす影響はかなりあるという事なのだろう。
まぁ、寝ることは出来る訳だし、出来ることはある。
昨日はやっていなかったが、今夜は奴らへの報復ができるだろう。
前回はよくわからんやつに邪魔されてしまったし、十分な効果を発揮することは出来無かった。
しかし、今日はその邪魔も入らないはずだ。
前回邪魔してきたナイトシティーとかいう奴はもう捕まっているが故に今日は邪魔されることは無いだろう。
そう思いながら俺達は眠りにつこうとする………が、そこでふとひとつの事を思い出す。
この前襲撃された時、俺達が怖がっていたのはドアの方から来る男だけでは無かった。
そう、窓の方も警戒していたのだ。
窓は石などを投げられてしまえば割と簡単に割れてしまう。
いい窓を使っているのなら話は別だと思うが、命の家の窓は割と薄そうな窓が使われている。
それでも少しは防寒のために二重窓にはなっているが、それでも投石を防ぐことが出来るほど強いようには見えない。
そこで俺は命にある提案をすることにした。
「なぁ、また誰かが襲ってきた時用に窓になんか挟んでおかないか? 石でも投げられたら怖いだろ」
「え、けどこの前の人はもう捕まったし、警察の人も巡回してくれてるじゃん、もういいんじゃないの…………?」
命は不思議そうに聞く。
確かにそうだが……何となく不安になってしまったのだ。
寝る前に何か不安になってしまえば寝ようとする間、あの誰とも喋らず自分だけの世界になるあの間にはそういった事を考えてしまうだろう。
だから、こういう場合には早急に解決すべきなのだ。
「まぁまぁ、警戒する事に越したことはないだろ? 2人に怪我されたくないんだよ俺は」
「…………そっか、分かったよ」
命は少し嬉しそうにニコリと笑い、物置の方へと向かった。
「これ、使えないかな? 夏の間に使ってるブランケットとか……あと、ちょっとしたぬいぐるみとかあるんだけど」
「あー、いいんじゃないか? いい感じのクッションになってくれると思う」
ちょうど二重窓になっている訳だし、そこにこういった柔らかいものを詰めておけば1枚目は割れたとしても2枚目の方にいかない可能性がある。
1枚目が割れた音がすれば恐らく3人のうちの誰か1人ぐらいは起きるだろうし、そうすれば何とか逃げられると思う。
命が持ってきたブランケットやぬいぐるみを受け取ると、俺は窓の内側に丁寧に詰め込んでいった。
手触りの良いフリース地のブランケットは、窓にぴったりと沿ってくれて、少しでも俺たちを守る壁になってくれそうだった。
ぬいぐるみはその隙間を埋める形で挟み込む。
可愛らしい見た目と裏腹に、俺たちを護るラインを担ってもらうことになのだ、なんだか少し頼もしく見えてきた。
「これで、少しはマシになったかな……?」
命呟くと、俺は隣でこくりと頷いた。
「うん、すごくいいと思う。なんか、ちょっと安心したよ」
少しだけ肩の力が抜けた。
1度不安に思ってしまった以上、流石に少し俺も怖がっていたみたいだ。
「さて、じゃあ寝ようか」
そう呟き、俺は部屋の電気を消す……すると、布団の方から眩い光が見えた。
それは電気が消えた瞬間にすぐ消えたようだったが、俺はそれを見逃さなかった。
布団をガバッと取り、中に居るものを確認すると、そこには目を閉じて微動だにしない紫恵が居た。
「すやぁー、すやぁー…………」
「おい、そんな寝息立てて寝るやつ居ないだろ……いや、居たとしても紫恵はそんな感じで寝てないだろ」
「う、た、確かに……!」
俺が指摘すると、紫恵は目をぱっちりと開けた。
「あ、いや、ま、お、おやすみ!」
紫恵は布団をガバッと被ってもう一度寝ようとする。
が、俺は何か隠していると思い、もう一度その布団を剥がす。
「……何やってんだお前?」
布団を剥がすと、そこにはスマホを横に持って何かをしている紫恵が居た。
「い、いや、な、何もしてないよ?」
「……じゃあそのスマホ見せてみろよ」
俺は紫恵からスマホを奪い取る。
「これは……幻星?」
そこに映っていたのは紛れもない、幻星のゲーム画面だ。
「おま……子供じゃないんだから、寝るって時には辞めろよ……」
「だって……夜コソ練して明日になって2人を驚かせたかったんだもん……」
「だからって、体に悪いだろ? ……ほら、今日はもう寝るぞ」
別に強制的に辞めさせるつもりは無いが、少なくとも体には悪い、紫恵の為にも辞めさせた方がいいだろう。
そう思い俺はその行動に出たのだが、横にいた命は俺をジト目で見つめた。
「…………彩斗くんだって昨日エッチなサイトを………」
「あーっ! うるさーいっ! 見てないもんは見てないんだって! も、もう寝るぞ!」
命が余計な事を言う前に俺は横になり目を閉じた。
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