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14話 サウナ
しおりを挟む目が覚めると僕はまだルカの膝の上に頭を乗っけていた。
僕は慌てて起き上がる。
「ご、ごめん、ずっと頭乗っけてて、足痛くなってない?」
「うん、なんもだよ。それより、もう体調は大丈夫なの?」
「あぁ、うん、今はもう全快だよ!」
「ならよかったよ。」
ルカにはつくづく迷惑を掛けてばかりだ。
「あ、メグ起きてるぞ!」
「おー、大丈夫だったー?」
僕が起きて間もなくサナとアニが駆け寄ってきてくれた。
「うん、大丈夫だよ、心配かけてごめんね。」
「全然大丈夫だぞ! それよりも、少し目を使うのにも慣れてきたんじゃないか!?」
「前よりも使えてる時間伸びたよねー。」
「ほんと!?」
使っている僕はそこまで気にしていなかったけど、2人が言うのならそうだろう。
今は範囲を狭めてやっと少し使えるくらいだけど、今後はもっと使えるようになりたい。
その為にもしっかりと練習をしなくては。
「メグも起きた事だし、もうそろそろ行くかー?」
「そうだねー。」
「あっ、ちょっと待って。」
僕はルカにさっき見たあの不思議なもののことを話そうと思った。
しかし、何故か言葉にならない。
「…………いや、なんでも無いよ。」
みんな不思議そうな様子で僕に聞き返していたが、僕は何も喋らなかった。
「それで、次の目的地は何処なの?」
「ふっふー、実はすぐそこに何個も温泉があるから、そこを巡っていこうと思ってるんだー。」
「そうなの!?」
これからまた前回と同じぐらい時間がかかるのも覚悟していたから、その知らせに僕は歓喜した。
「おかみさんが居るところだとしても、お金はまだ残ってるから大丈夫だから、今度はサクサク行けると思うよ!」
「やったー! また何回も温泉に入れるなんて夢みたい!」
これからどんな温泉に入れるのか、楽しみで仕方がない。
やっぱり僕は相当温泉が好きみたいだ。
「よぉし、じゃあ次の温泉に、出発進行ー!」
アニの元気の良い掛け声と共に僕達はまた出発した。
―――――――――――――
それから僕達はここら辺周辺の温泉を片っ端からまわりまくった。
ここら辺の温泉は似た様な感じの温泉が多く、ほぼ全部の温泉が特有の刺激臭を放っていた。
そして、驚いたのがおかみさんが居る温泉では室内の温泉があって、そこでは色んな種類の温泉が楽しめた。
しゅわしゅわと泡が吹き出している温泉や、何だか入るとビリビリする温泉など、思ってもみなかった温泉が沢山あった。
しかし、そんな中でも1番僕が驚いたものがあった。
何やら温泉とは違うけれど凄く気持ちが良くて、整うらしい。
僕はその時の様子を思い出す…………。
ここら辺の温泉の数が残り数個になった時、それは突然現れた。
僕はみんなと一緒にドキドキしながらそれの前に立った。
ルカが近くにあったこのものの解説を読んでくれて、興味を持った僕達はその特異な見た目をしたもの、サウナとやらに入ってみることにしたのだ。
「…………じゃあ、開けるよ。」
アニがそっとそのものの扉を開いた。
その瞬間、恐ろしいまでの熱気が吹き荒れた。
まるで温泉のお湯がそのまま風となっているようなその熱気は僕達を一旦そこから逃げ出させるには十分なものだった。
「ちょ、ルカ!? 何あれ、し、死んじゃうよあんなのに入ったら!」
「う、うぅん、すごい熱いとは書いてあるんだけど、ここまでとは思わなかったんだよ…………。」
ルカはがっくりとしてしまった。
僕は慌ててフォローを入れる。
「あっ、えっと、けどさ、あんな解説があるくらいだから入れた人は居るってことでしょ!? だからさ、あの暑さに耐えられる人ならあの解説通り気持ちよかったんだよ!」
僕はそうフォローを入れたが、そうやって言っているうちに、サウナに入って気持ちよかった人が居るという事実に気付く。
つまりだ、どうにかしてあの暑さに耐え抜けば後は極上のひと時を過ごせるという事だ。
「…………ごくり。」
「…………え、メグ!?」
僕は無意識にサウナへと手が伸びていっていた。
温泉好きとしてその気持ちよさを味わえないというのは耐え難い苦しみだ。
たとえあの暑さに耐え抜いた先に極上の気持ちよさが待っていなかったとしても、それがあったかもしれないという気持ちは今後ずっと僕の心の中にしこりとして残り続けてしまうはずだ。
「僕は……僕は行くよ…………!」
「む、無茶だよ、私はメグをそんな危険なところに送ることなんか出来ない!」
「くっ、とめないでくれ! 僕はもう行くって決めたんだ!」
「ん? なんか二人共顔のタッチが変わってないか?」
「やらせといてあげなよー、二人の世界を邪魔するのは野暮だからねー。」
「むー???」
僕はルカの手を振り払って(片手だけ)サウナへと歩みを進める。
「メグー!!」
ルカが叫ぶがお構い無しに僕は進んだ。
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