桜咲く社で

鳳仙花。

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第三章

第三十四話 御霊の宝果




 「わーーい、お邪魔しまーす!」
元気な声が屋敷の居間に響く。きらびやかな装飾品を見て蒼溟は「おお~凝ってるねぇ」と声を漏らした。
 ここは黎明家の本邸。その部屋の一角に通されていた。蒼溟と雀梅の神二人と、神来社家から派遣されていた伊吹、そして薫子と史もその場に同席している。この屋敷の主である宵赫よいかくとその息子二人も居るので中々に重苦しい空気になる筈なのだが、神二人がかなり楽観的なこともあってかそこまで空気は苦しくない。
「久しぶりに陸の部屋に入ったよ!いいねぇ畳って!」
畳を手でなぞって顔を緩ませる蒼溟に「こうするともっと気持ちい」と雀梅がその場に仰向けで寝そべった。
「おお…それは確かにいいねぇ。昼寝がしやすい。海中で寝ると潮に流されちゃってさぁ、起きたら別の場所にいる事も多いんだよねぇ」
(……これはまた十六夜様や夢幻八華様と違う種類のクソガキかもしれない)
素直ゆえに幾分かマシではあるがこの緊張感の無さは慣れ親しんだものを感じる。いつも通りなのか宵赫はきらびやかな扇子を仰ぎながら何も言わない。
(いいんだ…あれで…)
薫子的に流石にあれは不味いのではと思っていたが、宵赫が何も言わないならば気にしないほうがいいのかもしれない。
 「それで、蒼溟様。お話というのは」
見兼ねた雪丸が声を掛けた。寝そべっていた蒼溟は顔を上げる。
「その話するんだった。ごめんごめん」
よいしょと胡座をかいて座布団に座ると、薫子を見た。
「君、御霊みたま宝果ほうかを体内に取り込んだね」
「………え?」
(御霊の、宝果?どっかで聞いたことあるような…)
記憶を遡っていると伊吹が口を開く。
「御霊の宝果、別名神殺しの実」
ハッとして伊吹を見ると彼も神妙な顔で薫子を見ていた。
「そうだね。ただ毒は浄化されてるみたいだからひとまず御霊の宝果としよう」
物知りだねぇ伊吹、と褒めつつ蒼溟は話を続ける。
「御霊の宝果が何故そう呼ばれているのか。それはね、これを取り込んだ後の効力に理由がある。御霊の宝果を取り込んだ人間は、神にとってもあやかしにとっても、そして今回みたいな悪霊たちにとっても素敵な素敵な活力剤となるんだ」
(……なんだって?)
薫子が固まっているのを見て蒼溟は「うーんと」と天井を仰いだ。
「つまり、御霊の宝果を取り込んだ君は、力を手に入れたい神やあやかし、霊魂から見て最高の餌ってことだね」
(餌、私が…)
その言葉を聞いた全員が表情を硬くする。
「幸い君には茜鶴覇や他の神やあやかしの加護が付いてるみたいだから一対一ならまず取り込まれはしないだろうけど、今日みたいに多数相手だと厳しいね」
淡々と明るくも暗くもない声音こわねで説明し続ける蒼溟。月船は少し考えた後に質問した。
「御霊の宝果の効力に、近くの者の神力を強化する能力はありますか?」
その質問に蒼溟は頷いた。
「ある、と思う。正直神殺しの毒を浄化した例は非常に少ない。薫子を含めて二人しかいないからね、正確にはわからない」
「初耳ですね……。神殺しの毒の浄化が成功した例があるのですか?」
それまで黙っていた宵赫が扇子を閉じて問いかける。確かにそれは初耳だった。
「ある。とはいえ一万年以上も前の事だよ。どういった経緯で浄化できたかもわからない。そもそも世界の邪気を栄養として育つ性質だから、今と昔ではその濃さや効力は違うと思う。何か偶然が重なり合ったか、毒素が致命的なモノじゃなかったっていう可能性は全然あり得る」
 一万年前と今で環境や邪気の濃度が違うのはありえない話ではない。植物や動物すらも昔と今では形も生態も違う種類が殆どだろう。そうだとしたらあまり参考にはならないかもしれない。
 「後ね、そこまで古いと記録も勿論ないし、その御霊の宝果を取り込んだ人間は一刻と待たずあやかしに八つ裂きにされ、喰われたと言われている」
(八つ裂きに…)
あまりにもサラリという蒼溟。言い放った言葉が理解できた頃には、薫子は冷や汗が止まらなかった。
「そして、その肉を食った鬼の末裔が懴禍だね。よくも悪くも、力は遺伝するらしい」
蒼溟はそこまでいうと座布団から立ち上がる。
「僕が知ってるのここまでなんだ。海の中の情報って滅っ茶苦茶でさ。世界のゴミ溜めみたいなもんだから何でも分かる反面詳しい事は分からないんだよ」
ごめんねー、と間延びするような謝罪を入れて居間を出ようとするので慌てて薫子は声をかけた。
「あの、私はどうしたら…」
「ん~…茜鶴覇に恩もあるし、わかってたら全然教えてあげたし協力もしたんだけど、僕も御霊の宝果を取り込んだ人間見るの始めてなんだよね。もはや誰かのおとぎ話だと思ってたし…」
そこまでいうと蒼溟は腕を組んで悩ましげに首をかしげる。パッと水玉がどこからともなく現れ、彼の周囲を漂い揺らめいた。そのまま何かを考えるようにじっとしていたが、首を振って残念そうに口を開く。
「……うん、海の情報を再度調べ直して見たけど、やっぱり何も分かんないな。とはいえひとつ言えるのは、君絶対ひとりで出歩かない方が良いね。じゃなきゃ食われるよ」
蒼溟は先ほどまでのにこやかな表情ではなく、真剣な顔つきでそういい切った。蒼く深い瞳が薫子を真っすぐに見つめて。


 「ふむ…」
十六夜は史から話を聞き終えてから表情を暗くする。居間には他に茜鶴覇と圓月、風牙、蛇歌の四人も居た。他の者たちは今出払っており今居るのは彼らだけらしい。
「じゃあ薫子は暫く一人じゃ外に出せねぇってことか」
「だろうな。もしくは護衛を着けるしかあるまい」
圓月と風牙がそういうと、蛇歌も賛成なのか軽く頷いた。
「式神を着けるってのも案ではあるけどね。ただ護衛できる式神も向き不向きがある」
蛇歌は首に巻き付いた水蛇の顎を撫でる。十六夜もそれには同感らしく「そうじゃな」と考え込んだ。
 「……御霊の宝果について、我ら守護神を含め詳しく知る者は居ない。海神わだつみの知識でその程度しか判明していないということは、天界で調べたところでそれ以上出ては来ぬ」
茜鶴覇は十六夜を一瞥してそう言う。
「しかし茜鶴覇。このままではまた面倒事が起きるやもしれん。今この国の治安はどうなってもおかしくはない。巻き込まれる可能性は大きい」
「つっても解決方法が分かんねぇ以上、ずっと守ってくしかないだろこれは」
腕を組んで悩んでいた圓月が意見すると十六夜は渋い顔をした。
「だが、これから先隙が一瞬たりともないとは言えぬ。どれだけ気を張っていてももしもは起こり得る。わしらは地獄の番兵に一度薫子を連れ去られておるんじゃ。絶対などあり得ぬよ」
「そりゃそうだが…」
十六夜の言う事にも一理あるのか圓月は押し黙る。あの時の光景が脳裏から離れないのか、十六夜と蛇歌は少しだけ悔しそうな表情を滲ませた。
(なんだか一難去ってまた一難ってかんじだ)
頭の痛い問題は次から次へと来る。やっと平和が訪れると思いきや、再びどん底である。
 皆が考え事をするべく黙り込んだ時。なんの前触れもなく縁側の障子がカタカタと揺れる。
(風?)
薫子が障子を見ていると、突然スパンと高い音を鳴らして全開になった。全員が何事かとそちらを振り向くと、黄金の巨大な鳥が庭に降り立つ所が見える。
 美しい光と共に地上に舞い降りた鳥を見て、茜鶴覇と十六夜は何かを察して急激に面倒くさそうななんとも言えぬ表情を浮かべた。
 鳥は光度を増していき、あまりの眩しさに思わず薫子は目を瞑った。
 光が落ち着きそっと目を開けると、そこには鳥ではなく美しい女が立っている。
(あれ、あの人は)
薫子は思わず唖然としてしまった。庭に立っていたのは、先日天界で顔を合わせた天照大御神その人である。
「な、なんでこんなとこに」
圓月は口をあんぐりと開けて呆然と呟いた。薫子も同感である。
 「何用だ」
茜鶴覇が立ち上がって縁側までいくと、天照大御神はふわりと宙に浮いて縁側までやって来た。まさに天女。その美しいひとつひとつの所作には上に立つものの品格が垣間見える。
「随分な挨拶だな、茜鶴覇。我はそなたらにわざわざ助言しに来てやったというのに」
「……」
茜鶴覇は少し目を見開いた。
 天照大御神は縁側に座ると薫子を見る。
「ふむ、なるほど。想像していたよりも御霊の宝果がよく身体に馴染んでいるな」
そう呟いた天照大御神に十六夜が問いかけた。
「薫子から御霊の宝果を剥離する、もしくはこの効力を消す方法はないか」
「逆に問うが、そんな都合のいいモノだと本気で思っているのか?」
「知らん。わしは御霊の宝果について殆ど知見がない。じゃから聞いておる」
「知欲の神といわれたあの麒麟神が聞いて呆れるな」
肩を竦めてからかう様に笑うと、天照大御神は目を細めた。
「結論から言う。無い」
そう言い切った天照大御神に十六夜は「そうか」と暗い声音で答える。
「剥離させる方法はない。が、別の方法なら考えつかんわけでもない。それを教えに来た」
天照大御神は薫子の方を向いて真っすぐに見つめた。
 十六夜は首をかしげる。
「別の方法?」
「そなたらも、御霊の宝果が活力剤になることを知っておるだろう。故に神やあやかし、時には怨霊に狙われる」
天照大御神はそう言うと、薫子から茜鶴覇に視線を流して続けた。
「……特に最も警戒すべきなのは怨霊だろうな。知能が無い分、より獰猛で数を相手にするのは厄介そのものだ。普段は渡し人が霊魂を管理してはいるが、怨霊となったモノは放置される。そして力を欲する怨霊あやつらは、神やあやかしには敵わずとも生身の人間を襲撃するくらい容易いはずだ」
「あやかしも神も、茜鶴覇の気配がする人間に無策で手は出さねぇ。仕掛けてくる時はかならず何か厄介事を引っ掛けてくるもんだ。だが怨霊はそういう悪巧みをする脳みそがねぇ。餌を前にした獣と同じってわけだ。これが有利に働くときもあれば、恐怖や怯みがない分地獄の番兵と同じで数になれば相当面倒くさい」
圓月も怨霊に何か思うことがあるのか怠そうに付け加えた。怨霊は負の力に含まれるはずなので、圓月としても放置するわけにはいかないのかもしれない。
(確か前回の人の死因はあやかしに食われたんだっけ)
蒼溟に聞いたことを思い出して薫子はきゅっと口を結ぶ。怨霊に取り込まれるのも、あやかしに喰われるのも御免である。
 「解決方法は子を成すことだ。それも早急に」
「……」
(子?)
薫子は目を見開いて何も言えずに固まってしまった。天照大御神は茜鶴覇を見上げる。
「どうせそなたらは夫婦めおとになるのだろう。ならば大して問題なかろう」
「……まず何故子をすぐ成さねばならぬか説明せよ」
茜鶴覇がそう問いかけると天照大御神は説明を始めた。
 彼女の言い分はこうだ。
まず子を成すと母体に宿った御霊の宝果の恩恵だけを受け継がせることができるらしい。その結果、力の強い子供が産まれ、御霊の宝果も薫子の身体から完全に消え去り、全てが一度綺麗に完結するという。
 「そう上手く行くものなのですか?」
風牙が不安そうに訊ねると、天照大御神は「さあな」とだけ答えた。
「なにせ前例は無い。前の人間は男だったからな。御霊の宝果も身体に馴染まず、研究する前に食われてしまい、殆ど何もわかってはおらん」
「神同士ならともかく、人間と神って…それ薫子は大丈夫なのか?」
圓月は眉間にしわを寄せる。ただでさえ人間の子を成すのも命がけだ。何が起こるかもわからない。
「だから分からぬと言っておろう。そなたらもう少し捻った質問をせい」
うざったそうに突っぱねたが、天照大御神としても考えがあるのだろう。ひとつため息をいた後、薫子を再び見つめた。
「とはいえ、試すなら我が定期的に見に来てやろう。我らが提案した事だ、その辺りの助力を惜しむつもりはない」
「………」
薫子はふと自分の手元へ視線を落とす。突然の提案に驚きはしたものの嫌な気持ちはない。だが、圓月の言う通り無事で済むという確証はない。
「無理に試さずとも良い。そなたの気持ちが一番大事であろう。腹を痛めるのは女だからな」
天照大御神は優しい声音で続ける。
「……ただ、我と月読尊はこれ以外の方法が思いつかん故、これ以上の助言はできん」
そう言い切るとスッと縁側から立ち上がって宙に浮いた。その優雅さたるや。まるで水中を泳ぐ人魚のようだ。
 「ひとまず薫子、これをそなたにやろう」
ふわりと薫子の手元に舞い降りてきたのは、優しい橙色をした美しい羽だった。
「暫くは下級霊魂やあやかしから守ってくれるだろう。身につけていろ。ただしそう長くは持たぬ。それまでに心を決めたほうが良いだろう」
「…天照大御神」
茜鶴覇は彼女を呼び止めると、何か言いたげにして視線を落とす。
「そなたの気持ちは分からなくはない。不安に思う気持ちも理解している。ただ、今はこの程度だが、今後薫子を狙って数多あまたの者が動き始めるだろう。力を手にする為の単純な目的だけではない。天界の研究者どもに研究対象として狙われる可能性すらある」
(研究…)
情景を想像した薫子の背に冷たい汗が伝う。それはそうだ。未だ判明していない毒、その向こうにある妙薬としての効果。そんな摩訶不思議なものを研究対象にせずなんとするのか。
「無論、我も月読尊もそうならぬように目を光らせているし、許すつもりも無いが…万が一もあり得る。それだけ薫子の中にある御霊の宝果は重大な物だ」
天照大御神は不安そうな顔色を浮かべる薫子を横目に見ると瞼を伏せる。
「……決断は早くするに越したことはないが、無理強いもできぬ。何度も言うが、子を産むのは茜鶴覇そなたでは無く薫子だ。薫子の意思を尊重せよ」
天照大御神はそれだけ言うと指をすい、と動かして光の鳥居を出す。
「……ああ、念の為に言うが。もしこの提案を断ったとしても、そなたには手を貸そう。紛いなりにも茜鶴覇は我らの子。救ってくれたそなたには個人的に恩がある」
薫子にそれだけ伝えると、天照大御神は光の鳥居を潜って立ち去ってしまった。
 静まる部屋に春風がそよそよと流れる。桜の香りが薄っすらと漂った。

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