桜咲く社で

鳳仙花。

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第二章

第十九話 桜花と薫子

 


 「……」
グツグツと沸騰し、蒸気が吹き出る土瓶を見下ろしながら、薫子は先程聞いた話を思い返す。
 皆が優しくしていたのも、地獄まで来てくれたのも、全て桜花のおかげ。そう聞いて納得する反面、複雑だった。
(私を受け入れてくれたのだと、思い上がっていた)
もし自分が桜花の生まれ変わりでなかったとしたら、きっと皆ここまで良くしてくれていなかったのかもしれない。それどころか、茜鶴覇は社に滞在することを許さなかったかもしれない。そう思うと、とても虚しく思えてきてしまう。
(自分がとても恥ずかしい)
薫子はギュッと着物を握りしめ、下唇を噛み締めた。
 「蒸気で火傷をする」
急に後ろから腕が伸び、薫子の後頭部に何者かの胸板が当たる。シュウシュウと蒸気の上がる土瓶が鍋敷き代わりの板に降ろされた。
「!」
見上げると純白の髪がサラサラと流れ、女神のような顔が薫子を見下ろしている。
「あ、かね鶴覇様」
「………」
薫子は気まずさもあり、すぐに俯いた。茜鶴覇は土瓶から手を離すと、スッと身を引く。
「……か、会議はよろしいのですか」
「先程一刻ほどの休息を取るようにと伝えてきた。問題ない」
茜鶴覇はそういうと目を合わせぬ薫子を見て、手を差し出した。
「薫子、手を」
「………」
薫子は断る訳にもいかず、素直に手を重ねる。茜鶴覇は自身の手のひらよりも一回り小さい薫子の手を優しく握り、勝手口から出て歩き出した。歩幅を薫子に合わせ、ゆっくりと歩くその背中に薫子は首を傾げる。
 歩いている間会話は無く、ただ足音だけが二人の間に鳴っていた。気まずい空気が流れる中、茜鶴覇は薫子の手を引き続ける。サラサラと揺れる髪が時折風にさらわれてっていた。
 少し歩き、ようやく足を止めたのは巨大な桜の根本。茜鶴覇はその巨大樹を見上げ、目を閉じる。温かい風が通り抜け、薫子の黒髪をゆらゆらと揺らした。
 「……ひとつ、聞いてもよろしいでしょうか」
「なんだ」
茜鶴覇は目を閉じたまま答える。薫子は唾を飲み込んで静かに訊ねた。
「…茜鶴覇様は、桜花様を愛しているのですか」
その瞬間、ザワザワという桜の揺れる音が遠くに聞こえる。永遠にも感じる無言の間に、薫子は茜鶴覇と繋がれた手を震わせた。
 「……愛していた」
そう静かに答える茜鶴覇の声が、薫子の耳に通る。何故だか分からない胸の痛みに、薫子は視線を足元へ下げる。
「そう……ですか」
中途半端な返事を返す薫子。茜鶴覇はスッと目を開いた。
「あの時、私が桜花に抱いていた愛情は嘘ではない。……十六夜や圓月達も、彼女に深い敬愛を抱いていただろう」
薫子は口を一文字に結ぶ。何故かは分からない。だがこれ以上聞いていたくなかった。
「茜鶴覇様――…」
「……だがそれは全て、四千年前の話」
茜鶴覇はそう言うと、握っていた薫子の手をぐっと引き寄せる。急な事に薫子はなんの抵抗もなく茜鶴覇の腕に収まる。
「良いか、薫子。お前にいくつか伝えておかねばならぬ事がある」
驚いて見上げると、鼻先が触れ合いそうな程近くに美しいかんばせがあった。
「まず一つ、私達は桜花の魂だからといって特別扱いをする程暇ではない。お前がもし特別な扱いだと感じ、それを桜花の力だと思っているのなら、それは大きな間違いだ」
茜鶴覇はそういうと、薫子の頬にそっと手を添えて親指で撫でる。
「今私達がお前を大切に想い、側に置いているのは、お前自身が引き寄せたえにしであり運命だ。桜花の力等ではない」
「……」
薫子は目を見開き、真っすぐで宝石のように美しい唐紅の瞳を見つめた。
「ニつ、お前が桜花の魂を引き継いだ人間だと分かった時、私はお前をここに長く滞在させるつもりは無かった」
「……え、でも、私は今…」
瞬きをしながら口を開く。
「……お前は私を神としてでも、遠い何者かでもなく、ただ真っ直ぐにを見てくれていた。ならばこちらも、お前を桜花の生まれ変わりとして見るのではなく、薫子として見るべきだと思ったのだ」
「薫子として…」
「……だからお前が帰ってくると断言したあの日、私はその決意を承諾した」
茜鶴覇がそういうと、薫子は身を反らせて彼の顔を真っ直ぐ見た。
「では、皆様が地獄まで来てくださったのは…」
薫子の目を真正面から見つめた茜鶴覇は、ゆっくりと語る。
「………一時いっとき、私を含めた全員がお前と桜花を重ねて見ていた。それは否定できぬ。無論、するつもりも無い。だがしかし、今回助けに向かった者は皆、お前の身を案じたが故に、地獄へと向かったのだ。誰も桜花の事など頭の片隅にも無かった。……少なくとも、私はそうだ」 
薫子の頭に乗った桜の花弁を取り、茜鶴覇は口を開く。
「お前が連れ去られたと知ったとき、心臓が冷たくなるのを感じた。桜花を失った時と同じように。……そして、形容し難いいきどおりと焦りの中、地獄でお前を見つけたのだ」
茜鶴覇はそういうと身をスッと引き、その場に片膝を着いた。薫子は目を見開いて慌てる。
「な、何を……!」
そんな彼女を他所に、茜鶴覇は薫子の左手を取った。
「……薫子。私に今一度、機会をくれまいか。お前に降りかかる邪悪や力のその一切を、我が手で払いのけると誓う。………私と共に、ここで生きてほしい」
突然の告白に、硬直する薫子。そしてなんとか声を押し出した。
「な……ぜ、私なのですか。私はなんのお役にも立てません。ただの非力な人間です。桜花様のように神力も、人を癒やす力も持ち合わせてはいません。それなのにどうして…」
目を見開いたままそう言うと、茜鶴覇は薫子を見上げる体制で口をそっと開く。その瞳は遠い誰かを想っている目ではなく、薫子しか写っていなかった。
「……私は、お前という人間に心を惹かれている。これ以上の理由は、私の中に存在しない」
真っ直ぐすぎるその言葉を聞いて、薫子は頬を林檎のように火照らせる。
「え…あ、えっと…」
「……?」 
考えもしなかった展開に、薫子が動揺していると、伝わっていないと勘違いした茜鶴覇は眉を潜めた。
「それは、仲間という意味で…では無いですよね」
「私はお前の心も身体も、全てが欲しいと言っている」
「かっ…身体…」
更に赤くなる顔を見て、茜鶴覇は薫子の頬に手を伸ばす。指先が頬に掛かり、紅色に染まった肌を茜鶴覇の指の腹が滑った。
「薫子、熱が上がっている」
(貴男のせいだよ!!)
心の中で、叫ぶように突っ込みを入れつつ薫子は頬に触れた茜鶴覇の手を握って下げた。
「…そ、その。お返事は…」
焦ってどもる薫子を見て、少し微笑み立ち上がる茜鶴覇。
「ゆっくりでよい。お前の流れに全て任せる。その間、私が一方的にお前を守るだけだ」
「……ありがとうございます」
息を吸うようにツラツラと出てくる言葉に、薫子は感謝の言葉だけなんとか絞り出す。
 茜鶴覇は薫子の側から離れると、桜の大樹に近づいて手を付けた。
 「………最後にひとつ、桜花の考えについて伝えておきたい事がある。あくまで私と十六夜の推測でしか無いが、大体は合っている筈だ」
静かにそう語る茜鶴覇を見て、薫子は少しだけ心を落ち着ける。
「輪廻の輪で魂が溶けきらず、生前の記憶を持つ者は十六夜の言ったとおり、確かに存在する」
ふと薫子は十六夜が先程言っていたことを思い出す。
(…魂が残ると言う事は即ち、記憶が残るって事か)
だがそうなると、薫子の場合はどういう事なのだろうか。話に寄れば、薫子の魂はそっくりそのまま桜花の物だった筈である。とすれば、全ての記憶が引き継がれていなければ話が通らない。
「薫子、お前はこの世界での唯一の存在だ。前世の魂をそのまま引き継いているのにも関わらず、記憶の一切を持たぬ人間」
「……それは、桜花様と何か関わりがあるのでしょうか」
そう訊ねると、茜鶴覇は木に当てていた手を離す。
「あの娘は聡明な人間だ。おそらく、身体も魂も全て明け渡したのだろう。記憶を引き継がせなかったのは、知ればお前は私達を放っておけなかった筈だ。下手に天界こちら側に関われば、危険は免れぬ」
(……まあ、結果的に関わってるんですけどね)
だがしかし、桜花の推測はおおむね間違っていなかっただろう。知っていながら放置する事などまず薫子はしない。多かれ少なかれ行動には起こしたはずだ。
 「……桜花様は、本当にお優しい方ですね」
桜を見上げてポツリと呟くと、茜鶴覇は振り返る。
「桜花の記憶は引き継がれはしなかったが、お前は彼女とよく似ている」
「え…?」
薫子は茜鶴覇へと視線を戻した。
「他人の心をよく見透かし、寄り添い、惜しむことなくその優しさを消費する。自分の事を二の次にしてしまうほどのお人好しで、見ているこちらが肝を冷やすことさえある」
「……なんだか褒められている気がしませんが」
白い目で見ると、茜鶴覇は「事実を述べたまでだ」と言って再び桜を見上げる。
「桜花も薫子の優しさが心地よかったのだろう。私の中には彼女の神力封印が残っている。社にお前が来て以来、その封印が安定し、心臓のうずきや力の微弱な揺れが収まっているのだ」
 胸に手を当ててそう言うと、茜鶴覇は桜に背を向けて薫子の方へ振り返った。ほのかに浮かべた笑みを見て、薫子の鼓動がドクンと脈打つ。
「薫子」
「……はい」
「私は、お前にとって何に映っている」
その質問に目を見開いた薫子。しかし、ふっと力が抜けたように微笑んだ。
「茜鶴覇様です」
茜鶴覇は薫子の答えを聞いて、年頃の青年のようにくしゃりと笑う。あまりにも無邪気なその笑みに、この四千年という長過ぎる時間の中、彼が背負い続けていた想いを垣間見た。
 薫子はギュッと拳を握りしめると、茜鶴覇の元へ近寄る。背伸びをし、彼の後頭部へ腕を伸ばすと、自身の胸に抱き寄せた。
(母さんはこんな気分だったのかな)
 昔、手のかかる弟たちに付きっきりだった母。すでに一人で何でもできていた薫子は、自然と世話を焼かれることも無くなっていた。負担にならぬことを喜ぶ反面、とても寂しい想いをしていた。
 それが数年たち、菖蒲あやめが産まれた頃。再び家族が幼子に意識が向く中、大人気もなく寂しさを家族に悟らせてしまったことがある。
 そんな時、母はこうして薫子を抱きしめ、「気がついてあげられなくてごめんね。ずっと一人で頑張ってきたのね」と言ってくれたのだ。
 当時の薫子にとって、その抱擁ほうようや言葉は何よりも嬉しかった。
(状況は何ひとつあっていないけど、ずっと一人で背負い続けてきたとこはきっと同じだ)
誰に頼ることもせず、ひたすら耐え続けるのは苦しい。数千年もの間こうして耐えてきた彼を見て、薫子は心の底から尊敬すると共に、周囲に助けを求められぬその立場と責任感の強さに少し呆れた。
 茜鶴覇は驚いたのか少しの間硬直していたが、スルリと薫子の背に腕を回すと、存在を確かめるように抱きしめる。
「桜花様は、貴男様を恨んでなどいないと思います。ずっとずっと茜鶴覇様達を愛し続けている」
そう言うと、茜鶴覇は薫子の首元で口を開いた。
何故なにゆえそう思う」
「……私ならそうするからです」
薫子が答えると、茜鶴覇が小さく息を吸い込む。そして「自分で言うのもなんですが」と前置きをしながら薫子は優しく茜鶴覇の後頭部を撫でた。
「数千年人間との関わりを断ち、塞ぎ込んできた貴男様が私と出会い、外の世界を見ていただけるようになった。明るい場所へ、自らの足で出てきてくれた。桜花様の事は、全くもって存じ上げませんが……きっと喜んでいると思います」
無責任な言葉だと思いつつ、薫子はそれでも自分の気持ちを伝えたかった。茜鶴覇は何も答えず、なすがままに撫でられている。
 「……申し訳ありません。このような人間の戯言を」
薫子ははっとしてすぐに謝った。そして撫でていた手を止めて体を離す。しかし離れようとした腰は再び茜鶴覇に抱き寄せられ、両の足は宙に浮いた。
「んえっ」
潰れた蛙のような声をらし、突然浮遊する体に驚いて茜鶴覇に捕まる。どうやら薫子を抱き上げたようだ。
「……茜鶴覇様」
目線が高くなった薫子は、落ちないように少し茜鶴覇の肩を掴む。
「私は、きっと恵まれたのだろう」
突然口を開き、そういった茜鶴覇の顔は、どこか吹っ切れた表情をしていた。
「それを気づかせてくれたのはお前だ、薫子。ありがとう」
ザアと桜が大きく揺れ、花弁が一気に踊りだす。桜吹雪が流れて行く中で、茜鶴覇の表情は穏やかなものだった。
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