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第二章
第三十七話 謀反の罪
「そんなに睨まないでくださいよ月船様。怖いじゃないですか」
「戯言を」
敵視を辞めない月船を雪丸は一瞥する。それを見た月船は舌打ちをして下がった。
(先程の話の流れで当事者が現れるというのは、偶然にしてはできた話だ)
今までの会話が全て彼に聞かれていたと考えてまず間違いはなさそうである。
「おや」
「……」
その時パッと視線がかち合い、匡明はふわりと微笑んだ。
「薫子様ですね。改めてお初にお目にかかります。白 匡明です」
そう 恭しく頭を下げてお辞儀をする。薫子は胸をドキリとさせた。冷や汗がツッと伝い、湿った地面に弾けて染み込む。
(私、あの場で誰にも名を名乗ってない)
何故社の下女の名を知っているのか。そして何故そこまで下手に出るのか。
薫子は視線を反らさずに生唾を飲む。
「怖がらなくても大丈夫ですよ」
薫子が怖気付いて居ることに気がついたのか、クスクスと笑ってそう言った。
「薫子が怖がるのも無理ないだろ。見ず知らずの初対面の男に名が知られてんだ」
「おやおや、神女様を呼び捨てとは…。不敬ではないですか?雪丸様」
「⁉」
(しまった)
薫子は思わず自分の口を覆う。
(今、きっと顔に出た)
【どうしてその事を】。そんな顔をしたに違いない。笑みを浮かべていた匡明の口元が、更に弧を描く。
「鎌をかけてみたのですが、どうやら当たりのようですね」
「何が目的だ」
「名と立場を言い当てたくらいで目的を勘繰られるとは。随分私を警戒していらっしゃる」
大袈裟にやれやれとため息を吐き、匡明は目を細めた。
「社に住まう方々を把握するのは当然の務め。調べようと思えばいくらでも調べは着くものです。無論ここを出入りしているあのあやかしの長、圓月様も」
(確か白家はあやかしを嫌っている家だ)
先程の会議を見れば一目同然である。茜鶴覇の御前であったからあれで済んだのだろうが、もしあの場で神達がいなければどんな罵倒を圓月達に浴びせていたかわからない。言われた所で気にする彼らではないが。
どんな酷い罵倒を受けてもニカニカと笑う圓月が脳裏に映り、薫子は眉間にしわを寄せる。
「嗚呼、勘違いしないでくださいませ薫子様。私は祖父と違ってあやかしとは友好的に接したいのです。あんなに利用価値のある獣を敵視するなど勿体ない」
(獣…?)
「獣とは、圓月様たちの事を言っているのですか」
黙っていた薫子はついに口を開く。
「おや、やっとお話してくださいましたね。嗚呼、声も美しくいらっしゃる」
(舐めているのか。何もできぬ小娘だからと)
そこについてはその通りなので薫子は何も言わない。匡明は光の無い瞳でにこやかに話す。
「……あやかしは獣畜生と同じです。本能に従い、人を襲い、動植物を荒らす。しかし、その力は人知を超えた力。神力ではない強力な力です」
「獣畜生などではありません。圓月様たちは自我と理性を持っておられます。そのような呼び方をされる筋合いはありません」
「それはどうでしょうか」
(この男…)
敢えて薫子が怒るような事を言っているように見える。ここで乗ってしまえば相手の思うツボだが、一発平手を食らわせたい気分は拭えない。
(落ち着け、薫子)
自分の胸に手を当て、息を吐く。その様子を伺っていた匡明は意外そうに眉を上げた。そして頬に手を当て、首を傾げる。
「これはこれは、予想外ですね。てっきり私の頬に平手でも打ち付けてくるものかと…」
(やっぱ煽ってたのか)
行かなくて正解だったと薫子は眉間にしわを寄せる。
「向かってきていただければ大変都合が良かったのですが……まぁ、良いでしょう」
匡明はそう言うと頬に当てていた手をスッとこちらへ向けた。その瞬間薫子は伊吹の小脇に抱えられて距離を取る。同じように黎明家の若君達も後ろへと下がった。突然の事で薫子は声も出ぬまま目を見開く。
「お前、何するつもりだ」
雪丸が睨みつけながら問いかけるが、匡明は小馬鹿にするように微笑んだ。
「さあ、なんでしょう」
含みを持った返答をする匡明に、月船が青筋を立てる。
「舐めるのも大概にしろよ匡明」
「数ならこちらが有利、と?」
「数の力が無くてもお前じゃ俺には勝てない」
「それはどうでしょうか」
淡々と返事をする匡明。月船の眉間にさらに深くシワが浮かぶ。
「匡明、お前今の状況わかってんのか?」
「ええ、もちろん。楽しい同年代の団欒ですよ」
「しらばっくれんな。白家が懴禍に加担してる。それはもう調べがついてる事だ」
「しかしそれはあくまで貴方方の妄想の範疇を出ない。何か証拠でも?」
「それは……」
月船はグッと黙った。確かにまだ確立した証拠は上がっていない。
(匡明様はこのままシラを切るつもりかもしれない)
薫子は伊吹に下ろしてもらいながら二人の会話を大人しく聞く。状況証拠はあるが、確かに物的証拠はない。言い逃れはまだ出来よう。
(どうしたら…)
押し黙る四人を見て匡明は突然吹き出し、大きく笑い始めた。
「ほんとうに貴方達は面白いですね。馬鹿を相手にするのは疲れますが、たまに愉快になれるのもまた事実。癖になりそう…」
「お前、ふざけるのも大概に……」
月船は怒りを露わにして一歩踏み出す。しかし。
「………え?」
ゴプッと血を吐き、その場に膝を着く月船。雨で湿った地面に赤黒いシミが広がった。
「!?」
雪丸は咄嗟に月船を庇うようにしゃがんで匡明を睨む。
「おや。そろそろかとは思っていましたが、予定より少々早いですね」
「月船に何をした」
「あなたも見ていたでしょう。私は何もしていませんよ。神力も使っていません」
(確かにそうだが。しかし)
口と鼻から血を垂らして匡明を睨みつけている月船は、胸を抑えて荒い息を繰り返す。
「だけどお前以外に一体誰が…っ」
「ああ、貴方もあまり動かない方が宜しいかと」
匡明がそういった途端、雪丸も吐血して口元を抑えた。
「!?」
薫子は思わず息を呑む。
「あらら、言ったそばから…」
「雪丸、月船!」
伊吹は薫子を背に庇いながら二人を呼ぶが、月船は近づくなと手で制した。雪丸は匡明を睨みつける。
「お前、何を…」
「さっきから言っているではありませんか。私は今何もしていません。それこそ、神に誓って。……しかし」
匡明はスッと懐から小瓶を取り出す。
「この香水は、貴方方の脅威になったようですね」
(なんだ、あれ)
ゆらゆらと瓶を揺らす匡明。伊吹はゆっくりと彼から距離を取るように後ろへと下がった。
「良いでしょう。馬鹿なりに調べ上げた健気さに免じて教えてあげます。これは神殺しの実の果汁を抽出した液を千倍に薄め、香水に一滴垂らしたものなのです」
「……つまり、さっきの僕たちの予想は当たっていた、ということで間違いなさそうだね」
「ええ、概ねは。まあ先程のお話で唯一訂正するならば、私達白家は懴禍の下に着いたつもりはありません。手を貸してやっただけです」
「あくまで共犯、ということか」
「そう思っていただければ」
血を吐きながら雪丸が言うと、匡明は胸に手を当てて恭しくお辞儀をする。月船は首筋に血管を浮き出させながら睨みつけた。
「…社で香水を使う意味がわかってんの?ここから無事に出られるなんて思ってないよな」
「神力で匂いは防げない。あの謁見の間にいた全員がすでにこの毒を吸い込んでいます。今頃貴方方と同じように血反吐を吐いて倒れ始める頃でしょう」
(つまり今頃茜鶴覇様たちも…)
顔面蒼白になった薫子を見て匡明は口角を上げた。
「ご安心を。この香水で神達は死にしません。致死量の濃度にしてしまうと、流石に私の抗体が持ちませんので。……まあ、人間である他の神族達はどうなってるかわかりませんがね」
「…君は一体なんの目的でこんな真似をしているんだ」
伊吹は冷や汗を頬に垂らして問いかける。匡明は懐に小瓶を戻しながら答えた。
「宣戦布告ですよ。事態はそうのんびりと進んでいない」
「何故そこまで余裕なんだ。ここから逃げ切れるとでも?懴禍に捨て駒にされてるのがわからないのか、匡明」
「ここからの逃走方法を心配してくださるとは、なんとお優しい事。安心してください。ちゃんとそこも考えあっての行動ですよ。当然でしょう。あんな男の為に命を投げ出したりするものですか」
「逃走…?一体どうやって」
伊吹は再び薫子と共に一歩後ろへ下がる。匡明は「簡単な事です」と一言挟むと今までで一番綺麗な微笑みを浮かべた。
「貴方方をここで殺して逃げてしまえばいい」
その不気味なほど美しい顔を見て薫子はゾッとする。だんだんと汗が滲み、顔色が悪くなり始めている伊吹を見て、薫子は思わず彼の前に立ちはだかった。
「おや、これはこれは。……どういうおつもりで?」
「…これ以上彼らに手を出さないで頂けませんか」
「前線に進み出るとは。よほど命が惜しくないようですね。貴方様は今日始めて会った人間のために死ねるのですか?」
「それは…」
死という言葉を聞いて薫子は言い淀む。
「覚悟もなく飛び出してくるのは無謀というものです。茜鶴覇様も、彼の元に着く獣畜生たちも居ない貴方に、身を守る手段は無い」
(…そのとおりだ)
薫子は何も言い返せずに押し黙った。その様子を見た匡明はため息を吐く。
「計画の邪魔です。消えてくださいませ薫子様。貴方の可能性は悪い意味で未知数すぎる」
手の平を薫子に向けた匡明。伊吹はなんとか保った意識の中薫子を再び自身の背に庇う。膝をついていた黎明家の若君達も立ち上がり、伊吹達を守るように飛び出した。
その瞬間。バンッと言う音と共に近くの木の枝が折れて地面に落ちる。硬直していた薫子は恐る恐る伊吹の背から顔を出した。
「!」
薫子は息を呑む。そこには匡明の腕を掴み上げている圓月の姿があった。表情を失くしたその面持ちは、ただ匡明を見下ろしている。
「貴様は…!」
匡明はなんとか腕を振り払うと、掴まれた自分の腕を庇いながら距離を取った。
「獣畜生ねえ。言ってくれるぜ全く」
大きなため息を吐いてボヤき、圓月は首の後ろをポリポリと掻く。
「どうよ、獣畜生ごときに止められる気分は」
「ハハ、最悪というべきでしょうかね」
相当強く握られたのか、匡明は腕を握り神力で痣を消していた。青くなった手を見る限り圓月は彼の腕を折るつもりで捻り上げたようだ。
圓月はふと薫子を見るといつものように笑う。
「もう大丈夫だぞ、薫子」
「それはどうでしょう。彼女もまた神殺しの実に中てられていますが…?」
痣を消し終えた匡明は片眉を下げて圓月に言った。しかし圓月は鼻で笑う。
「薫子の存在は知ってても、詳しい事までは調べられなかったみてぇだな」
「なんですって?」
匡明が体を動かした瞬間、後ろから白い手が伸び、匡明の首を静かに掴む。その手は冷気を放っており、周辺の湿気が白くなっているのが視認できた。
「氷像になりたく無ければ、このまま動きませぬよう」
そう淡々と言ってのけたのは六花である。パッと辺りを見渡すと、いつの間にいたのか圓月の配下達が囲っていた。
「薫子」
「嶄様」
ヌッと後ろから現れた嶄。薫子はパッと顔をあげる。
「伊吹さんが…」
「ああ、わかってる」
嶄はそう言うと、体を大きく揺らして倒れる伊吹を抱きとめた。
「神殺しの実の毒を吸い込んだのか」
「はい…。雪丸様と月船様も伊吹さんと同じ毒を吸っています」
「さっき社に式神が来たんだ。白家以外の神族達が倒れ始めてる。匡明と過ごした時間が短かったからか、ここまでの重症ではないらしいが…」
(やはりそうだったのか)
薫子は伊吹の青い顔を見てから雪丸達へと視線を流す。そちらでは辿李がその場から救出し、絹のように靭やかな糸で繭を作っていた。
「安心しろ。あいつの繭は外気の毒素をある程度吸ってくれる。この社のどこよりも、あの中の空気は綺麗なはずだ」
嶄は辿李に視線を送ると、彼も気がついたようでこちらにも繭を寄越してくれた。咳き込んで血反吐を吐いた伊吹の血を拭うと、嶄はゆっくりとその中へと横たわせる。繭の中は柔らかい糸が数多にも重なり、布団のように敷き詰められていた。
「か、おるこさ…」
「伊吹さん…!」
「大丈夫、僕らはこの程度では死なない…。そんなに、辛そうな顔…しないで」
「……」
伊吹はそう言うと激しく咳き込んで意識を失った。嶄は妖力を片手で流し、繭の口を塞ぐ。
(違う。私は)
伊吹の言葉が頭を反響した。
(確かに私はこの場で無力な事を、役に立てない事を恥じている。でもそれは、きっと)
ここに居るための理由をまだ探しているから。
そう頭に浮かぶや否や、視界に嶄の顔が映る。
「顔色が悪いな」
どうやらしゃがみこんで薫子の様子を気にしているようだった。
「…すみません」
何も言えず、謝ってしまった薫子。
その様子を遠目で伺っていた圓月は、匡明に視線を戻す。
「あいつは神力を持っていない。だから神殺しの毒は効かねぇよ」
「そんなはずはない。この世で少しも神力を持たぬ人間など存在しない…!」
一般的に人間は神力を多かれ少なかれ体内に宿しているとされている。しかし、それを使えるのはほんの一握りだ。
その一握りというのが、この世で神の次に尊いとされている三大神族なのである。
「薫子は特殊なんだよ。この世の誰よりも」
「そんな…そんな馬鹿な事が」
「どうせ神族諸共薫子を消す予定だったんだろうが……残念だったな」
圓月はそう言って笑うと翼を広げた。巨大な黒い翼に匡明は顔を歪める。
「……あやかし風情が」
悔しげに睨みつける匡明。圓月はそれを見下げると手を伸ばした。
「そこまで」
その時、神楽鈴のように美しい声音が庭に通る。全員がそちらを見ると茜鶴覇達が集っていた。
「圓月、一度下がれ」
「茜鶴覇……」
圓月は舌打ちをすると、あと少しで眼球まで届くところだった腕を下ろして下がる。
「……あやかしを従えるとは。流石神と言うべきでしょうか」
匡明は茜鶴覇が現れたことで余裕のない表情を見せた。茜鶴覇達はとくに反応を示すことなくその言葉を聞き流す。
「蛇歌」
「ったく。ほんとうに人使いの荒い男だこと」
口元を裾で多いながらじっとりと睨めつけた後、蛇歌は辿李の方へと向かった。どうやら応急措置をするらしい。
「殺せはしなくても何故俺達が無傷なのか、そんな顔をしてんな」
夢幻八華は木の上に座って足を揺らす。そして笑いながら続けた。
「あの場には香が焚かれていた。あれは神力を含んだ香でな。少しではあるが掻き消させてもらった」
「そんな。そんな事が…!!」
匡明は目を見開いて驚く。
「ずっと媼が炊き続けていたおかげで誰も命に別状はない。神族の連中も地に伏せては居ても死にはしないだろうよ」
夢幻八華が親指で指す方を見ると、脇に控えている史の姿が見えた。確かに部屋の端で香を炊いているのは見ていたが、そんな意味があったとは。
(その少しの差が命を左右したのかと思うとゾッとする)
薫子は伊吹が入っている繭を見て、背中に冷や汗が伝う。
「……」
史をキッと睨みつける匡明。その視線を遮るように亜我津水が老婆の前に出る。
「観念なさい。アンタは神を裏切った。その罪からは逃げられない」
「罪?私をどうすると?」
匡明はハハと乾いた笑みを浮かべ、六花の手首を掴んだ。
「このまま氷像にしますか?」
そして次は自分の胸倉を掴む。
「それとも心臓を貫きますか?」
その問いかけに茜鶴覇は何も言わずに匡明を見つめた。そして六花へ視線を送る。
「ぐっ」
膝を無理矢理つかされ、顎を持ち上げる形で抑えられた匡明。六花は感情の見えない瞳で見下ろしていた。
「謀反の罪、それは必ず償ってもらう」
茜鶴覇はゆっくりと近づきながら淡々と述べる。そして匡明へと手を伸ばした。
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