5 / 54
第一章
⑤暴かれた真実
しおりを挟む
翌日ぐったりした顔で教室にいるカカオ。
スタンとイモルダの記憶は全く同じ記憶だった。サリーを誘ったスタンと誘っていないイモルダの違いだけで、生徒会室での出来事は全く同じだった。
あの二人の記憶の中にシメージもいた。どうせ、同じ記憶だろうが確かめなくてはいけない。
その時、誰かがカカオの背中をポンポンと叩く。
「おいカカオ。大丈夫か?なんだか具合が悪そうだが?」
担任のギル・ダッチマン先生が優しくカカオに問いかける。
「先生、なんだかちょっと気分が悪くて、保健室に行ってもいいでしょうか」
「ああ構わないぞ」
カカオは一人で保健室へ向かった。
「確か、あの角を曲がったところに保健室があったっけ?」
保健室へ行くと保健室の先生はいなかった。とにかく横になりたかったので空いていたベッドに寝転がる。
いつの間にか深い眠りに落ちていたカカオ。
夢を見ているのか?これは……!
まさか!
全てを理解した カカオ。
カーテンが開いて保健室の先生が覗き込む。
「あら、ダッチマン先生。お気分でも悪かったんですか?」
カカオはゆっくりと目を開けて起き上がる。
「いえ、もう大丈夫です」
「気をつけてくださいね先生」
「はい、では失礼します」
保健室を出て男子トイレの個室へ向かう。便座に座り、考え込む。
〘そうか、授業中にダッチマンに背中を叩かれたせいか〙
〘それで眠り込んでる間に変身してしまったのか……こんな経験は初めてだ〙
ダッチマンの記憶がカカオの頭に流れ込んで来た。
予想外のことにダッチマンはこの事件にとても深く関わっていた。
無関係だと思っていたダッチマンの記憶。
カカオは変身を解いて自分の姿に戻った。
もう犯人はほぼ100%分かったので『死神』の事務所へ学校が終わったら立ち寄ろうと考えトイレを出るカカオ。
廊下へ出る寸前で誰かとぶつかって尻餅をつく。
「あ、大丈夫?」
慌ててカカオを抱き起こしてくれる男子生徒。
シメージだった。
「はい、大丈夫です」
すぐに立ち上がりそのまま教室へ向かった。だがまたしても気分が悪くなる。
〘これはまた変身をしてしまう。今、シメージとぶつかったせいか〙
〘このままではまずい。どこか誰もいないところへ行かなくては〙
階段の下に潜り込むカカオ。体がだんだんと変化をしてシメージになっていく。そしてシメージの記憶が流れ込んで来た。
じっと目を瞑ってその記憶を吟味する。カカオが呟く。
「スタン、イモルダ、シメージ、三人の記憶は一致した」
カカオの目から涙がこぼれ落ちた。
カカオは変身を解き、階段の下から出て来ると教室へ戻って行った。
「さて、お仕置きを始めますか」
軽い言葉とは裏腹にカカオの表情には冷徹さが宿っていた。
スタンとイモルダの記憶は全く同じ記憶だった。サリーを誘ったスタンと誘っていないイモルダの違いだけで、生徒会室での出来事は全く同じだった。
あの二人の記憶の中にシメージもいた。どうせ、同じ記憶だろうが確かめなくてはいけない。
その時、誰かがカカオの背中をポンポンと叩く。
「おいカカオ。大丈夫か?なんだか具合が悪そうだが?」
担任のギル・ダッチマン先生が優しくカカオに問いかける。
「先生、なんだかちょっと気分が悪くて、保健室に行ってもいいでしょうか」
「ああ構わないぞ」
カカオは一人で保健室へ向かった。
「確か、あの角を曲がったところに保健室があったっけ?」
保健室へ行くと保健室の先生はいなかった。とにかく横になりたかったので空いていたベッドに寝転がる。
いつの間にか深い眠りに落ちていたカカオ。
夢を見ているのか?これは……!
まさか!
全てを理解した カカオ。
カーテンが開いて保健室の先生が覗き込む。
「あら、ダッチマン先生。お気分でも悪かったんですか?」
カカオはゆっくりと目を開けて起き上がる。
「いえ、もう大丈夫です」
「気をつけてくださいね先生」
「はい、では失礼します」
保健室を出て男子トイレの個室へ向かう。便座に座り、考え込む。
〘そうか、授業中にダッチマンに背中を叩かれたせいか〙
〘それで眠り込んでる間に変身してしまったのか……こんな経験は初めてだ〙
ダッチマンの記憶がカカオの頭に流れ込んで来た。
予想外のことにダッチマンはこの事件にとても深く関わっていた。
無関係だと思っていたダッチマンの記憶。
カカオは変身を解いて自分の姿に戻った。
もう犯人はほぼ100%分かったので『死神』の事務所へ学校が終わったら立ち寄ろうと考えトイレを出るカカオ。
廊下へ出る寸前で誰かとぶつかって尻餅をつく。
「あ、大丈夫?」
慌ててカカオを抱き起こしてくれる男子生徒。
シメージだった。
「はい、大丈夫です」
すぐに立ち上がりそのまま教室へ向かった。だがまたしても気分が悪くなる。
〘これはまた変身をしてしまう。今、シメージとぶつかったせいか〙
〘このままではまずい。どこか誰もいないところへ行かなくては〙
階段の下に潜り込むカカオ。体がだんだんと変化をしてシメージになっていく。そしてシメージの記憶が流れ込んで来た。
じっと目を瞑ってその記憶を吟味する。カカオが呟く。
「スタン、イモルダ、シメージ、三人の記憶は一致した」
カカオの目から涙がこぼれ落ちた。
カカオは変身を解き、階段の下から出て来ると教室へ戻って行った。
「さて、お仕置きを始めますか」
軽い言葉とは裏腹にカカオの表情には冷徹さが宿っていた。
1
あなたにおすすめの小説
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる