《完結》「殺し屋」カカオと「エッチ泥棒」

ぜらちん黒糖

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第一章

⑤暴かれた真実

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翌日ぐったりした顔で教室にいるカカオ。

スタンとイモルダの記憶は全く同じ記憶だった。サリーを誘ったスタンと誘っていないイモルダの違いだけで、生徒会室での出来事は全く同じだった。

あの二人の記憶の中にシメージもいた。どうせ、同じ記憶だろうが確かめなくてはいけない。

その時、誰かがカカオの背中をポンポンと叩く。

「おいカカオ。大丈夫か?なんだか具合が悪そうだが?」

担任のギル・ダッチマン先生が優しくカカオに問いかける。

「先生、なんだかちょっと気分が悪くて、保健室に行ってもいいでしょうか」

「ああ構わないぞ」

カカオは一人で保健室へ向かった。

「確か、あの角を曲がったところに保健室があったっけ?」

保健室へ行くと保健室の先生はいなかった。とにかく横になりたかったので空いていたベッドに寝転がる。

いつの間にか深い眠りに落ちていたカカオ。

夢を見ているのか?これは……!

まさか!

全てを理解した カカオ。

カーテンが開いて保健室の先生が覗き込む。

「あら、ダッチマン先生。お気分でも悪かったんですか?」

カカオはゆっくりと目を開けて起き上がる。

「いえ、もう大丈夫です」

「気をつけてくださいね先生」

「はい、では失礼します」

保健室を出て男子トイレの個室へ向かう。便座に座り、考え込む。

〘そうか、授業中にダッチマンに背中を叩かれたせいか〙

〘それで眠り込んでる間に変身してしまったのか……こんな経験は初めてだ〙

ダッチマンの記憶がカカオの頭に流れ込んで来た。

予想外のことにダッチマンはこの事件にとても深く関わっていた。

無関係だと思っていたダッチマンの記憶。

カカオは変身を解いて自分の姿に戻った。

もう犯人はほぼ100%分かったので『死神』の事務所へ学校が終わったら立ち寄ろうと考えトイレを出るカカオ。

廊下へ出る寸前で誰かとぶつかって尻餅をつく。

「あ、大丈夫?」

慌ててカカオを抱き起こしてくれる男子生徒。

シメージだった。

「はい、大丈夫です」

すぐに立ち上がりそのまま教室へ向かった。だがまたしても気分が悪くなる。

〘これはまた変身をしてしまう。今、シメージとぶつかったせいか〙

〘このままではまずい。どこか誰もいないところへ行かなくては〙

階段の下に潜り込むカカオ。体がだんだんと変化をしてシメージになっていく。そしてシメージの記憶が流れ込んで来た。

じっと目を瞑ってその記憶を吟味する。カカオが呟く。

「スタン、イモルダ、シメージ、三人の記憶は一致した」

カカオの目から涙がこぼれ落ちた。

カカオは変身を解き、階段の下から出て来ると教室へ戻って行った。

「さて、お仕置きを始めますか」

軽い言葉とは裏腹にカカオの表情には冷徹さが宿っていた。
    
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