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第五章
㊶バロンの性格
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ヘレンはじっとバロンの目を見つめた。
バロンは目を反らしたかったが根が真面目な悪魔だけに 、ヘレンの視線から逃げられずに返事をした。
「ああ、君と会うのは今回が初めてじゃない」
「やっぱり」
「そんなことより、これからのことを話し合わないか?ヘレン」
「疑問を残して前には進めませんよ、バロン様」
2人のやり取りを見ていたマリーとマラオ。
「ねえマラオ様」
「何ですか?マリー様」
「浮気を問い詰める妻と、問い詰められる 夫に見えませんか?」
「なるほど、そう見えなくもないですな」
「コホン、マリー 、余計なことは言わないように」
「すみません、ヘレン様」
ヘレンは一旦マリーに移した視線を再びバロンに戻した。
「・・・」
「バロン様?」
「君に最後に会ったのは、痺れ薬を渡した時だ」
「・・・最後に?」
「君は妹のローズに毒を飲まされた仕返しに、痺れ薬をローズに飲ませた。その痺れ薬を調達したのが私だ」
バロンの姿が老婆へと変わった。
「あ!」
ヘレンが声を詰まらせた。
「あの時の薬売りのおばあさん」
「そうだよ、助かっただろう?あの時は」
「・・・あの時、あなたは薬をくれたわね。 お金を取らずに」
「・・・」
「おかしいわね?悪魔が無償で取引をするわけがないもの。あなたは何を得たの?」
バロンは元の姿に戻るとヘレン に答えた。
「報酬はすでにもらっていたのだよ」
そして傷だらけの痩せこけた子猫の姿に変わった。
「にゃあ!」
子猫は横たわりながらヘレンを見つめた。
「あっ!」
ヘレンがまだ小さな子供だった頃 、敷地内で傷ついた子猫を見つけて、助けてあげたことがあった。
確か前足の肉球にひどい怪我をしていた。部屋に連れて帰って治療をしていたのだが、怪我が治りかけた頃 、姿を突然消した。
部屋の窓は閉まっていたのに。
心配して屋敷中を探したが結局見つからなかった。
「まさかあなたがあの時の子猫だったの?」
バロンはまた元の姿に戻ってにっこり笑った。
「あー、だから報酬は先に頂いているのだ」
「そうだったのですか」
「私はあの頃、こっちの世界に来たばかりで魔力が枯渇していたのだ 」
「何とか、わずかな魔力で子猫に変身して人間から食べ物をもらってしのいでいたのだが、そこを縄張りにしていたボス猫に見つかって」
「不死身の悪魔とはいえ、危なかった。そのボス猫のせいで、右の手の平の傷の跡は完全には治らず、右肘は今でも少しだけまっすぐに伸びないのだ」
「バロン様、ちょっとお聞きしますけど」
「なんだ?ヘレン」
「あなたに怪我わ負わせたボス猫は、その後どうなりましたか?」
「ふふ 、あいつか、、、。私が ヘレンの屋敷を飛び出して最初に向かったのが、ボス猫のところだった」
「私は怪我も良くなってヘレンから食事(餌)をもらっていたので、魔力も回復していたから、すぐに人間の姿になって、街へ 探しに行った。ボス猫はすぐに見つかった」
「ボス猫はちょうど餌を咥えて、私の横を通り過ぎて行ったところだったよ 。すぐに後をつけることにした 。ボス猫は路地裏をくねくね曲がって 、袋小路で止まった」
「今 、懲らしめてやるからな、と右手に魔法で火炎を出して、丸焼きにしてやろうとした時だ」
「道の脇から、子猫が3匹出てきよってな。ボス猫のやつ、母猫だったのだ。子猫どもはすぐに母猫のお乳を吸っておったわ」
「見逃してあげたのね ?バロン様」
「まあな。さすがにあれを見てしまっては仕返しもできなかったよ」
「あなた、本当に悪魔なの?」
「そうだ。ふふ、なあ、君たち、そんなに怖がることはない。何もしないから安心しなさい」
ヘレンがマラオとマリーに聞いた。
「マラオ、マリー 、これ(バロン)怖い?」
2人同時に答える。
「全然」
ヘレンはルーカスにも2人と同じことを尋ねた。
ルーカスが答える。
「バロン様を見ていると、妖精の里を思い出します」
「え?」
「似たような妖精がいましたので」
バロンが楽しそうに言う。
「お?お前たち、度胸があるな。気に入ったぞ。私を全く恐れないとは」
ヘレンがみんなに声をかけた。
「ねえ、今日の夜は大衆酒場へ行かない?」
マリー もマラオもルーカスも、そしてバロンも返事した。
「行きまーーーす」
その時、店のドアが開いて男が入って来ると、いきなりバロンの背中へ刀を突き刺す。
全員がバロンを見ると、刀の切っ先がバロンのお腹から突き出ていた。
バロンは目を反らしたかったが根が真面目な悪魔だけに 、ヘレンの視線から逃げられずに返事をした。
「ああ、君と会うのは今回が初めてじゃない」
「やっぱり」
「そんなことより、これからのことを話し合わないか?ヘレン」
「疑問を残して前には進めませんよ、バロン様」
2人のやり取りを見ていたマリーとマラオ。
「ねえマラオ様」
「何ですか?マリー様」
「浮気を問い詰める妻と、問い詰められる 夫に見えませんか?」
「なるほど、そう見えなくもないですな」
「コホン、マリー 、余計なことは言わないように」
「すみません、ヘレン様」
ヘレンは一旦マリーに移した視線を再びバロンに戻した。
「・・・」
「バロン様?」
「君に最後に会ったのは、痺れ薬を渡した時だ」
「・・・最後に?」
「君は妹のローズに毒を飲まされた仕返しに、痺れ薬をローズに飲ませた。その痺れ薬を調達したのが私だ」
バロンの姿が老婆へと変わった。
「あ!」
ヘレンが声を詰まらせた。
「あの時の薬売りのおばあさん」
「そうだよ、助かっただろう?あの時は」
「・・・あの時、あなたは薬をくれたわね。 お金を取らずに」
「・・・」
「おかしいわね?悪魔が無償で取引をするわけがないもの。あなたは何を得たの?」
バロンは元の姿に戻るとヘレン に答えた。
「報酬はすでにもらっていたのだよ」
そして傷だらけの痩せこけた子猫の姿に変わった。
「にゃあ!」
子猫は横たわりながらヘレンを見つめた。
「あっ!」
ヘレンがまだ小さな子供だった頃 、敷地内で傷ついた子猫を見つけて、助けてあげたことがあった。
確か前足の肉球にひどい怪我をしていた。部屋に連れて帰って治療をしていたのだが、怪我が治りかけた頃 、姿を突然消した。
部屋の窓は閉まっていたのに。
心配して屋敷中を探したが結局見つからなかった。
「まさかあなたがあの時の子猫だったの?」
バロンはまた元の姿に戻ってにっこり笑った。
「あー、だから報酬は先に頂いているのだ」
「そうだったのですか」
「私はあの頃、こっちの世界に来たばかりで魔力が枯渇していたのだ 」
「何とか、わずかな魔力で子猫に変身して人間から食べ物をもらってしのいでいたのだが、そこを縄張りにしていたボス猫に見つかって」
「不死身の悪魔とはいえ、危なかった。そのボス猫のせいで、右の手の平の傷の跡は完全には治らず、右肘は今でも少しだけまっすぐに伸びないのだ」
「バロン様、ちょっとお聞きしますけど」
「なんだ?ヘレン」
「あなたに怪我わ負わせたボス猫は、その後どうなりましたか?」
「ふふ 、あいつか、、、。私が ヘレンの屋敷を飛び出して最初に向かったのが、ボス猫のところだった」
「私は怪我も良くなってヘレンから食事(餌)をもらっていたので、魔力も回復していたから、すぐに人間の姿になって、街へ 探しに行った。ボス猫はすぐに見つかった」
「ボス猫はちょうど餌を咥えて、私の横を通り過ぎて行ったところだったよ 。すぐに後をつけることにした 。ボス猫は路地裏をくねくね曲がって 、袋小路で止まった」
「今 、懲らしめてやるからな、と右手に魔法で火炎を出して、丸焼きにしてやろうとした時だ」
「道の脇から、子猫が3匹出てきよってな。ボス猫のやつ、母猫だったのだ。子猫どもはすぐに母猫のお乳を吸っておったわ」
「見逃してあげたのね ?バロン様」
「まあな。さすがにあれを見てしまっては仕返しもできなかったよ」
「あなた、本当に悪魔なの?」
「そうだ。ふふ、なあ、君たち、そんなに怖がることはない。何もしないから安心しなさい」
ヘレンがマラオとマリーに聞いた。
「マラオ、マリー 、これ(バロン)怖い?」
2人同時に答える。
「全然」
ヘレンはルーカスにも2人と同じことを尋ねた。
ルーカスが答える。
「バロン様を見ていると、妖精の里を思い出します」
「え?」
「似たような妖精がいましたので」
バロンが楽しそうに言う。
「お?お前たち、度胸があるな。気に入ったぞ。私を全く恐れないとは」
ヘレンがみんなに声をかけた。
「ねえ、今日の夜は大衆酒場へ行かない?」
マリー もマラオもルーカスも、そしてバロンも返事した。
「行きまーーーす」
その時、店のドアが開いて男が入って来ると、いきなりバロンの背中へ刀を突き刺す。
全員がバロンを見ると、刀の切っ先がバロンのお腹から突き出ていた。
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