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第一章
①伯爵令嬢グレイス、恋に落ちて散る
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ウッド伯爵令嬢のグレイスは、20歳になっていた。ほとんどのご令嬢は10代で次々と結婚をしていく中、グレイスは良縁に恵まれず、まだ独身だった。
ある日、社交パーティーの会場の片隅で、一人、ワインを飲みながら、グレイスは楽しそうにダンスを踊るカップルたちを眺めていた。
思わずため息が出た。
「ふぅー、いいな、若い子は引く手あまたで……」
そこへ一人の男性が声をかけてきた。
「お嬢様、お一人ですか?良かったら私とダンスをいかがですか?」
驚いて彼の顔を見たグレイス。素敵な男性だった。
息を飲むほどの整った顔立ちだった。
「私はウォーカー男爵家のデビンと申します」
そう言って手を差し伸べてきた。グレイスはその手を握り返すと「私はウッド伯爵家のグレイスです」と返事をして、二人はダンスホールへと滑らかに足を運んだ。
二人ともなかなかの美男美女である。踊りながら会話をする二人。
「お上手ですね、グレイス嬢は」
「ありがとうございます。でもデビン様のリードがお上手だからですわ」
「私は男爵家の三男なのですが、あなたは?」
「私は伯爵家の長女です」
デビンの表情が輝く。
「そうですか。ではご兄弟はいらっしゃるのですか??」
「ええ、私には弟がおります」
踊りながらうっとりするグレイス。しかしデビンは少しがっかりしていた。デビンの目的は、婿養子狙いだったからだ。
そんなこととは知らず、グレイスはデビンにメロメロになっていた。
社交パーティーが終わった後も二人は会うようになり、いつしか深い関係になっていた。
しかし、ふとグレイスは気がついた。いつも会いに行くのは自分の方からじゃないかと……。
もう体も許している。後は結婚しかないのに、デビン様はなかなか結婚を言い出してくれない。
(家格を気にしているのかしら?私は伯爵家、彼は男爵家だから……)
そんなもやもやしている時に、友人のご令嬢が教えてくれた。
「グレイス。私、デビン様がキャサリン様と腕を組んで買い物をしているのを見たんだけど、あなたたちは本当に大丈夫なの?」と。
驚いたグレイスは友人に礼を言うとすぐに立ち去り、デビンの屋敷へ向かった。
しかしその途中で前からデビンとキャサリンが腕を組んで歩いてきた。
デビンがグレイスに気づき焦りの表情を見せる。
「どうしたの?デビン」
キャサリンがそんなデビンを見て問いかけるが、すぐにキャサリンも目の前のグレイスに少しだけ顔を強張らせた。
立ち止まる二人とグレイス。対面したまま気まずそうにする三人。グレイスが口火を切る。
「デビン、その人と付き合ってるの?」
「あ、あー、……」
口ごもるデビン。しかしキャサリンが代わりに返事をする。
「ええ、結婚を前提に交際しています。いけませんか?」
「いけませんかって、デビンは私と交際中なんですよ?いけないに決まってるじゃない」
「あの……え?デビン?あなた、彼女はいないって言ってなかった?前の彼女とは別れたからって」
グレイスが目の前に現れても、キャサリンはまだデビンの腕に回した手を外さなかった。
普段は大人しいグレイスの顔が熱くなる。二人の組んだ腕を力ずくで外そうと掴みかかった。
揉み合い、絡み合う三人。堪らずデビンがグレイスを遮る。
「グレイス、私は君と別れる!」
「え?」デビンを見るグレイス。「何を言ってるの?デビン……」
掴みかかっていた手を引っ込めて、すがるような眼差しでデビンを見つめた。
「すまなかった、はっきり言わなくて。でも、もう気づいてくれているのかと思っていたんだ……」
「そんな……ねぇ、私のどこが嫌になったの?教えて?デビン」
黙るデビン。そこへキャサリンが口を挟む。
「デビンはね、婿養子に入りたかったの。私はたまたまその条件にかなっただけ。ただそれだけなの。まぁ、私の家とデビンの希望が合っただけで、単なる政略結婚みたいなものだけど」
デビンが慌てて否定する。
「キャサリン、違う。私は本気で君を愛しているんだ」
「デビン……嘘でも嬉しいわ」キャサリンが笑みを浮かべてグレイスに話しかける。
「グレイス、ごめんなさいね。そういうことなんで。ほら、デビン!行こっ」
「あ、ああ」
呆然と立ちつくすグレイスは、そのまま立ち去る二人を見つめていた……。
ある日、社交パーティーの会場の片隅で、一人、ワインを飲みながら、グレイスは楽しそうにダンスを踊るカップルたちを眺めていた。
思わずため息が出た。
「ふぅー、いいな、若い子は引く手あまたで……」
そこへ一人の男性が声をかけてきた。
「お嬢様、お一人ですか?良かったら私とダンスをいかがですか?」
驚いて彼の顔を見たグレイス。素敵な男性だった。
息を飲むほどの整った顔立ちだった。
「私はウォーカー男爵家のデビンと申します」
そう言って手を差し伸べてきた。グレイスはその手を握り返すと「私はウッド伯爵家のグレイスです」と返事をして、二人はダンスホールへと滑らかに足を運んだ。
二人ともなかなかの美男美女である。踊りながら会話をする二人。
「お上手ですね、グレイス嬢は」
「ありがとうございます。でもデビン様のリードがお上手だからですわ」
「私は男爵家の三男なのですが、あなたは?」
「私は伯爵家の長女です」
デビンの表情が輝く。
「そうですか。ではご兄弟はいらっしゃるのですか??」
「ええ、私には弟がおります」
踊りながらうっとりするグレイス。しかしデビンは少しがっかりしていた。デビンの目的は、婿養子狙いだったからだ。
そんなこととは知らず、グレイスはデビンにメロメロになっていた。
社交パーティーが終わった後も二人は会うようになり、いつしか深い関係になっていた。
しかし、ふとグレイスは気がついた。いつも会いに行くのは自分の方からじゃないかと……。
もう体も許している。後は結婚しかないのに、デビン様はなかなか結婚を言い出してくれない。
(家格を気にしているのかしら?私は伯爵家、彼は男爵家だから……)
そんなもやもやしている時に、友人のご令嬢が教えてくれた。
「グレイス。私、デビン様がキャサリン様と腕を組んで買い物をしているのを見たんだけど、あなたたちは本当に大丈夫なの?」と。
驚いたグレイスは友人に礼を言うとすぐに立ち去り、デビンの屋敷へ向かった。
しかしその途中で前からデビンとキャサリンが腕を組んで歩いてきた。
デビンがグレイスに気づき焦りの表情を見せる。
「どうしたの?デビン」
キャサリンがそんなデビンを見て問いかけるが、すぐにキャサリンも目の前のグレイスに少しだけ顔を強張らせた。
立ち止まる二人とグレイス。対面したまま気まずそうにする三人。グレイスが口火を切る。
「デビン、その人と付き合ってるの?」
「あ、あー、……」
口ごもるデビン。しかしキャサリンが代わりに返事をする。
「ええ、結婚を前提に交際しています。いけませんか?」
「いけませんかって、デビンは私と交際中なんですよ?いけないに決まってるじゃない」
「あの……え?デビン?あなた、彼女はいないって言ってなかった?前の彼女とは別れたからって」
グレイスが目の前に現れても、キャサリンはまだデビンの腕に回した手を外さなかった。
普段は大人しいグレイスの顔が熱くなる。二人の組んだ腕を力ずくで外そうと掴みかかった。
揉み合い、絡み合う三人。堪らずデビンがグレイスを遮る。
「グレイス、私は君と別れる!」
「え?」デビンを見るグレイス。「何を言ってるの?デビン……」
掴みかかっていた手を引っ込めて、すがるような眼差しでデビンを見つめた。
「すまなかった、はっきり言わなくて。でも、もう気づいてくれているのかと思っていたんだ……」
「そんな……ねぇ、私のどこが嫌になったの?教えて?デビン」
黙るデビン。そこへキャサリンが口を挟む。
「デビンはね、婿養子に入りたかったの。私はたまたまその条件にかなっただけ。ただそれだけなの。まぁ、私の家とデビンの希望が合っただけで、単なる政略結婚みたいなものだけど」
デビンが慌てて否定する。
「キャサリン、違う。私は本気で君を愛しているんだ」
「デビン……嘘でも嬉しいわ」キャサリンが笑みを浮かべてグレイスに話しかける。
「グレイス、ごめんなさいね。そういうことなんで。ほら、デビン!行こっ」
「あ、ああ」
呆然と立ちつくすグレイスは、そのまま立ち去る二人を見つめていた……。
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