《完結》伯爵令嬢は怨霊になり、復讐を果たす。ーーしかし彼女を裏切った男は、怨霊よりも恐ろしい妻に出会う。

ぜらちん黒糖

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第一章

②怨霊の抱擁

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その後、デビンはキャサリンと無事に婚約し、あとは結婚を残すのみとなった。

しかし、そんな二人に水を差す出来事が起こる。

グレイスが亡くなったと連絡が入った。失恋を苦にこの世を儚んで首を吊ったと、デビンはそのことを後で知る。

そしてお腹には子供がいたらしいとも聞いた。

「なぜグレイスは、私に子供がいると言ってくれなかったのか……」うなだれるデビンにキャサリンが耳元で囁く。

「お腹の子が、あなたの子だとは限らないでしょう?」

「え?」その言葉に驚くデビン。
「まさか……グレイスに限ってそんなことはない」

キャサリンがさらに囁く。
「だけど本当のことはグレイスしかわからないんじゃないの。違いますか?」

「それはそうだが……」

「デビン、子供はまた作ればいいじゃない。私と。ね?」



結婚を一週間後に控えた日の夜、デビンの傍らに幽霊が現れた。

就寝中、金縛りにあい、息苦しくなって目をゆっくりと開けたデビン。

視界の端に誰かが立っているのが目に入った。視線をゆっくりと動かすとグレイスが恨めしそうな顔で立っていた。

「ひーっ!」

グレイスがゆっくりとベッドに上がると、横たわるデビンの上に馬乗りになった。

「デビン様……どうして私を捨てたのですか」
「私とあんなに愛しあったではありませんか」

そしてグレイスはしゃがみ込むと、横たわるデビンに抱きついてきた。

「う、う、う……や、やめ…て」

あまりの恐怖にデビンは気を失った。

翌朝、目を覚ますとデビンは裸になっていた。

「な……なんだこれは…」

「まさか私は幽霊と交わってしまったのか?」

「そ、そんな……」

デビンは身震いした。肌に残るかすかなグレイスの匂い。そして幽霊と関係を持ってしまったその事実が、恐ろしさよりも先に深い侮辱をデビンの心に焼き付けた。

(幽霊とはいえ、女性に……襲われるなんて……恥ずかしすぎる)

結婚を控えたデビンはこのままではいけないと思考を巡らす。このことがキャサリンにバレたら、この結婚も台無しになるかもしれない。

「まずい!まずいぞ、それは!」

その時、コールの顔が思い浮かぶ。「確かコールは幽霊の存在について研究していると言っていた。あいつに相談してみよう。今はそれしか思いつかない」





翌朝、ヘルナンデス男爵家のドアノッカーが叩かれた。

使用人が顔を出す。
「あ、これはデビン様」

「やぁ、すまないがコールに用事がある。至急会わせてくれ」

使用人は扉を開けると応接室に案内した。

「少々お待ちください。坊ちゃまをお呼びしてまいりますので」

やや時間をかけて待たされたが文句を言っている場合ではない。コールをじっと待っているとやっと現れた。

「なんだよぉ、こんなに朝早く~」
まだ寝ていたことに驚きのデビンが一応謝る。

「すまん。急用だったんだ。お前に頼みがある」

「頼み?金はないぞ!」
「幽霊が出たんだ!幽霊が!」

その言葉にコールの顔色が変わる。
「何?本当かそれは!」

「あー本当だ!グレイスの幽霊が出たんだ!」

コールはグレイスとデビンのことは知っていた。そしてグレイスが失恋を苦に自殺をしていたことも……。

「グレイスか……怨霊だな」

「わかるのか、コール!まだ私は何も喋っていないんだぞ?」

「お前、自分がしでかしたことへの自覚は全くないんだな」

「何を言ってるのかわからんがとにかく聞いてくれコール……」



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