《完結》伯爵令嬢は怨霊になり、復讐を果たす。ーーしかし彼女を裏切った男は、怨霊よりも恐ろしい妻に出会う。

ぜらちん黒糖

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第二章

⑩二人の妻

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小さな二階建ての一軒家に馬車は止まった。

玄関扉の前に立つデビン。コールには訪ねると連絡もしていない。いきなり昔の友人が妻を連れて訪ねてきても大丈夫なのだろうか……。

(まぁ、あいつは怒らないだろうが……)

小さなドアノッカーを鳴らすデビン。すると「は~い」という女性の声がして扉が開いた。

女性の姿を見たキャサリンの表情が険しくなる。

デビンはまだ、コールの妻を見たことがなかったので少し慌てた。

「あ、私は君のご主人のコールくんとは学生時代の友人で、デビンという。コールくんはご在宅かな?」

にこやかに出てきたコールの妻の表情が、みるみるうちに険しくなりデビンを睨みつける。そして後ろに立つキャサリンを見てわずかに口角を歪めた。

(コ……コールの女房もこ、怖い!もし、コールがいないのなら今日はひとまず引き上げた方がいいかもしれない。コールの妻に私の妻……怖すぎる)

コールの妻、パトリシアが返事をした。「夫は外出中です」

ほっとしたデビンはすぐに「ではまた今度」と言おうとしたらパトリシアが「中へどうぞ」と自分たちを招き入れようとした。

「いいえ結構です。また今度」と言いかけて今度は妻のキャサリンが口を挟んできた。

「ありがとうございます。ねぇあなた、せっかくここまで来たんですから中に入れてもらいましょうよ、ね、あなた」

「そうですよ。どうぞお入りになってください」と、パトリシアも勧める。

前と後ろから、どうぞ中へとせっつかれ、デビンはもう生きた心地がしなかった。
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