《完結》伯爵令嬢は怨霊になり、復讐を果たす。ーーしかし彼女を裏切った男は、怨霊よりも恐ろしい妻に出会う。

ぜらちん黒糖

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第四章 

㉔キャサリンの女心

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キャサリンの心境に変化が生じていた。

(屋敷の中でついスロットルの姿を探してしまう。物音がすると、スロットルじゃないかと振り返ってしまう。視線をスロットルから離すことができない)

(自分の感情が、今にも爆発しそうになる)

(スロットル!スロットル!スロットル!)

(私はどうかしている。スロットルに恋をしてしまったのか……)

(ああ、スロットルは私のことをどう思っているのだろう?)

(歯の浮くようなキザなセリフも、私が伯爵家の娘だからそう言っているだけなのかもしれない)

(それでも褒められたりすると胸が弾む)

(私とスロットルはこれからどうなるのかしら?彼は優秀な執事。伯爵家の執事として当然の仕事をしているだけなのかもしれない)

(デビンの時は楽だったわ)

『私と結婚すれば婿養子になれますよ』

(そう言った時のデビンの顔ったら……満面の笑みだったわ)

(スロットルに……同じように言えば、私と結婚してくれるのかしら?)

(でもなぜかしら、そんな話で彼を振り向かせたりしたくない)

(どうやら私は、本気で彼を愛し始めているようだ……)

(だけど私が本気で愛すると、また相手を束縛しようとしてしまう。それが怖い……知らず知らずのうちに相手を縛ってしまう。)

キャサリンは大きくため息をついて、二階のベランダに出る。屋敷の庭を眺め、視線が止まった。

スロットルが馬車の手入れをしていた。

(どこかへ出かけるのかしら?)

「スロットル!」

二階のベランダから名前を呼ばれたスロットルが、見上げるように振り返る。

「お嬢様、何でしょうか?」
「どこかへ行くの?」

「はい。丘の上の公園まで出かけるつもりです」
「何しに行くの?」

「昼食ですよ、お嬢様」
スロットルは、優しい笑顔を浮かべてさらにキャサリンに声をかけた。

「お嬢様!」

そして、スロットルが丘の上を指差した。

「いかがですか、お嬢様?私と一緒にあの丘の上の公園で、城下を見下ろしながらサンドイッチでも食べませんか?」

キャサリンの顔が明るくなる。

「行く!行くわスロットル!少し待ってて、すぐに行くから!」

そんな二人の会話を、執務室の窓を開けて聞いていたエバンス伯爵が、苦笑いしてつぶやいた。

「スロットルの……女たらしめ」

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