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第七章
㊶新婚旅行
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マーガレットとの取引が終わって10日が経っていた。
椅子に座って窓から外を眺めているウッド伯爵に、執事のサンバルが声をかける。
「旦那様、マーガレット様から離婚届を取り戻した今、アレス様とメアリーの夫婦関係を続けなくてもよろしいのでは?」
伯爵は机の上のコーヒーを手に取ると一口飲んで返事をした。
「それはそうなんだが、アレスのやつ、メアリーに惚れてしまったんじゃないのか?」
「……」サンバルは返事をしない。その顔には隠しきれない不安の色が滲んでいた。
「サンバル、お前は、この結婚は反対なのか?」
「そうではありませんが、アレス様が、いかにも女性に弱くて惚れやすいのが心配なのです」
「ん?」
「今回はたまたま、マーガレット様からアレス様を守るために、メアリーと避難的に結婚することになりました」
「……」
「果たしてそのように出会った二人が、結婚してこの先、うまくやっていけるのでしょうか?」
「そのような出会いも、また運命というものだ。ところで二人はまだ、結ばれておらんのだろう?」
「はい、そのようです」
伯爵は、コーヒーを全て飲み干して、コーヒーカップを机に置いた。
「なあ、サンバル、あの二人を新婚旅行に出そうと思うんだが……」
「新婚旅行でございますか?」
「ああ、王都の西の端に、シルビア村があるだろう?」
「……まさか旦那様、あの二人を大魔境ホテルに宿泊させるおつもりなのですか?」
伯爵がサンバルの顔を見て苦笑いをする。
「だ、大魔境ホテルって……『シルビア宿泊所』という、正式な名前があるんだが?」
「失礼しました。ですが旦那様、シルビア宿泊所は新婚夫婦が泊まると、必ず大魔境に誘い込まれ絆を試される、と言われています」
「うん、そうだ。だから、あの二人がシルビア宿泊所から戻ったら、尋ねるつもりだ。このまま結婚を続けるか、離婚をするか、はっきりしろと」
サンバルがニヤリと笑う。
「なるほど……二人の命運を大魔境ホテルに委ねるというわけですね?」
「そういうことだ。それに今、あの二人に尋ねても、はっきり言わないだろう?このままどうするか」
「さようでございますね」
「まあ、大魔境ホテルが、あればの話だがな」
「では旦那様、二人の出発はいつにしますか?」
「今からだ、馬車を用意して二人を送り出せ」
「はっ、かしこまりました、旦那様」
❖
アレスとメアリーは、訳も分からず馬車に乗っていた。
メアリーは使用人の時の習慣が抜けず、部屋の掃除をしていたら、執事のサンバルに声をかけられた。
「メアリー、今からアレス様と新婚旅行に出てもらう」と。
アレスは、資料室で書類の整理をしていた時に、サンバルから声をかけられた。
「アレス様、旦那様の命令です。今から、メアリーと新婚旅行にお出かけください」
「新婚旅行?新婚旅行ってどこまで行くんだよ」
「ウッド伯爵家が所有する、王都の西の外れにあるシルビア宿泊施設でございます」
「へぇ、シルビア宿泊施設ねぇ……えっ!そこって、別名『大魔境ホテル』じゃ……」
「さ、お急ぎください。馬車の用意はできておりますので」
そう言われて、アレスも、メアリーも、馬車に乗せられた。
二人は揺れる馬車の中から、無言で窓の外を眺めていた。
椅子に座って窓から外を眺めているウッド伯爵に、執事のサンバルが声をかける。
「旦那様、マーガレット様から離婚届を取り戻した今、アレス様とメアリーの夫婦関係を続けなくてもよろしいのでは?」
伯爵は机の上のコーヒーを手に取ると一口飲んで返事をした。
「それはそうなんだが、アレスのやつ、メアリーに惚れてしまったんじゃないのか?」
「……」サンバルは返事をしない。その顔には隠しきれない不安の色が滲んでいた。
「サンバル、お前は、この結婚は反対なのか?」
「そうではありませんが、アレス様が、いかにも女性に弱くて惚れやすいのが心配なのです」
「ん?」
「今回はたまたま、マーガレット様からアレス様を守るために、メアリーと避難的に結婚することになりました」
「……」
「果たしてそのように出会った二人が、結婚してこの先、うまくやっていけるのでしょうか?」
「そのような出会いも、また運命というものだ。ところで二人はまだ、結ばれておらんのだろう?」
「はい、そのようです」
伯爵は、コーヒーを全て飲み干して、コーヒーカップを机に置いた。
「なあ、サンバル、あの二人を新婚旅行に出そうと思うんだが……」
「新婚旅行でございますか?」
「ああ、王都の西の端に、シルビア村があるだろう?」
「……まさか旦那様、あの二人を大魔境ホテルに宿泊させるおつもりなのですか?」
伯爵がサンバルの顔を見て苦笑いをする。
「だ、大魔境ホテルって……『シルビア宿泊所』という、正式な名前があるんだが?」
「失礼しました。ですが旦那様、シルビア宿泊所は新婚夫婦が泊まると、必ず大魔境に誘い込まれ絆を試される、と言われています」
「うん、そうだ。だから、あの二人がシルビア宿泊所から戻ったら、尋ねるつもりだ。このまま結婚を続けるか、離婚をするか、はっきりしろと」
サンバルがニヤリと笑う。
「なるほど……二人の命運を大魔境ホテルに委ねるというわけですね?」
「そういうことだ。それに今、あの二人に尋ねても、はっきり言わないだろう?このままどうするか」
「さようでございますね」
「まあ、大魔境ホテルが、あればの話だがな」
「では旦那様、二人の出発はいつにしますか?」
「今からだ、馬車を用意して二人を送り出せ」
「はっ、かしこまりました、旦那様」
❖
アレスとメアリーは、訳も分からず馬車に乗っていた。
メアリーは使用人の時の習慣が抜けず、部屋の掃除をしていたら、執事のサンバルに声をかけられた。
「メアリー、今からアレス様と新婚旅行に出てもらう」と。
アレスは、資料室で書類の整理をしていた時に、サンバルから声をかけられた。
「アレス様、旦那様の命令です。今から、メアリーと新婚旅行にお出かけください」
「新婚旅行?新婚旅行ってどこまで行くんだよ」
「ウッド伯爵家が所有する、王都の西の外れにあるシルビア宿泊施設でございます」
「へぇ、シルビア宿泊施設ねぇ……えっ!そこって、別名『大魔境ホテル』じゃ……」
「さ、お急ぎください。馬車の用意はできておりますので」
そう言われて、アレスも、メアリーも、馬車に乗せられた。
二人は揺れる馬車の中から、無言で窓の外を眺めていた。
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