《完結》伯爵令嬢は怨霊になり、復讐を果たす。ーーしかし彼女を裏切った男は、怨霊よりも恐ろしい妻に出会う。

ぜらちん黒糖

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第七章

㊿愛の成就と運命の結び目

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朝、アレスが目覚めると、コーヒーの匂いが漂ってきた。

ベッドから起きるとメアリーがテーブルに朝食の準備をしていた。

「おはよう、メリー」

「おはようございます、レス君」

アレスは、メアリーの表情に親しみのこもった眼差しを見た。

(なんだろう……メアリーから愛情を感じてしまう)

「さ、顔洗ってきて、朝ご飯にしましょう、レス君」

言われるまま洗面所で顔を洗い歯を磨く。

鏡に映る自分の顔を見て、なぜかホッとするアレス。

(私の顔、穏やかな表情している)    

部屋に戻り、席に着くとパンにバターを塗り口に入れる。そしてコーヒーを飲む。

目の前にはメアリーがいて、優しい眼差しを自分に向けてくれている。メアリーと目が合った瞬間、胸が熱くなるアレス。

(今、メアリーと二人、静かに朝食を食べているこの瞬間が、とても幸せで、恵まれていると、強く感じてしまう)

アレスは、前世に戻った夢のことは何一つ思い出せてはいなかったが、ただ一つ言えることは……。

「メアリー、私は君を心から愛している。君と真の夫婦になりたい」

と、自然に言葉が出ていた。メアリーは目を潤ませて返事をした。

「私も、アレス様が大好きです。愛しています」

この瞬間から二人は、「レス君」「メリー」と呼ぶ言い方をやめた。

この日の夜二人は、結婚して初めて結ばれることになった。





一週間後、ウッド伯爵家の執務室にアレスとメアリーがいた。

「新婚旅行はどうであった?」と尋ねるウッド伯爵の表情は優しかった。

アレスとメアリーは手をつないだまま伯爵の前に立っていた。

「はい、父上、とても楽しかったです」

「私も楽しかったです、お義父様」

メアリーにお義父様と呼ばれて、顔がにやける伯爵。

「もう改めて聞くこともない。お前たちは、もう真の夫婦になれたのだな?」

「「はい」」と二人同時に返事をした。

「そうか、そうか。まぁ、夕食までまだ時間はある。二人とも部屋でゆっくり休むが良い」

アレスとメアリーはお辞儀をすると執務室を出て行った。

傍らに立っていた執事のサンバルが伯爵に声をかける。

「きっとあの二人が結ばれたのは、運命なのでしょうね、旦那様」

「そうだな、マーガレットがいなければあの二人は結ばれてはいなかったからな」

マーガレットに金貨50枚を渡した後、サンバルが後をつけたのだが、マーガレットが乗っていたはずの馬車に、彼女は乗っていなかった。いつ、どこで降りたのかサンバルにも分からなかった。

伯爵が呟く。
「マーガレットは一体どこへ行ってしまったのか……」

サンバルが返事をする。
「ですが、いずれまたウッド伯爵家に、マーガレット様は姿を現すような気がいたします」

「私が生存中に現れてくれれば良いが、そうでなければ、サンバル、そのときはお前がアレスとメアリーを守ってやってくれ……」

「旦那様、なにを気弱なことをおっしゃるのですか?二人でアレス様を見守っていきましょう、旦那様……」

窓から心地よい風が流れ込み、伯爵の前髪をほんの少しだけ揺れていた。

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