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⑮後遺症
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翌朝、ゴロウは1階の長椅子の上で目が覚めた。
「ここはキッチンの長椅子?」
起き上がるゴロウ。
「う!」
頭痛がする。枕と毛布に気づく。
「あ、掛けてくれたんだ。枕まで」
そこへ女将が2階から降りてきた。
「おはよう、ゴロウさん」
「あ、おはようございます。あ、あの、毛布と枕、ありがとうございました」
「気にしないで。ヨリコがやったのよ。酔いは醒めた?」
「はい。でも、頭がちょっと、痛いです」
「2階へ連れて行けなかったからそこに寝かせたの。はい、お水飲んで」
「すみません」
すぐに飲んでコップを返す。コップを受け取り女将が言った。
「体痛くなかった?」
「あ、ちょっと体も痛いです」
「今日は二階で休んでいなさい」
「はい。じゃ二階へ行きます」
ゴロウは枕と毛布を持って部屋へ戻って行った。
部屋のベッドに寝転ぶゴロウは昨日のことが思いだせない。
「えーっと、確かあたしは、ステージを雑巾がけしていて、それでキュウに呼ばれて楽屋へ行った……までは覚えているんだが」
頭を抱えるゴロウ。
「ヤダ、あたしったらほんとに思い出せないわ」
「 は! 」
ゴロウはやっと自分の言った言葉に気がついた。
「やだやだ!あたし!オネエ言葉でしゃべってるじゃなあい!」
〘何やってるんだ!俺はどうなってる?〙
「あれ?心の中は男のままなのね。口に出すと女言葉になるのね?イヤだわあ」
口を手で抑えるゴロウ。
〘どうした俺。どうしてこうなった?……それになぜかキュウの顔が思い浮かんでしまう。あーなんかキュウの顔で俺の頭の中がいっぱいになりそうだ。変だ!変だ!変だ!おかしいぞーーー!〙
昼過ぎ、センフーとカオリンがゴロウを訪ねてきた。
「ゴロウはいるかい?」
「あ、センフーさんとカオリン、こんにちは。どうしたの?」
「どうも、女将さん。ちょっとゴロウに話があって来たんだが、部屋へ行ってもいいかい?」
「ええ、どうぞ。でもゴロウさんは二日酔いで寝てるかもしれないわよ」
「そうかい。寝ていたら出直すよ」
コンコン。
「ゴロウ。俺だ。入るぞ」
ベッドで寝ていたゴロウが起き上がる。
「センフー、カオリン」
「昨日は大変だったな、ご苦労さん」
そう言うと金貨を3枚ゴロウに渡した。
「これは?」
「キュウからだ。昨日の出演料だ」
「出演料?」
「まさかお前、昨日のこと覚えていないのか?」
「うん。それにあたし、おかしいのよ。喋ると女言葉になっちゃうのよ」
顔が引きつるセンフー。
「そ、そうか。で、実はな、カオリンがお前に話があるそうだ」
「あたしに?なあーに?」
カオリンも顔を引きつらせ、まずは昨日の出来事を話して聞かせた。全てを聞いたゴロウも顔を引きつらせて言った。
「ヤダア!あたし、キュウと一緒に踊ったの?ヤッダーー!」
「最後はキュウにお姫様抱っこされていたぞ。」
「キモーーーーーーーーー!」
コンコン
ヨリコがドアを少し開けて聞いた。
「入っていい?お茶とお菓子持ってきたの」
すぐにカオリンが受け取りに行って、
「ありがとうヨリコさん。後は私がさせて頂きます」
カオリンはお盆を受け取りヨリコを部屋の中に入れなかった。
「あ、そう?じゃあ、お願い」
ドアを閉めたヨリコは暫くドアの前に立っていたが下へ降りて行った。
「お母さん」
人差し指を向けながら不安そうに女将に話しかけた。
「何を話してるんだろうね。もしかして冒険者に誘うつもりなんじゃないの?」
「まさかあ」
そう言ったがやはり女将も気になるようだった。
ヨリコは仕方がないという表情で言った。
「ゴロウちゃんはいずれここを出て行くんだから……今は本業の仕事を探している最中だもんね。でもゴロウちゃんがいなくなったら淋しくなっちゃうね」
「ゴロウ。お前は昨日カオリンがかけた魔法によって、身体能力が向上した。だからダンスもすぐに踊れたんだ」
カオリンが続けて話した。
「だけどこの魔法にかかるとまれに副作用が現れることがあるの」
「副作用?」
「刷り込み現象って知ってる?生まれて初めて動いた物を親と勘違いするやつ」
「ひよこ現象ね?ええ、知っているわ」
カオリンが続ける。
「ゴロウさんの目の前で動いていた動物はなんですか?」
「キュウ?」
「そう。キュウさんを親だと認識してしまっているの。ゴロウさんの潜在意識にはキュウさんの全てが刷り込まれてしまっているのよ。私の魔法は協力だから」
カオリンを見てゴロウが尋ねる。
「あたしはずっとこのままなの?」
「いいえ。今なら私のかける魔法で解除出来ます。解除しますか?」
なぜか悩むゴロウ。
ぱあーーーーーーーーん!
ゴロウの頭をはたくセンフー。
「いたーーーーい。やだーー」
涙目のゴロウがセンフーを睨む。
「そこ!悩むとこじゃねー!」
「はーー」
ため息をつきながらカオリンの顔を見た。
「カオリン。ゴロウを治してやってくれ」
頷くカオリン。
「それでは始めます。ゴロウさん。目をつむって下さい」
「はーーー」「伸ばすな」
「はい」
「ここはキッチンの長椅子?」
起き上がるゴロウ。
「う!」
頭痛がする。枕と毛布に気づく。
「あ、掛けてくれたんだ。枕まで」
そこへ女将が2階から降りてきた。
「おはよう、ゴロウさん」
「あ、おはようございます。あ、あの、毛布と枕、ありがとうございました」
「気にしないで。ヨリコがやったのよ。酔いは醒めた?」
「はい。でも、頭がちょっと、痛いです」
「2階へ連れて行けなかったからそこに寝かせたの。はい、お水飲んで」
「すみません」
すぐに飲んでコップを返す。コップを受け取り女将が言った。
「体痛くなかった?」
「あ、ちょっと体も痛いです」
「今日は二階で休んでいなさい」
「はい。じゃ二階へ行きます」
ゴロウは枕と毛布を持って部屋へ戻って行った。
部屋のベッドに寝転ぶゴロウは昨日のことが思いだせない。
「えーっと、確かあたしは、ステージを雑巾がけしていて、それでキュウに呼ばれて楽屋へ行った……までは覚えているんだが」
頭を抱えるゴロウ。
「ヤダ、あたしったらほんとに思い出せないわ」
「 は! 」
ゴロウはやっと自分の言った言葉に気がついた。
「やだやだ!あたし!オネエ言葉でしゃべってるじゃなあい!」
〘何やってるんだ!俺はどうなってる?〙
「あれ?心の中は男のままなのね。口に出すと女言葉になるのね?イヤだわあ」
口を手で抑えるゴロウ。
〘どうした俺。どうしてこうなった?……それになぜかキュウの顔が思い浮かんでしまう。あーなんかキュウの顔で俺の頭の中がいっぱいになりそうだ。変だ!変だ!変だ!おかしいぞーーー!〙
昼過ぎ、センフーとカオリンがゴロウを訪ねてきた。
「ゴロウはいるかい?」
「あ、センフーさんとカオリン、こんにちは。どうしたの?」
「どうも、女将さん。ちょっとゴロウに話があって来たんだが、部屋へ行ってもいいかい?」
「ええ、どうぞ。でもゴロウさんは二日酔いで寝てるかもしれないわよ」
「そうかい。寝ていたら出直すよ」
コンコン。
「ゴロウ。俺だ。入るぞ」
ベッドで寝ていたゴロウが起き上がる。
「センフー、カオリン」
「昨日は大変だったな、ご苦労さん」
そう言うと金貨を3枚ゴロウに渡した。
「これは?」
「キュウからだ。昨日の出演料だ」
「出演料?」
「まさかお前、昨日のこと覚えていないのか?」
「うん。それにあたし、おかしいのよ。喋ると女言葉になっちゃうのよ」
顔が引きつるセンフー。
「そ、そうか。で、実はな、カオリンがお前に話があるそうだ」
「あたしに?なあーに?」
カオリンも顔を引きつらせ、まずは昨日の出来事を話して聞かせた。全てを聞いたゴロウも顔を引きつらせて言った。
「ヤダア!あたし、キュウと一緒に踊ったの?ヤッダーー!」
「最後はキュウにお姫様抱っこされていたぞ。」
「キモーーーーーーーーー!」
コンコン
ヨリコがドアを少し開けて聞いた。
「入っていい?お茶とお菓子持ってきたの」
すぐにカオリンが受け取りに行って、
「ありがとうヨリコさん。後は私がさせて頂きます」
カオリンはお盆を受け取りヨリコを部屋の中に入れなかった。
「あ、そう?じゃあ、お願い」
ドアを閉めたヨリコは暫くドアの前に立っていたが下へ降りて行った。
「お母さん」
人差し指を向けながら不安そうに女将に話しかけた。
「何を話してるんだろうね。もしかして冒険者に誘うつもりなんじゃないの?」
「まさかあ」
そう言ったがやはり女将も気になるようだった。
ヨリコは仕方がないという表情で言った。
「ゴロウちゃんはいずれここを出て行くんだから……今は本業の仕事を探している最中だもんね。でもゴロウちゃんがいなくなったら淋しくなっちゃうね」
「ゴロウ。お前は昨日カオリンがかけた魔法によって、身体能力が向上した。だからダンスもすぐに踊れたんだ」
カオリンが続けて話した。
「だけどこの魔法にかかるとまれに副作用が現れることがあるの」
「副作用?」
「刷り込み現象って知ってる?生まれて初めて動いた物を親と勘違いするやつ」
「ひよこ現象ね?ええ、知っているわ」
カオリンが続ける。
「ゴロウさんの目の前で動いていた動物はなんですか?」
「キュウ?」
「そう。キュウさんを親だと認識してしまっているの。ゴロウさんの潜在意識にはキュウさんの全てが刷り込まれてしまっているのよ。私の魔法は協力だから」
カオリンを見てゴロウが尋ねる。
「あたしはずっとこのままなの?」
「いいえ。今なら私のかける魔法で解除出来ます。解除しますか?」
なぜか悩むゴロウ。
ぱあーーーーーーーーん!
ゴロウの頭をはたくセンフー。
「いたーーーーい。やだーー」
涙目のゴロウがセンフーを睨む。
「そこ!悩むとこじゃねー!」
「はーー」
ため息をつきながらカオリンの顔を見た。
「カオリン。ゴロウを治してやってくれ」
頷くカオリン。
「それでは始めます。ゴロウさん。目をつむって下さい」
「はーーー」「伸ばすな」
「はい」
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