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⑰女将、恋の予感
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今日はゴロウとヨリコの二人で店番をしている。ゴロウは前から気になっていたことをヨリコに聞いてみた。
「ねえ、ヨリコちゃん」
「なあに?ゴロウちゃん」
「ヨリコちゃんっていくつなの?」
「なあに?ねえ。どうしたの?なんで聞くの?私に興味湧いた?」
「うん」
ゴロウの返事にちよっとびっくりしたヨリコは真面目に答える。
「私は16歳です」
ゴロウはヨリコのことを15歳かそれ以下だと思っていた。
「そうなんだ」
「ゴロウちゃんはいくつなの?」
「俺は25歳。おじさんだろ?」
「そんなことないよ。全然若いよ、ゴロウちゃんは」
「そうかなあ」
若いと若い女の娘に言われて照れるゴロウ。
「ゴロウちゃん。私と結婚する?」
「え?」
「嫌なの?」
「とんでもない。う、嬉しいんだけどほんとに俺を結婚相手として見てくれるの?」
そこへお客さんが来た。
「串焼き3本下さい」
「はーい。3本ですね。ありがとうございます」
その後も立て続けにお客さんが来てゴロウとヨリコは閉店まで忙しく働いた。
夕方、女将が帰って来た。
「ただいま」
「お帰りなさい。お母さん」
「お帰りなさい。女将さん」
ゴロウが聞く。
「どうでしたか?」
「まあまあね」
「お母さん。今日はゴロウちゃんがいてくれて助かったよ。午後から忙しくなって。一人だったら大変だったよ、きっと」
「あら、そうなの?じゃあ明日もゴロウさんとお店でやってくれる?」
「うん」
嬉しそうに答えるヨリコ。
「ゴロウちゃん。明日も一緒だよ。頑張ろうね」
「そうだね。頑張ろうね」
仲良く話しをしているヨリコとゴロウを見る女将。ヨリコの楽しそうな表情を遠目で見ながら娘の成長を実感する女将だった。
「だけど私だってまだ33歳よ。娘がいたって恋をしてもいいじゃない?誰かいい人、いないかしら?」
ひとり呟く女将だった。
翌日、いつもの出店でひとり串焼きを焼きながら忙しく働いていた女将。
ガラの悪い24,5歳くらいの男が女将の出店の前に立った。
「よお、おばさん」
おばさんと言われてちょっとムッとする女将だったが、ここは客商売ぐっと我慢して笑顔で返事をした。
「いらっしゃいませ」
「いやっしゃいませじゃねーよ」
「?」
「ちゃんと場所代払って商売してるのか?」
「払ってますよ。毎月」
「俺はまだ受け取っちゃいねえぞ」
「あなたはどなたですか?」
「俺は反社組のもんだ。ここらへんを仕切っているのは反社組だ」
「場所代は商業ギルドに払っています」
「関係ねえ。毎月、金貨3枚だ。まずは今月分払いな。」
「そんなもの、私は払いません」
男は出店に並べてあった焼き立ての串焼きが乗っていた皿を手で払い落とした。
「なにするんですか!乱暴はやめて下さい!」
「おばさんの所だけなんだぜ?払ってないのは」
女将が両隣の店主の顔を見ると顔を背けた。
「衛兵を呼びますよ」
「呼びたきゃ呼びな」
そう言うと出店の4本ある脚の前の左側を蹴り飛ばした。出店は斜め前に傾き、慌てて支える女将。
「きゃあ!やめて!」
「衛兵が来るまでに持つかなこの出店」
男は今度は前の右側の脚を蹴り飛ばした。女将が支えるのも虚しく前方へゆっくりと倒れて行った。
「なんてことを……」
言葉が出ない女将。
「あんた。おばさんにしてはツラもいいし、中々いい体してるじゃねーか」
腕を掴んで女将を連れて行こうとする男。
「誰か助けて下さい。誰かー!」
「無駄だ!誰も反社組に逆らう奴はいねーよ。おばさん。反社組の店で働かせてやるよ。串焼き売るより稼げるぜ」
必死で抵抗する女将。
手こずる男は頭に来たのか女将の髪を掴んでひざまずかせてから顔を軽く持ち上げ右手を振り上げた。
その時、男の右手をがっしりと掴む男がいた。
反社組の若い男は、
「おい!おっさん!手を離せ!離さねーとお前からボコってやるぞ」
「やれるもんならやってみな」
反社組の若い男は投げ飛ばされて、高く宙に浮いて地面に叩きつけられた。
男はゆっくりと立ち上がり「覚えてろよ、この野郎!」
と言ってよろよろと立ち去っていった。
助けに入った男は女将に声をかけた。
「奥さん、お怪我はありませんでしたか?」
「あ、ありがとうございます。助けてくれて」
「しかしまあ酷くやられましたなあ。めちゃくちゃだ。あの男から賠償金を取らなきゃいかんな」
「そんなあ。もう大丈夫ですから。お構いなく」
そう言うと砕けた出店の片付けを始めた女将。
「俺も手伝います」
男の体から微かにお化粧の匂いが漂っていた。
男は女将より少し背が高く肩幅のがっしりとした渋い中年男だった。
男は黙々と後片付けを手伝ってくれた。大方綺麗になったときガヤガヤと騒々しくなって来た。
「兄貴!いました。まだいやがった」
さっきの男が仲間をぞろぞろ引き連れて戻って来たのだ。
女将はそれに気づいて助けてくれた男に「逃げて下さい。早く!あとは私がなんとかしますから」
「逃げるのなら、あなたと一緒がいい。俺は綺麗な人の側にいるのが好きなんだ」
男は静かに女将を抱きしめると、
「まあその必要もないがな」と言った。
男の目の前に反社組の組員が10人立っていた。兄貴分の男が、
「うちの若いのを可愛がってくれたそうだな。おっさん」
「可愛がるって?俺は女としか遊ばんぞ」
「減らず口を叩きやがって。おい。お前ら!痛めつけてやれ」
その時「やめな!」と鋭い声が飛ぶ。
振り向く反社組の組員たち。
「組長!」
組員たちが道をあけた。
組長は頭を下げながら男に声をかけた。
「これはこれは」
「『蒼き光』のトウケイさん」
「ねえ、ヨリコちゃん」
「なあに?ゴロウちゃん」
「ヨリコちゃんっていくつなの?」
「なあに?ねえ。どうしたの?なんで聞くの?私に興味湧いた?」
「うん」
ゴロウの返事にちよっとびっくりしたヨリコは真面目に答える。
「私は16歳です」
ゴロウはヨリコのことを15歳かそれ以下だと思っていた。
「そうなんだ」
「ゴロウちゃんはいくつなの?」
「俺は25歳。おじさんだろ?」
「そんなことないよ。全然若いよ、ゴロウちゃんは」
「そうかなあ」
若いと若い女の娘に言われて照れるゴロウ。
「ゴロウちゃん。私と結婚する?」
「え?」
「嫌なの?」
「とんでもない。う、嬉しいんだけどほんとに俺を結婚相手として見てくれるの?」
そこへお客さんが来た。
「串焼き3本下さい」
「はーい。3本ですね。ありがとうございます」
その後も立て続けにお客さんが来てゴロウとヨリコは閉店まで忙しく働いた。
夕方、女将が帰って来た。
「ただいま」
「お帰りなさい。お母さん」
「お帰りなさい。女将さん」
ゴロウが聞く。
「どうでしたか?」
「まあまあね」
「お母さん。今日はゴロウちゃんがいてくれて助かったよ。午後から忙しくなって。一人だったら大変だったよ、きっと」
「あら、そうなの?じゃあ明日もゴロウさんとお店でやってくれる?」
「うん」
嬉しそうに答えるヨリコ。
「ゴロウちゃん。明日も一緒だよ。頑張ろうね」
「そうだね。頑張ろうね」
仲良く話しをしているヨリコとゴロウを見る女将。ヨリコの楽しそうな表情を遠目で見ながら娘の成長を実感する女将だった。
「だけど私だってまだ33歳よ。娘がいたって恋をしてもいいじゃない?誰かいい人、いないかしら?」
ひとり呟く女将だった。
翌日、いつもの出店でひとり串焼きを焼きながら忙しく働いていた女将。
ガラの悪い24,5歳くらいの男が女将の出店の前に立った。
「よお、おばさん」
おばさんと言われてちょっとムッとする女将だったが、ここは客商売ぐっと我慢して笑顔で返事をした。
「いらっしゃいませ」
「いやっしゃいませじゃねーよ」
「?」
「ちゃんと場所代払って商売してるのか?」
「払ってますよ。毎月」
「俺はまだ受け取っちゃいねえぞ」
「あなたはどなたですか?」
「俺は反社組のもんだ。ここらへんを仕切っているのは反社組だ」
「場所代は商業ギルドに払っています」
「関係ねえ。毎月、金貨3枚だ。まずは今月分払いな。」
「そんなもの、私は払いません」
男は出店に並べてあった焼き立ての串焼きが乗っていた皿を手で払い落とした。
「なにするんですか!乱暴はやめて下さい!」
「おばさんの所だけなんだぜ?払ってないのは」
女将が両隣の店主の顔を見ると顔を背けた。
「衛兵を呼びますよ」
「呼びたきゃ呼びな」
そう言うと出店の4本ある脚の前の左側を蹴り飛ばした。出店は斜め前に傾き、慌てて支える女将。
「きゃあ!やめて!」
「衛兵が来るまでに持つかなこの出店」
男は今度は前の右側の脚を蹴り飛ばした。女将が支えるのも虚しく前方へゆっくりと倒れて行った。
「なんてことを……」
言葉が出ない女将。
「あんた。おばさんにしてはツラもいいし、中々いい体してるじゃねーか」
腕を掴んで女将を連れて行こうとする男。
「誰か助けて下さい。誰かー!」
「無駄だ!誰も反社組に逆らう奴はいねーよ。おばさん。反社組の店で働かせてやるよ。串焼き売るより稼げるぜ」
必死で抵抗する女将。
手こずる男は頭に来たのか女将の髪を掴んでひざまずかせてから顔を軽く持ち上げ右手を振り上げた。
その時、男の右手をがっしりと掴む男がいた。
反社組の若い男は、
「おい!おっさん!手を離せ!離さねーとお前からボコってやるぞ」
「やれるもんならやってみな」
反社組の若い男は投げ飛ばされて、高く宙に浮いて地面に叩きつけられた。
男はゆっくりと立ち上がり「覚えてろよ、この野郎!」
と言ってよろよろと立ち去っていった。
助けに入った男は女将に声をかけた。
「奥さん、お怪我はありませんでしたか?」
「あ、ありがとうございます。助けてくれて」
「しかしまあ酷くやられましたなあ。めちゃくちゃだ。あの男から賠償金を取らなきゃいかんな」
「そんなあ。もう大丈夫ですから。お構いなく」
そう言うと砕けた出店の片付けを始めた女将。
「俺も手伝います」
男の体から微かにお化粧の匂いが漂っていた。
男は女将より少し背が高く肩幅のがっしりとした渋い中年男だった。
男は黙々と後片付けを手伝ってくれた。大方綺麗になったときガヤガヤと騒々しくなって来た。
「兄貴!いました。まだいやがった」
さっきの男が仲間をぞろぞろ引き連れて戻って来たのだ。
女将はそれに気づいて助けてくれた男に「逃げて下さい。早く!あとは私がなんとかしますから」
「逃げるのなら、あなたと一緒がいい。俺は綺麗な人の側にいるのが好きなんだ」
男は静かに女将を抱きしめると、
「まあその必要もないがな」と言った。
男の目の前に反社組の組員が10人立っていた。兄貴分の男が、
「うちの若いのを可愛がってくれたそうだな。おっさん」
「可愛がるって?俺は女としか遊ばんぞ」
「減らず口を叩きやがって。おい。お前ら!痛めつけてやれ」
その時「やめな!」と鋭い声が飛ぶ。
振り向く反社組の組員たち。
「組長!」
組員たちが道をあけた。
組長は頭を下げながら男に声をかけた。
「これはこれは」
「『蒼き光』のトウケイさん」
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