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㉒エルフの里からの使者
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食事処『カオリン』の店の奥で一人酒を飲んでいるセンフー。
ガタン
物音が聞こえたセンフーはそっと刀の柄に手をおいた。耳を澄まして様子を伺う。
音のした方へ向かうセンフー。
「カオリン!」
カオリンが裏口で倒れていた。
素早くカオリンを店の中に入れて戸を閉めた。
「カオリン!誰がやった!」
カオリンは気を失っていた。
1階の休憩室で眠っているカオリンを心配そうに看病するセンフー。
服を脱がせて怪我の具合をじっくりと調べるセンフー。体中に切り傷が沢山付いていた。
「一体誰がこんな酷いことを」
コンコンコン
店の玄関を叩く音が聞こえた。
刀を手に持ち1階の店の入口へと向かうセンフーは、足を忍ばして玄関ドアに近づく。
外にはゴロウとヨリコが立っていた。
「センフーいないのかなあ」
「また今度にしようか」
「暖簾もかかってないし、今日は休みじゃないの?」
センフーはドアを開けるとすぐにゴロウとヨリコを手で引っ張り、店の中に引き込み、外の気配に気を配りながら戸を素早く閉めた。
「センフー、どうしたんだよ」
「借金でもしてるの?センフーさん」
「カオリンが襲われた。怪我をしている。来てくれ。」
二人を1階の休憩室まで連れていき、「ゴロウは廊下で待っててくれ。カオリンは服を着ていないんだ」
「あ、ああ。わかった」
「酷い。なによ、これ。」
ヨリコはキズだらけのカオリンを見て慌ててキズの手当をする。
傷口を濡れた布で拭いて、取り敢えず汚れを拭き取り、今度は包帯を巻いて行った。
服は着せられないのでそのまま掛け布団を掛けてあげた。
ヨリコがセンフーを見た。
センフーが「ゴロウ、入っていいぞ」と声を掛けた。
真っ青な顔で眠っているカオリン。
ゴロウもカオリンの側に座りながらセンフーに尋ねた。
「センフー、これはどういうことなんだ?」
「俺にもわからない。裏口で物音がしたので見に行ったら、カオリンが気を失っていたんだ」
「一体誰がこんな酷いことをしたんだ」
「魔国の追手にやられたんじゃないの?」とヨリコが聞いた。
「それは違う。魔国はそんなに野蛮じゃない」
「どうしてわかるの?センフーさん」ヨリコが聞き返す。
「この間、魔国の奴がうちへ来たんだがいい奴だった」
「じゃあ誰なんだろう」
ガラガラッガッシャーン
3人が顔を見た。
そしてセンフーを先頭にして、ゆっくりとゆっくりと店の中を覗くセンフー。
刀を抜いて飛び出す。
「お前は誰だ!」
床には、尻餅を付いたエルフのフウがいて、椅子が倒されていた。
センフーがまだ刀を構えたまま、
「お前は確か、馬車で一緒になったエルフの……」
フウは立ち上がって、
「ごめん。ちょっと着地を失敗して。エルフ族のフウよ、久しぶり」
センフーはまだフウを警戒していた。
「何しに来た」
「なによ、どうしたのよ、そんなにピリピリして」
ゴロウが割り込む。
「今大変なんだよ。センフーの奥さんが、全身切り傷だらけで気を失っているんだ」
「ゴロウ!べらべらしゃべるんじゃねー」
フウがニッコリと笑って言った。
「じゃあ私がいて良かったじゃない」
「あっ!」ゴロウが気がついた。
「なんだ、ゴロウ」
「フウさん、治癒魔法使いだよ。カオリンを治してもらえるじゃないか!」
「あ……そう、だった、な」
「ふふ、やっと思い出してくれたようね」
カオリンの側に立つフウ。掛け布団を掛けたままのカオリンに向かって両手をかざした。
「「「「 ヒーール 」」」」
静かにカオリンの側に座って様子を伺う4人。
「ん、ん~ん」
カオリンが目覚めた。瞼をゆっくりと開けて体を起こした。
カオリンが呟いた。
「私は助かったのね……」
センフーが尋ねた。
「カオリン、お前は裏口で倒れていたんだ。なにがあったんだ。誰にやられた!」
「エルフにやられた。風刃魔法を浴びせられわ」
再び鞘から刀を抜いてフウの首筋にあてた。
「センフー、やめて。その人は関係ないわ。私を襲ったのはダークエルフよ」
素早く刀を鞘に収めるとフウに土下座をしてセンフーは謝った。
「申し訳ありませんでした」
カオリンはフウの方を見て感謝を言った。
「ありがとう。体を治してくれて。あなたの名前は?」
「私はエルフ族のフウ。あなたを探していたの、カオリンさん」
今5人は1階の店内にいた。
フウとカオリン、ゴロウとヨリコが隣合わせで座っていた。
センフーがお酒のお湯割りとお茶を持って来てテーブルの上に置いた。
「ヨリコちゃんはお茶だぞ」
お酒を手に取って飲もうとしていたヨリコに注意した。
「はーい」
渋々従うヨリコを見てゴロウが言った。
「今の投げやりな感じの返事の仕方、可愛いよ。ヨリコちゃん」
「フフ~ン、ありがとうゴロウちゃん」
センフーはアツアツの二人をあきれながら見て、フウに尋ねた。
「教えてくれ。カオリンを連れに来たとはどういう意味だ」
「ザードに頼まれたの。カオリンを連れて来るようにって」
「なんだって?」
「今、エルフ族はダークエルフ族に戦争を仕掛けられているの。ザードは助っ人としてエルフ族の味方をしてくれている。だけど苦戦していて。そんなときザードが言ったのよ。カオリンさえいてくれれば勝てるのにって」
フウはカオリンに頭を下げて頼んだ。
「お願い!私たちエルフ族の戦士にあなたの魔法をかけてほしいの」
「潜在能力向上の魔法を。」
ガタン
物音が聞こえたセンフーはそっと刀の柄に手をおいた。耳を澄まして様子を伺う。
音のした方へ向かうセンフー。
「カオリン!」
カオリンが裏口で倒れていた。
素早くカオリンを店の中に入れて戸を閉めた。
「カオリン!誰がやった!」
カオリンは気を失っていた。
1階の休憩室で眠っているカオリンを心配そうに看病するセンフー。
服を脱がせて怪我の具合をじっくりと調べるセンフー。体中に切り傷が沢山付いていた。
「一体誰がこんな酷いことを」
コンコンコン
店の玄関を叩く音が聞こえた。
刀を手に持ち1階の店の入口へと向かうセンフーは、足を忍ばして玄関ドアに近づく。
外にはゴロウとヨリコが立っていた。
「センフーいないのかなあ」
「また今度にしようか」
「暖簾もかかってないし、今日は休みじゃないの?」
センフーはドアを開けるとすぐにゴロウとヨリコを手で引っ張り、店の中に引き込み、外の気配に気を配りながら戸を素早く閉めた。
「センフー、どうしたんだよ」
「借金でもしてるの?センフーさん」
「カオリンが襲われた。怪我をしている。来てくれ。」
二人を1階の休憩室まで連れていき、「ゴロウは廊下で待っててくれ。カオリンは服を着ていないんだ」
「あ、ああ。わかった」
「酷い。なによ、これ。」
ヨリコはキズだらけのカオリンを見て慌ててキズの手当をする。
傷口を濡れた布で拭いて、取り敢えず汚れを拭き取り、今度は包帯を巻いて行った。
服は着せられないのでそのまま掛け布団を掛けてあげた。
ヨリコがセンフーを見た。
センフーが「ゴロウ、入っていいぞ」と声を掛けた。
真っ青な顔で眠っているカオリン。
ゴロウもカオリンの側に座りながらセンフーに尋ねた。
「センフー、これはどういうことなんだ?」
「俺にもわからない。裏口で物音がしたので見に行ったら、カオリンが気を失っていたんだ」
「一体誰がこんな酷いことをしたんだ」
「魔国の追手にやられたんじゃないの?」とヨリコが聞いた。
「それは違う。魔国はそんなに野蛮じゃない」
「どうしてわかるの?センフーさん」ヨリコが聞き返す。
「この間、魔国の奴がうちへ来たんだがいい奴だった」
「じゃあ誰なんだろう」
ガラガラッガッシャーン
3人が顔を見た。
そしてセンフーを先頭にして、ゆっくりとゆっくりと店の中を覗くセンフー。
刀を抜いて飛び出す。
「お前は誰だ!」
床には、尻餅を付いたエルフのフウがいて、椅子が倒されていた。
センフーがまだ刀を構えたまま、
「お前は確か、馬車で一緒になったエルフの……」
フウは立ち上がって、
「ごめん。ちょっと着地を失敗して。エルフ族のフウよ、久しぶり」
センフーはまだフウを警戒していた。
「何しに来た」
「なによ、どうしたのよ、そんなにピリピリして」
ゴロウが割り込む。
「今大変なんだよ。センフーの奥さんが、全身切り傷だらけで気を失っているんだ」
「ゴロウ!べらべらしゃべるんじゃねー」
フウがニッコリと笑って言った。
「じゃあ私がいて良かったじゃない」
「あっ!」ゴロウが気がついた。
「なんだ、ゴロウ」
「フウさん、治癒魔法使いだよ。カオリンを治してもらえるじゃないか!」
「あ……そう、だった、な」
「ふふ、やっと思い出してくれたようね」
カオリンの側に立つフウ。掛け布団を掛けたままのカオリンに向かって両手をかざした。
「「「「 ヒーール 」」」」
静かにカオリンの側に座って様子を伺う4人。
「ん、ん~ん」
カオリンが目覚めた。瞼をゆっくりと開けて体を起こした。
カオリンが呟いた。
「私は助かったのね……」
センフーが尋ねた。
「カオリン、お前は裏口で倒れていたんだ。なにがあったんだ。誰にやられた!」
「エルフにやられた。風刃魔法を浴びせられわ」
再び鞘から刀を抜いてフウの首筋にあてた。
「センフー、やめて。その人は関係ないわ。私を襲ったのはダークエルフよ」
素早く刀を鞘に収めるとフウに土下座をしてセンフーは謝った。
「申し訳ありませんでした」
カオリンはフウの方を見て感謝を言った。
「ありがとう。体を治してくれて。あなたの名前は?」
「私はエルフ族のフウ。あなたを探していたの、カオリンさん」
今5人は1階の店内にいた。
フウとカオリン、ゴロウとヨリコが隣合わせで座っていた。
センフーがお酒のお湯割りとお茶を持って来てテーブルの上に置いた。
「ヨリコちゃんはお茶だぞ」
お酒を手に取って飲もうとしていたヨリコに注意した。
「はーい」
渋々従うヨリコを見てゴロウが言った。
「今の投げやりな感じの返事の仕方、可愛いよ。ヨリコちゃん」
「フフ~ン、ありがとうゴロウちゃん」
センフーはアツアツの二人をあきれながら見て、フウに尋ねた。
「教えてくれ。カオリンを連れに来たとはどういう意味だ」
「ザードに頼まれたの。カオリンを連れて来るようにって」
「なんだって?」
「今、エルフ族はダークエルフ族に戦争を仕掛けられているの。ザードは助っ人としてエルフ族の味方をしてくれている。だけど苦戦していて。そんなときザードが言ったのよ。カオリンさえいてくれれば勝てるのにって」
フウはカオリンに頭を下げて頼んだ。
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「潜在能力向上の魔法を。」
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